北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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被災地篇始めました!
ようやくです!

よかったら読んでください。
ゆっくりですが随時更新していきたいと思います。

『東日本大震災、被災地も自転車で走ったよ。ついでにボランティアも』
http://sendai20110523.blog.fc2.com/
四国から戻りました!
なんやかんや、いろいろありました。振り返ればいろいろあるんでしょうけど、終わってみればあっという間でした。
わたしと出会ってくれた人、関わってくれた人。あなたたちのおかげでよりよい旅になりました。
言い尽くせないほどの感謝の気持ちでいっぱいです!


さて、当分の間は執筆にいそしみたいと思います。
被災地(半分は書き終わっている)、昨年の九州、今回の四国。書くことはいっぱいあります。
相変わらず遅筆ですが、焦らず丁寧に書いていきたいと思います。
もうすこしお待ちくださいませ。
あとがき・・・・・・みたいな
いやー、ようやく終わった。
本格的に書き始めてから、およそ五ヶ月とちょっと。時間だけは文字通り腐るほどあった。しかし、それであってもなかなか書き終わることができなかった。途中、何度もモチベーションが上がらなかったのである。とくに二月は寒いせいもあっても一向に筆が進まなかった。今まで書くために必要なのは時間だと思っていたが、今回そうではないことがよくわかった。もちろんある程度の時間は必要なのだが、それ以上にも必要なのは書きたいという強い意欲。極論かもしれないがそれがありさえすれば時間も生み出せるのではないか。今はそう思っている。

この旅行記は自分が好きで書いていたもの。それは間違いない。しかし、それとはまた別の思いもあった。
それはこれを読んだ人に何かを与えることである。何かを感じてもらうことである。もっとカッコいい言い方をすれば誰かの役に立つことである。
それは「自分も自転車で北海道一周やってみよう」でもいいし、単に自転車で北海道を周ることでもいい、いや別に北海道でなくなっていいし、もっと言えば自転車じゃなくてもいい。いやいや、ただ読んで何かを感じてくれば、それでいいのかもしれない。とにかく何かを与えられればそれでいい。そんな思いがあった。

そんなわたしではあるが、実は次は九州編が待っているのである。「え?まだあるの?」そう思ったそこのあなた。すいません、そうなんです(笑)。
でも、しばらくは充電ですね。まあ、次は今まで以上にのんびり書いていきたいと思います。気の向いた時にでも。いや、もしかして書かないかも(笑)。まあ、もし、また書き始めることがあったら、みなさんにお知らせしたいと思います。

最後に、いつ更新するかもわからずに読み続けてくれた人、本当にどうもありがとうございました。少なからず読んでいただいている人がいるということがわたしの励みになっていました。どうもありがとうございました。
それと、後に九州で出会うことになる工藤さん、この方の後押しもあってなんとか書き上げることができました。この場を借りて深くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

それではみなさん、またお会いしましょう。
次は九州編で。
まあ、あればですが(笑)。
2010年8月19日(木) 旅はまだまだ終わらない (苫小牧 4km)
案の定というか、予想通りというか、昨晩は一睡もできなかった。というよりしなかった。まあ、ネットカフェで泊まると決めた時点でそのつもりだったんだけどね。
だって、もう自転車で走らなくてもいいんでしょ。後は電車で運ばれていくだけでしょ。眠かったら電車の中で寝ればいいわけだし。それに寝ていれば時間をやり過ごすこともできる。一応、そこまで計算した上での行動なのです。
などという理屈を心の中でつけながら、午前四時半過ぎ、ネットカフェを出る。外は一面の霧だった。
「うわっ」と一瞬思ったが、「これはこれでいいかも」とすぐに思い直す。だって北海道を発つ日に霧でしょ。ある意味、最後に北海道らしさを味わえる。そう考えるとツイていると言えるのではないか。そう思ったのです。
なんだか朝っぱらから前向きなわたしである。徹夜明けが、いい方に作用しているようだ。
静まりかえった苫小牧の街を走る。目の前は霧に遮られて視界がきかない。そのせいか自然と意識は耳にいく。聞こえてくるのは一定の間隔で鳴るチェーンの音だけ。スピードを上げると、ひんやりした空気が頬をなでた。
午前五時過ぎ、苫小牧駅に到着。手際よく輪行を済ませる。いやー、わたしもずいぶん慣れましたね。まあ、相変わらずキャリアを外すのは面倒くさいですが。おっと、ちゃんとネジはポッケトに一時保管しておりますよ。こう見えても意外と学習能力あるんです。
さあてっと、後は電車に乗るだけ。昨日、ネットで調べたら、なんと乗り換えが十一回もあった。でも、不思議と嫌な感情は湧いてこない。むしろ、まだ旅を続けられるのかと思うと、正直嬉しさの方が大きい。そう思うのは、よっぽど北海道がよかったのか、それとも旅の魅力にやられちゃったのか。きっと両方なんでしょうね。
午前六時、電車に乗り込む。朝早いこともあって車内はガラガラ。余裕のポーズで座席に座る。少しして電車が動き出す。苫小牧の街を抜けると、突然、目の前が開けた。
おお!海だ!海だ!いやー、久しぶりのご対面。思わずテンションが上がる。
海の前には、線路と平行に一本の道路が走っていた。しばらく外を眺めているとあることに気がつく。あれ?もしかしてこれってわたしが初日に走った道じゃない?見覚えのある道に走った時の記憶が呼び起こされる。
そうだ。そうだ。やっぱりそうだよ。不安と期待が入り混じった中、とにかくがむしゃらにこの道を走ったんだよなあ。いやー、懐かしいなー。しばし感慨に耽る。それにしても、一度、自転車で走った道を今度は電車に乗りながらそれを眺める。なんだかとっても不思議な感じ。当然、電車は何もしなくても前に進む。しかも自転車とは段違いのスピード。そう考えると、自転車で北海道一周したわたしってスゴイんじゃないだろうか。達成した当初はあまり感じなかったが、さすがにこの時ばかりは強く感じた。

午前八時五十二分、最初の乗換駅である長万部に到着。ちなみに次の電車までは二時間ほどの待ち時間。あはは。まあ、いいですよ。別に急ぐ旅じゃないし。のんびり行きましょ、のんびり。
といっても、二時間も駅にいても仕方ないので、一旦、外へ。というか、朝メシを食べるのです。改札できっぷを見せ、構内を出る。
あぢー。一歩、外に出た瞬間、日射しが束になって襲いかかってきた。なんなんだよー、この暑さ。これじゃあ内地と変わらないじゃないか。まったく北海道に(以下省略)。
駅で見た地図によると、この近くにセブンイレブンがあるらしいのでそちらへ向かう。しかし、これが思いのほか遠かった。地図で見た時はえらく近くに感じたのだが、歩き出してみるとこれがなかなか着かないのだ。
「あっ」よく考えたら、さっき見たのは地図というよりも手書きの簡略図に近かった。距離なんてテキトーなのである。くそーっ。なんか騙された気分。
あまりの暑さに一瞬、引き返そうになるがここまで来たら戻るよりそのまま行った方が近いと判断。結局、そのまま進むことに。
熱気が体にまとわりつく中、なんとか辿り着く。おそらく最後であろう「でっかいやきそば弁当」を買って食べる。もう終わりなんだよね。食べていたら自然と涙が……というのはウソですが。
食後、雑誌を立ち読みする。というより、涼んでいるのです。あまりの暑さに外へ出る気がしないのですよ。とはいえ、いつまでもここにいるわけにもいかない。えいや、と気合を入れてドアを押す。
「誰か火でも焚いているんじゃないか」そんな熱気が体にぶつかってきた。うわっ、なんだよ、この暑さ。一瞬にして気が萎える。やっぱり戻ろう、と思ったが、そうすると次が出にくくなる。頑張って、再度アタック。ドアを開けると、ふたたび熱い空気が体に当たった。うわっ。またしても挫けそうになりドアを閉めかける。しかし、心を鬼にしてなんとかクリア。出てみると外は相変わらずの暑さ。というか、日が高くなった分、なんだか暑さが増した気も。あぢー。目の前が朦朧としてきた。日射病になるかも。一瞬、そんなことが頭をよぎる。うー、こんなところで倒れたらシャレにならんぞ。というよりカッコ悪い。自転車であんだけ走っても大丈夫だったのに、ちょっと歩いただけで日射病になったりしたらダサすぎでしょ。とにかく「駅に着く、駅に着く」そのことだけを考えて歩く。
なんとか駅に到着。ちなみに道中のことはほとんど覚えてない。あまりの暑さに記憶が飛んじゃったのだ。
乱れた呼吸を整え、椅子に座る。ふーっ。助かったぜ。
電車まで、少し時間があったので本を読みながら待つことに。それにしても思ったより二時間はあっという間だった。多分、セブンイレブンの往復に時間をとったせいだと思います。

午前十時四十三分発の函館行きに乗る。通路を挟んだ隣の席に六十代くらいの男性がいた。大きなザックを横に置いていたので旅行者と思い、話しかけてみる。訊くと、定年を迎えたばかりの登山者。北海道へは利尻山と羊蹄山を登りに来て、今はその帰りだそうです。
おお、なるほど。登山者でしたか。そういえば、さっき見たホームでの立ち姿は実に背筋が伸びきっていた。がっちりとした体から伸びた腕はまるで丸太のようである。
この方、なんと三重から18きっぷを使って北海道に来たというから驚いた。登山も好きだが、電車に乗るのも好きなんだそうです。いや、いくら好きといっても、三重から普通列車で北海道でしょ。スゴ過ぎですよ、あなたは。
今まで、18きっぷは若者の貧乏旅行、そういったイメージが強かった。しかし、このおじさんのを話を聞いて少し印象が変わった。なんだか楽しそう。ちょっと勇気が出てきた。よし、わたしも年をとっても利用することにしよう。
話を続けていると、突然、前のボックス席に座っていたおばさんがニコニコした顔をこちらに向けてきた。年は六十代、いや七十代といったところか。ただ今、老後満喫中。そんな感じである。
「今日も暑いわねー。長いこと北海道に住んでいるけど、こんなに暑いのは初めて」相変わらず顔はニコニコ。笑うと顔がしわくちゃになる。
きっと手持ち無沙汰なのだろう。誰かと世間話をしたいのだろう。ま、いっか。こっちもどうせ暇だし。話し相手になってあげようかね。そう思い、おばさんの話に耳を傾ける。しかし、この後わたしは信じられない言葉を耳にすることになる。
「いつもならこの時期、朝晩は寒くてストーブを焚いているのよ」
ん?ストーブ?・・・・・・ストーブっていったら、寒い時につける、あのストーブだよね?でも、なんでこんな暑い日にストーブの話が出てくるの?・・・・・・え?まさか本当にストーブつけてるの?こんな真夏に?おいおい、マジかよ。
いやいや、待て待て。いくらなんでもそりゃないだろう。だって、むしろストーブを焚いているような暑さなんだぜ。それなのにわざわざストーブなんて焚くわけがない。これはきっとおばさんの悪い冗談。どうせわたしを通りすがりの旅行者と思って騙そうとしているのだ。きっと、そうに違いない。
しかし、おばさんは何事もないように話を続けてくる。「この時期、ストーブを焚かないなんで初めてだよ」
真顔だった。しかもなぜかおばさんは声をヒソめている。誰かに聞かれちゃまずい話なのか?
おいおい、マジかよ?それって冗談じゃなかったのかよ?
いやはや驚いた。まさか本当にストーブを焚いているとは。どんだけすごいんだよ北海道。
でも、そのストーブがいらないっていうことは、よっぽど暑いってことだよね。やはり今年は異常気象なんだろうか。
わたしたちが話を聞いて気をよくしたのか、おばさんはさらに話を続けてくる。しかし、今度はどこか寂しげだ。
「長万部も昔はすごく栄えていたんだけど、今はすっかり寂れちゃってねぇ」
そう、そうなのである。長万部は、乗換駅なのでさぞかし大きな駅、駅前にもロータリーがあり、たくさんのお店で賑わっている。着くまではそう思っていた。でも、実際は違っていた。駅舎はこじんまりとした質素な木造。ロータリーなんてどこにもなく、すぐ目の前は道路。それも三段跳びで渡れてしまいそうな狭い道路なのである。なんだか遠くに来ちゃったなあ。そんな感想を抱いてしまう。
「これなら八雲の方が大きなスーパーもあるし、ホームセンターもあるし。よっぽど栄えているよ」わたしがそう言うと、おばさんはすっかり笑顔を取り戻した。「そうなのよ。今日は今から八雲のパチンコ屋へ行くのよ。長万部にはパチンコ屋なんてないからね」
なるほど。解せました。だからさっきから笑顔だったのですね。どおりでニコニコするわけだ。

午後一時二十六分、函館駅着。食料や飲み物を買うため一旦、外へ。
一時間ほどして駅に戻り、木古内行きの電車に乗る。午後三時五十分、木古内駅着。ちなみに次の停車駅は青森県の蟹田駅。そう、いよいよ北海道ともお別れなのです。
本州へ渡るためには、当然、青函トンネルを通らなければならない。ところが、青函トンネルには特急列車しか走っていない。普通列車は走っていないのだ。じゃあ、18きっぷのわたしはどうすればいいわけ?
そうなんです。それを知って、わたしもすっかり困ってしまった。というわけで、駅員に訊く。
「うーん、残念ですがこれじゃあ青函トンネルは通れないですね。18きっぷは普通列車しか乗れないですからね。申し訳ないですが船かなにかで本州に渡ってください」
ええ!マジで?わたしはすっかり途方に暮れてしまった。ここまで来て渡れないなんて。そんなことがあっていいのだろうか。
というのは冗談。さすがに18きっぷで通れないことはなく、特例として木古内―蟹田間は特急列車に乗車していいそうです。
なーんだ。そうだったのか。ホッとした。
それにしても、ラッキーじゃん。だって、18きっぷで特急に乗れるんだよ。こんな機会はめったにない。これでちょっとは優雅な気分が味わえるかも。
しかし、そうも喜んではいられなかった。というのも、蟹田で降り損なうとその瞬間、木古内からの特急料金が発生して、乗った分だけ乗車賃を徴収されるというのだ。うーん、そう簡単にはゆっくりくつろがせてもらえないのか。
ホームに降り、特急列車が来るのを待つ。十分ほどするとやってきた。どうせ座れないだろうと思い、最後に乗り込む。まあ、いいんですよ、自転車さえ置ければ。ぜいたく言いません。しかし、車内に入ると意外にもポツポツと席が空いていた。おお、ラッキー。隣の人に軽く会釈をして腰を下ろす。
いやー、それにしても楽しみ。だって、これから海の中を通るんですよ。そう考えただけでテンションが上がるじゃないですか。実は、帰りに電車を選んだのも、青函トンネルを通りたかったということが理由の一つだったのだ。
「もうすぐ、青函トンネルに入ります」ゆったりとしたアナウンスが車内に流れる。おお、いよいよ青函トンネル。いやがおうが上にも気持ちが高まる。しばらくすると、列車は轟音とともにトンネルの中へ。いやー、すごいなあ。いよいよ海を通るんだあ。窓の外を見ながら気分は最高潮。
……ん?しばらくしてあることに気がつく。窓から見えるのが暗闇ばかりなのだ。延々、この景色が続いているのである。
おいおい、これじゃあ海を通っているのかどうかわかりゃしないじゃないか。と言いながらすぐに思いつく。そりゃそうだ。列車が泳いで海を渡っていくわけではない。海の中とはいえトンネルを通っていくのである。まあ、少し考えればわかりそうなことなのだが、興奮しすぎてそこまで考えが及ばなかったのだ。
面白いこともあった。自動ドア上部に細長い電光掲示板があるのだが、トンネルに入ると、そこにトンネルと電車の図が表示され、現在位置を教えてくれるのである。しかも、車内アナウンスでの音声ガイドつき。やけに親切でちょっと嬉しくなる。これも乗客を増やそうというJRの営業努力か。
「まもなく蟹田」というアナウンスで席を立つ。ここで降りないと特急料金を請求されるので、早目の行動というわけ。意地でも降りてやるー。

蟹田から再び普通列車に乗り、午後六時十一分、青森駅着。
登山のおじさんとはここでお別れ。青森のホテルで泊まるそうです。一方、わたしの旅はまだまだ続く。どんどん行きまっせー。
でも、次の大館行きまでは二時間ほどの待ち時間。というわけで、ここでも外へ。青森はすでに夕暮れを迎えていた。
「二時間ほどで観光できそうな場所がないですか?」観光案内所で訊く。観光用の八甲田丸や観光物産館を勧められた。
まずは八甲田丸へ。おお。なかなか立派な船。早速、船室へ。が、すでに閉まっていた。開館時間は午後六時まででした。仕方ないので外をウロウロ。階段があったので上がってみる。甲板ではビアガーデンをやっていた。
人少ねー。そこでは、仕事帰りらしきサラリーマンが五、六人飲んでいるだけだった。青森ではもうシーズンは終わっちゃったのか。なんだが秋の訪れを感じてしまった。
青森ベイブリッジというどこかで聞いたような名前の橋を渡り、観光物産館アスパムへ。巨大な三角チーズのような建物にちょっとギョッとする。とりあえず中へ。しかし、お土産物屋をはじめ、どこもかしこも閉まっていた。あーあ、つまんねー。
階段下の広場にある椅子に腰掛ける。へー。津軽三味線か。壁には、津軽三味線の生演奏の告知ポスターが貼ってあった。いいなあ、津軽三味線。しかも、生。聞いてみたい。実はわたし、津軽三味線が好きなのです。あの音色が鳴ると耳が、いや心が奪われちゃうのです。早弾きなんてやられたらもう昇天しちゃいそう。そんなことを考えているとだんだん気持ちが抑えられなくなってきた。
三味線聴きてぇーよー。
しかし残念。開催は明日の昼間でした。うわー、マジかよー。でも、やっぱり聴きたいなあ・・・。
なんならここで一泊していく?そうだ。それもいい。なにも急いで帰らないといけない理由はない。ついでに田沢湖や十和田湖も周ってみるか。おお、なんていいアイディア!
とも思ったが、「果たして18きっぷでどこまで行けるのか」それもやってみたいしなあ。ここで泊まってしまったらその挑戦が終わってしまう。それに、もう家に帰ると決めたのだ。今さら変更するのも面倒くさい。やっぱり、よそう。このまま行けるとこまで行こう。
続いて、駅前の繁華街を歩く。驚いた。いや、思っていたより賑やかなのである。駅から伸びる道の両側にはたくさんのお店。それがずーっと続いている。
「青森=田舎」わたしの中ではそんなイメージがあった。でも、実際来てみたらそんなことはなかった。けっこうな都会なのである。わたくし、青森を見くびっておりました。
さて、なにしよう。電車まではまだ時間があるし・・・・・・やはりわたしの場合、図書館でしょうか。
さっき観光案内所でもらった地図で、図書館を探す。するとすぐ近くにあった。早速、行く。
驚いた。なんと商業ビルの中に図書館が入っていたのだ。こんなのはじめて。もしかしたら都会ではこれが当たり前なのかも。ますます青森を見直してしまった。
図書館の中に入り、さらに驚く。広くて実に綺麗なのだ。しかも、かなり遅い時間まで開いているよう。おまけにDVDも充実している。すごいな、ここ。三日くらいは時間を潰せそうだ。ここに来るためだけに青森に来たくなった。今度青森に来たら、ここでゆっくりすることにしよう。
午後八時二十六分、青森駅を出発。残りの乗り換えは大館での一回のみ。まだまだ先へ行きたいところではあるが、あいにく今日の最終は秋田まで。ちなみに到着予定時刻が午前一時十二分ですって。あはは。さすがにこりゃすごい。
この頃になると眠気が尋常じゃなくなってきてきた。そりゃそうだ。昨日は一睡もしなかったんだもん。座席に座ると、すぐに睡魔が襲ってくる。時々目を覚ますが、すぐに睡魔がおいでおいでと手招きをしてくる。秋田まではずっとこの繰り返し。というわけで道中のことは憶えてない。なので書けることもありません。

真っ暗闇の中、秋田駅に到着。着いたということは、おそらく一時を過ぎたということなんでしょう。自転車と荷物とともにゆっくりホームに降りる。ベンチで一夜を明かそうと思ったが、あいにく駅は閉まるらしく、すぐに追い出される。まあ、しゃーない。どこか外で寝るところを探そう。改札を抜けると、すぐ目の前が大きな通路だった。前を見れば壁、上には天井。なにやらここは大きな建物の中らしい。通路には等間隔にベンチがある。しかし、円形になっているためその上では寝れない。仕方ないので通路の壁際にマットを敷いてその上に横になる。寒くはなくなかったが、なにか物寂しかったので寝袋を掛け布団代わりにする。時々、わたしの顔の横を人の足が通り過ぎていく。でも、気にしない。どうせ四時間後には起きているのだ。そうなのです。明日は午前五時四十九分発の電車に乗るのです。
でも、そんな朝早くてもちっとも嫌な気がしない。むしろ楽しみなくらいだ。なんかすごいことにチャレンジしているみたいで自然とテンションが上がってくるのです。そんなことを考えていると、またしても睡魔がやってきた。寝坊しないようにとケータイのアラームをセット。えーと、五時半くらいでいいかな。今回の旅もいよいよ明日の帰宅をもって終わりを迎える。北海道滞在一ヶ月ちょっと。長かったような短かったような。でも、不思議なことに寂しさは感じない。やりたいことをやったという満足感。それと、そのうちまた来るのではないかというと根拠のない期待感。そんなことが心の大部分を占めている。
そっと目を瞑る。明日の天気はどうかな。晴れるといいけど。でも暑かったら嫌だなあ。そんなことを考える。人の気配はまったくしない。さすがにこんな時間では通る人はいないか。徐々に意識が薄らいでいく。寝坊しないようにと自分に言い聞かせる。朝一で電車に乗らないといけないからね。そう、旅はまだまだ終わらない。 ―完―
2010年8月18日(水) カップ焼きそばにしみじみ (苫小牧 15km)
午前七時起床。仕事に行くSさんと一緒にアパートを出る。ありがたいことに適当な場所まで送ってもらうことになった。
朝の苫小牧を走る。道は広くて綺麗。通勤時間帯ではあるが車はスムーズに流れている。
「この道路は最近できたばかりでこの辺りもずいぶん景色が変わってしまってね」相変わらずの爽やかさでSさんは言う。
窓から外を見る。苫小牧の街は整然として綺麗だが、見える景色はどれも画一的でどこか味気ない。
今度は目の焦点を空に合わせる。雲一つない見事な青空だ。太陽の眩しさにちょっと目が眩む。今日も暑くなりそうだな。心の中で一人呟いた。
図書館脇の駐車場で降ろしてもらうことに。いやー、本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。
いつかまた会える日を約束して固く握手。車が見えなくなるまで手を振り続けた。そしてもう一度、心の中で叫んだ。ありがとうございましたー!
さあってと、感傷タイムはこれくらいにして。いつまでも湿っぽくしていても仕方ないしね。切り替え、切り替え。
時刻は午前八時。さて、これからなにしようか。とりあえず図書館でゆっくりしようかね。
すぐ目の前にある図書館へ。が、九時半開館。残念。まっ、こんなに早くやっているわけないと思っていましたが。
それじゃあ洗濯。支笏湖へ行く途中に見かけたコインランドリーへ向かう。十分ほど走り、到着。
今日は、これをしなければならないとか、ここまで走られなければならないとか、そういったことがまったくない。今日一日つつがなく終えることができればそれでいい。
そんなことを考えていると、なにか心がとても落ち着いてくる。実は幸せってこんなとこにあるのかもしれない。
♪しあわ~せはこんなとこにある~
え?どうしたの?いきなり歌い出しちゃって。
いやね、今、そのまんまのフレーズを思い出したんですよ。ちなみにこれ、スマップの「Peace!」という曲です。
しかし、そんな幸せを感じる一方、軽く罪悪感を覚える自分もいた。だって、今までずっと走ってきたんですよ。どれだけ走ったか、そのことに価値を置いてきたんですよ。それが急に走らなくていいとなったら本当にこれでいいのだろうか。自分は何か損をしているのではないだろうか、無駄な時間をすごしているのではないだろうか。そんな風に考えてしまったのです。冷静に考えれば、一日くらい走らなくてもどうってことないのにね。
どうやらわたしはまだ、「ことさら結果を重視する」そんな癖が抜けてないようである。これを直すには、しばらく時間がかかりそうだ。
順調に洗濯、乾燥を終える。北海道に来てから何回洗濯しただろうか…函館、余市、札幌、稚内、網走、ウトロ、弟子屈、根室、釧路、新ひだか、旭川、そして今日。意外にもすべて思い出せたことに驚く。走ってばかりいたとはいえ、それほど今回の旅は印象に残ったということなのか。そう考えれば、有意義の時間を過ごしたと言えなくもない。なんだかんだいって、やっぱり来てよかった。
さすがにこれだけ洗濯をやれば慣れた。どこへ行っても、置いてある機械は一度は使ったことのあるもの。初めの頃と違って戸惑うことはもうない。
大きなテーブルの上で洗濯物をたたんでいると、年配のご夫婦が入ってきた。
「おはようございまーす」
明るく愛想のいい挨拶にちょっと驚く。つられてこちらも笑顔で挨拶。
「あれ?どこに入れればいいんだ?」
「お金はどこから入れるんだ?」
「あっ、こっちは乾燥機か?」
チラッと目をやると、ご夫婦揃って右往左往している。どうやらコインランドリーの使い方に慣れてない模様。暇だったこともあり、「このくらいだったら十キロ用でいいんじゃないでしょうか」「両替機ならここにありますよ」などといろいろ教えてあげる。すると、抱きつかれんばかりに感謝された。お礼にパンまでくれた。
いやー、そんなに感謝されるとは。なんか恐縮してしまいますよ。だって、暇だから教えただけなんですよ。言い方は悪いが、暇つぶしで教えてあげたようなもんなんですから。
神奈川からやってきたというこのご夫婦、車中泊しながら北海道を回っているそう。コインランドリーを使うのは今日が初めてだそうです。なるほど。だから戸惑っていたんですね。
わたしもはじめはそうだった。函館で最初に洗濯した時は使い方がまったく分からず五分くらい説明書を凝視していた。一回分ってずいぶんお金がかかるもんだあと驚いたりもした。
お二人としばし雑談。話が弾む。お互い旅行者のためかすぐに打ち解けることができた。
こんな風に、もっといろいろな人と話しておけばよかった。今さらながらに思う。特に前半は、人から話しかけられるのを避けていた。人と話すなんて時間の無駄だと思っていた。話が長くなると、「早く終わんないかなー」そればかり考えていた。
でも、こうやって話していると楽しい。振り返ってみれば、心に残っているのは、壮大な景色はもちろんだが、それ以上にいろいろな人との出会い、過ごした時間だった。
さて、洗濯物もたたんだし、そろそろ行きましょうか。
と思ったが、これから何をすればいいわけ?相変わらずまったく思いつかないわたしなのである。うーん、予定に縛られないっていうのもいいのだが、まったくないというのも困りもん。
というわけで、引き続きお二人とお話することに。すいません、暇つぶしです。
「ここの道の駅はきれいですよ」
「神威岬は是非行ってください」
「知床も絶対です」
エラそうにいろいろアドバイスする。またもやご夫婦、感謝感激。今度はお菓子をくれた。
いや、だから単に暇つぶしで言っているだけで…そんなに感謝されると恐縮して……まあ、いっか。わたしにとっては単なる暇つぶしでも、このご夫婦には有益な情報なのだ。それに、わたしも楽しいし。もういい。深く考えるのはよそう。
話をしながら、なんとなく外を眺める。視線の先に、一台のキャンピングカーが停まった。ん?なんだこりゃ。いやね、そのキャンピングカー、普通のよりもかなり大きく、しかもデコトラ仕様かなんなのかとっても派手なんですよ。
ちょっと興味を覚えたのでしばし観察することに。しばらくすると、運転席から一人のおばさんが降りてきた。顔は朝青龍、体は小錦といった感じで実に迫力満点。金色ラメ入りの黒い服の上では、蛇のような文様が踊っている。
「車は乗り主に似る」のかなんなのか。「傍若無人」という言葉が実に似合いそうな女性である。
見ると、そのままこっちに向かってくる。どうやら洗濯しにくる模様。
「うわっ、こっちに来るんじゃねえ」その威圧感にちょっとのけぞるが、構わず中へ入ってくる。歩く度にズシンズシンと音がしそう。
おばさんは洗濯機に近づき、ぞんざいにドアを開けると、その中にタオルやら服を投げこみ始めた。その姿は、「洗濯当番の相撲取り」にしか見えない。
あまりの迫力に内心ビビる。おばさんは洗濯物を入れ終わると椅子に腰掛け、置いてある雑誌を読み始めた。可哀想な椅子。つぶれないか冷や冷やする。
それにしても嫌だなあ。早く出てってくんないかなあ。だってなにか気に障ることでもしたら、張り手の一つや二つ飛んできそうなんだもん。
なんてことを考えていると、一瞬目が合いそうになる。
うわっ。あぶねー。「何見てんだよ」なんてイチャモンでもつけられたらかなわん。
目を合わせないようにご夫婦と話を続ける。しばらくすると、突然、明後日の方向から声がした。
「あー、それだったら帯広もいいよ」
見ると相撲取り、じゃなくて件のおばさんだった。どうやらわたしたちの会話を聞いていたよう。
「帯広はいいよ。後、食事だったら○○と○○に行くといい。あそこの豚丼は絶品」
その後もいろいろおススメの場所を教えてくれる。ご夫婦の質問にも実に丁寧に答えてくれる。
「お兄さん、これあげるよ」
わたしにはかりんとをくれた。
考え過ぎでした。実にお優しいご婦人でありました。みなさん、人は見た目で判断しちゃいけません。
なんでもこのおばさん、夏になると毎年北海道に来るという筋金入りの北海道フリークだそう。
というわけで、今度は四人でお話。コインランドリーはいつの間にか井戸端会議場にヘンシン。
結局、十二時過ぎまで話しこんでしまった。
「コインランドリーで雑談三時間」
実に貴重な体験をしてしまった。わが人生で二度とないかも。

図書館へ向かう。空はピーカン。抜けるような青空だ。
それにしても暑い。日射しも強い。何度も書いて申し訳ないが、ここは本当に北海道か?まったく北海道に来たという感じがしない。
ところで内地はもっと暑いんでしょ。連日ニュースで騒いでいるし。いきなり帰って大丈夫だろうか。内地に渡った途端、バタッと倒れたりしないだろうか。本気で心配してしまう。
図書館で、雑誌を読んだりネットをして過ごす。
午後一時過ぎ、セブンイレブンで「でっかいやきそば弁当」を買って食べる。
これ、北海道に来てから何回食べただろう。旅の後半の昼食は、ほとんどこれだったもんなあ。ということは、ざっくり言って二十回くらいか。たまに食べない日もあったが、そうするとなにか不思議と物足りなく感じる。これを食べないと一日が終わった気がしないのだ。
そんなに食べるということは、よっぽど好きなんですか?
いいえ、そうでもありません。
しょっちゅう食べていたのは、そのコストパフォーマンスの高さから。二百円ちょっとで千キロ以上のカロリーが摂れるという優れものなのです。
やはり毎日長距離を走るのでたくさん食べないと体がもたないのです。かといって、できるだけ食事にはお金をかけたくない。そんな時に見つけたのがこれ。たしか江差のコンビニで食べたのが最初だったと記憶しております。
そんなわたくし御用達のカップ焼きそばであるが、つい最近、残念なことを知ってしまった。どうやらこれ、北海道限定らしいのだ。ということは、北海道を離れればもう食べることはできない。もしかしたら食べるのも今日が最後かも。そう考えるとなにかしみじみとしてくる。
一人、カップ焼きそばを食べながら感傷に浸る。まったくもって絵になりませんな。
さて、一時半。何しよう。ふーっ、困った。というか、暑いのでどこかで涼みたいところ。
長居できそうな場所を探して、苫小牧の街を走る。しばらくすると、一軒の古本屋が目に留まった。
「あっ、そうだ。本を買おう」突然思いついた。
実はわたし、帰りは船ではなく電車で帰ろうと思っているのです。今は夏休みの真っ最中、北海道に来る時よりも船の料金が上がっている。それなら、18きっぷ(期間限定切符。二千二百五十円で普通列車が一日乗り放題)を使って帰った方が安い。そう思ったのです。
とはいえ、普通列車。さすがに一日では帰れない。二日はかかってしまう。死ぬほど暇をもてあますと思い、本でも読んで時間を埋めようと思った次第。
店内に入って物色開始。お金を節約したいので一番安い八十八円の文庫本コーナーから五冊を選ぶ。しめて四百四十円なり。うへっ、安い。新刊一冊分の値段じゃん。
その後、ユニクロ、ハードオフを意味もなく回り、Sさんと出会ったイオンへ行く。
その中にあるベンチの一つに腰かけ、溜まっていた日記を書く。飽きたら店内を回ったり、雑誌を立ち読みしたりして気分転換をはかる。何回かそれを繰り返していると、時刻は午後七時近くになっていた。
夏の終わりを一番感じるのはどういった時か。もちろん風が冷たくなった、そういった時にも感じるのだが、個人的には日の短さを実感した、その時に一番強く感じる。
北海道を走り始めたときはまだ七月。夜の七時でもまだ日が残っていた。でも、今はすっかり日が落ちている。いよいよ明日には北海道を離れる。夏の終わりと旅の終わりが重なって、なにか一層、寂しさが募ってくる。
なんだか今日は感傷に浸ってばっかりだ。

銭湯を目指し、暗くなった道を走る。北海道でお風呂に入るのも今日が最後だ。
地元のおじさんらしき人が湯船に浸かっていた。ちょっと話しかけてみる。
「わたし、自転車で北海道を一周したんですよー」
やや自慢げに言うと、おじさんは目をまん丸にして驚いていた。
まあ、そりゃそうかもね。普通の人から見たらきっとすごいことなんでしょうね。
おじさんと話している中、印象に残った言葉があった。
「けっこう辛かったことの方が心に残っているもんなんだよね」
そう。そうなんです。まさしくそうなんです。
もちろん楽しかったことや嬉しかったこともしっかりと心に残っている。しかし、不思議と鮮やかに蘇ってくるのは、辛かったり、怖かったり、苦しかったことばかり。
ノシャップ岬の暴風雨、枝幸の雷雨、新ひだかの台風。どれも強く自分の心に刻まれている。今思い出しても背筋が寒くなる。あれは単なる怖さというより「死の恐怖」だった。ほんと、マジで死ぬかと思ったもんなあ。
お風呂から上がり、セブンイレブンなどで時間を潰し、午後九時、ネットカフェへ。
今晩は雨の心配もなく、街中にもいくつか寝床に適した場所があったのだが、最後の夜くらいは豪勢にいこうと思ったのです。まあ、単にネットがやりたかっただけなんですけどね。




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