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北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年8月19日(木) 旅はまだまだ終わらない (苫小牧 4km)
案の定というか、予想通りというか、昨晩は一睡もできなかった。というよりしなかった。まあ、ネットカフェで泊まると決めた時点でそのつもりだったんだけどね。
だって、もう自転車で走らなくてもいいんでしょ。後は電車で運ばれていくだけでしょ。眠かったら電車の中で寝ればいいわけだし。それに寝ていれば時間をやり過ごすこともできる。一応、そこまで計算した上での行動なのです。
などという理屈を心の中でつけながら、午前四時半過ぎ、ネットカフェを出る。外は一面の霧だった。
「うわっ」と一瞬思ったが、「これはこれでいいかも」とすぐに思い直す。だって北海道を発つ日に霧でしょ。ある意味、最後に北海道らしさを味わえる。そう考えるとツイていると言えるのではないか。そう思ったのです。
なんだか朝っぱらから前向きなわたしである。徹夜明けが、いい方に作用しているようだ。
静まりかえった苫小牧の街を走る。目の前は霧に遮られて視界がきかない。そのせいか自然と意識は耳にいく。聞こえてくるのは一定の間隔で鳴るチェーンの音だけ。スピードを上げると、ひんやりした空気が頬をなでた。
午前五時過ぎ、苫小牧駅に到着。手際よく輪行を済ませる。いやー、わたしもずいぶん慣れましたね。まあ、相変わらずキャリアを外すのは面倒くさいですが。おっと、ちゃんとネジはポッケトに一時保管しておりますよ。こう見えても意外と学習能力あるんです。
さあてっと、後は電車に乗るだけ。昨日、ネットで調べたら、なんと乗り換えが十一回もあった。でも、不思議と嫌な感情は湧いてこない。むしろ、まだ旅を続けられるのかと思うと、正直嬉しさの方が大きい。そう思うのは、よっぽど北海道がよかったのか、それとも旅の魅力にやられちゃったのか。きっと両方なんでしょうね。
午前六時、電車に乗り込む。朝早いこともあって車内はガラガラ。余裕のポーズで座席に座る。少しして電車が動き出す。苫小牧の街を抜けると、突然、目の前が開けた。
おお!海だ!海だ!いやー、久しぶりのご対面。思わずテンションが上がる。
海の前には、線路と平行に一本の道路が走っていた。しばらく外を眺めているとあることに気がつく。あれ?もしかしてこれってわたしが初日に走った道じゃない?見覚えのある道に走った時の記憶が呼び起こされる。
そうだ。そうだ。やっぱりそうだよ。不安と期待が入り混じった中、とにかくがむしゃらにこの道を走ったんだよなあ。いやー、懐かしいなー。しばし感慨に耽る。それにしても、一度、自転車で走った道を今度は電車に乗りながらそれを眺める。なんだかとっても不思議な感じ。当然、電車は何もしなくても前に進む。しかも自転車とは段違いのスピード。そう考えると、自転車で北海道一周したわたしってスゴイんじゃないだろうか。達成した当初はあまり感じなかったが、さすがにこの時ばかりは強く感じた。

午前八時五十二分、最初の乗換駅である長万部に到着。ちなみに次の電車までは二時間ほどの待ち時間。あはは。まあ、いいですよ。別に急ぐ旅じゃないし。のんびり行きましょ、のんびり。
といっても、二時間も駅にいても仕方ないので、一旦、外へ。というか、朝メシを食べるのです。改札できっぷを見せ、構内を出る。
あぢー。一歩、外に出た瞬間、日射しが束になって襲いかかってきた。なんなんだよー、この暑さ。これじゃあ内地と変わらないじゃないか。まったく北海道に(以下省略)。
駅で見た地図によると、この近くにセブンイレブンがあるらしいのでそちらへ向かう。しかし、これが思いのほか遠かった。地図で見た時はえらく近くに感じたのだが、歩き出してみるとこれがなかなか着かないのだ。
「あっ」よく考えたら、さっき見たのは地図というよりも手書きの簡略図に近かった。距離なんてテキトーなのである。くそーっ。なんか騙された気分。
あまりの暑さに一瞬、引き返そうになるがここまで来たら戻るよりそのまま行った方が近いと判断。結局、そのまま進むことに。
熱気が体にまとわりつく中、なんとか辿り着く。おそらく最後であろう「でっかいやきそば弁当」を買って食べる。もう終わりなんだよね。食べていたら自然と涙が……というのはウソですが。
食後、雑誌を立ち読みする。というより、涼んでいるのです。あまりの暑さに外へ出る気がしないのですよ。とはいえ、いつまでもここにいるわけにもいかない。えいや、と気合を入れてドアを押す。
「誰か火でも焚いているんじゃないか」そんな熱気が体にぶつかってきた。うわっ、なんだよ、この暑さ。一瞬にして気が萎える。やっぱり戻ろう、と思ったが、そうすると次が出にくくなる。頑張って、再度アタック。ドアを開けると、ふたたび熱い空気が体に当たった。うわっ。またしても挫けそうになりドアを閉めかける。しかし、心を鬼にしてなんとかクリア。出てみると外は相変わらずの暑さ。というか、日が高くなった分、なんだか暑さが増した気も。あぢー。目の前が朦朧としてきた。日射病になるかも。一瞬、そんなことが頭をよぎる。うー、こんなところで倒れたらシャレにならんぞ。というよりカッコ悪い。自転車であんだけ走っても大丈夫だったのに、ちょっと歩いただけで日射病になったりしたらダサすぎでしょ。とにかく「駅に着く、駅に着く」そのことだけを考えて歩く。
なんとか駅に到着。ちなみに道中のことはほとんど覚えてない。あまりの暑さに記憶が飛んじゃったのだ。
乱れた呼吸を整え、椅子に座る。ふーっ。助かったぜ。
電車まで、少し時間があったので本を読みながら待つことに。それにしても思ったより二時間はあっという間だった。多分、セブンイレブンの往復に時間をとったせいだと思います。

午前十時四十三分発の函館行きに乗る。通路を挟んだ隣の席に六十代くらいの男性がいた。大きなザックを横に置いていたので旅行者と思い、話しかけてみる。訊くと、定年を迎えたばかりの登山者。北海道へは利尻山と羊蹄山を登りに来て、今はその帰りだそうです。
おお、なるほど。登山者でしたか。そういえば、さっき見たホームでの立ち姿は実に背筋が伸びきっていた。がっちりとした体から伸びた腕はまるで丸太のようである。
この方、なんと三重から18きっぷを使って北海道に来たというから驚いた。登山も好きだが、電車に乗るのも好きなんだそうです。いや、いくら好きといっても、三重から普通列車で北海道でしょ。スゴ過ぎですよ、あなたは。
今まで、18きっぷは若者の貧乏旅行、そういったイメージが強かった。しかし、このおじさんのを話を聞いて少し印象が変わった。なんだか楽しそう。ちょっと勇気が出てきた。よし、わたしも年をとっても利用することにしよう。
話を続けていると、突然、前のボックス席に座っていたおばさんがニコニコした顔をこちらに向けてきた。年は六十代、いや七十代といったところか。ただ今、老後満喫中。そんな感じである。
「今日も暑いわねー。長いこと北海道に住んでいるけど、こんなに暑いのは初めて」相変わらず顔はニコニコ。笑うと顔がしわくちゃになる。
きっと手持ち無沙汰なのだろう。誰かと世間話をしたいのだろう。ま、いっか。こっちもどうせ暇だし。話し相手になってあげようかね。そう思い、おばさんの話に耳を傾ける。しかし、この後わたしは信じられない言葉を耳にすることになる。
「いつもならこの時期、朝晩は寒くてストーブを焚いているのよ」
ん?ストーブ?・・・・・・ストーブっていったら、寒い時につける、あのストーブだよね?でも、なんでこんな暑い日にストーブの話が出てくるの?・・・・・・え?まさか本当にストーブつけてるの?こんな真夏に?おいおい、マジかよ。
いやいや、待て待て。いくらなんでもそりゃないだろう。だって、むしろストーブを焚いているような暑さなんだぜ。それなのにわざわざストーブなんて焚くわけがない。これはきっとおばさんの悪い冗談。どうせわたしを通りすがりの旅行者と思って騙そうとしているのだ。きっと、そうに違いない。
しかし、おばさんは何事もないように話を続けてくる。「この時期、ストーブを焚かないなんで初めてだよ」
真顔だった。しかもなぜかおばさんは声をヒソめている。誰かに聞かれちゃまずい話なのか?
おいおい、マジかよ?それって冗談じゃなかったのかよ?
いやはや驚いた。まさか本当にストーブを焚いているとは。どんだけすごいんだよ北海道。
でも、そのストーブがいらないっていうことは、よっぽど暑いってことだよね。やはり今年は異常気象なんだろうか。
わたしたちが話を聞いて気をよくしたのか、おばさんはさらに話を続けてくる。しかし、今度はどこか寂しげだ。
「長万部も昔はすごく栄えていたんだけど、今はすっかり寂れちゃってねぇ」
そう、そうなのである。長万部は、乗換駅なのでさぞかし大きな駅、駅前にもロータリーがあり、たくさんのお店で賑わっている。着くまではそう思っていた。でも、実際は違っていた。駅舎はこじんまりとした質素な木造。ロータリーなんてどこにもなく、すぐ目の前は道路。それも三段跳びで渡れてしまいそうな狭い道路なのである。なんだか遠くに来ちゃったなあ。そんな感想を抱いてしまう。
「これなら八雲の方が大きなスーパーもあるし、ホームセンターもあるし。よっぽど栄えているよ」わたしがそう言うと、おばさんはすっかり笑顔を取り戻した。「そうなのよ。今日は今から八雲のパチンコ屋へ行くのよ。長万部にはパチンコ屋なんてないからね」
なるほど。解せました。だからさっきから笑顔だったのですね。どおりでニコニコするわけだ。

午後一時二十六分、函館駅着。食料や飲み物を買うため一旦、外へ。
一時間ほどして駅に戻り、木古内行きの電車に乗る。午後三時五十分、木古内駅着。ちなみに次の停車駅は青森県の蟹田駅。そう、いよいよ北海道ともお別れなのです。
本州へ渡るためには、当然、青函トンネルを通らなければならない。ところが、青函トンネルには特急列車しか走っていない。普通列車は走っていないのだ。じゃあ、18きっぷのわたしはどうすればいいわけ?
そうなんです。それを知って、わたしもすっかり困ってしまった。というわけで、駅員に訊く。
「うーん、残念ですがこれじゃあ青函トンネルは通れないですね。18きっぷは普通列車しか乗れないですからね。申し訳ないですが船かなにかで本州に渡ってください」
ええ!マジで?わたしはすっかり途方に暮れてしまった。ここまで来て渡れないなんて。そんなことがあっていいのだろうか。
というのは冗談。さすがに18きっぷで通れないことはなく、特例として木古内―蟹田間は特急列車に乗車していいそうです。
なーんだ。そうだったのか。ホッとした。
それにしても、ラッキーじゃん。だって、18きっぷで特急に乗れるんだよ。こんな機会はめったにない。これでちょっとは優雅な気分が味わえるかも。
しかし、そうも喜んではいられなかった。というのも、蟹田で降り損なうとその瞬間、木古内からの特急料金が発生して、乗った分だけ乗車賃を徴収されるというのだ。うーん、そう簡単にはゆっくりくつろがせてもらえないのか。
ホームに降り、特急列車が来るのを待つ。十分ほどするとやってきた。どうせ座れないだろうと思い、最後に乗り込む。まあ、いいんですよ、自転車さえ置ければ。ぜいたく言いません。しかし、車内に入ると意外にもポツポツと席が空いていた。おお、ラッキー。隣の人に軽く会釈をして腰を下ろす。
いやー、それにしても楽しみ。だって、これから海の中を通るんですよ。そう考えただけでテンションが上がるじゃないですか。実は、帰りに電車を選んだのも、青函トンネルを通りたかったということが理由の一つだったのだ。
「もうすぐ、青函トンネルに入ります」ゆったりとしたアナウンスが車内に流れる。おお、いよいよ青函トンネル。いやがおうが上にも気持ちが高まる。しばらくすると、列車は轟音とともにトンネルの中へ。いやー、すごいなあ。いよいよ海を通るんだあ。窓の外を見ながら気分は最高潮。
……ん?しばらくしてあることに気がつく。窓から見えるのが暗闇ばかりなのだ。延々、この景色が続いているのである。
おいおい、これじゃあ海を通っているのかどうかわかりゃしないじゃないか。と言いながらすぐに思いつく。そりゃそうだ。列車が泳いで海を渡っていくわけではない。海の中とはいえトンネルを通っていくのである。まあ、少し考えればわかりそうなことなのだが、興奮しすぎてそこまで考えが及ばなかったのだ。
面白いこともあった。自動ドア上部に細長い電光掲示板があるのだが、トンネルに入ると、そこにトンネルと電車の図が表示され、現在位置を教えてくれるのである。しかも、車内アナウンスでの音声ガイドつき。やけに親切でちょっと嬉しくなる。これも乗客を増やそうというJRの営業努力か。
「まもなく蟹田」というアナウンスで席を立つ。ここで降りないと特急料金を請求されるので、早目の行動というわけ。意地でも降りてやるー。

蟹田から再び普通列車に乗り、午後六時十一分、青森駅着。
登山のおじさんとはここでお別れ。青森のホテルで泊まるそうです。一方、わたしの旅はまだまだ続く。どんどん行きまっせー。
でも、次の大館行きまでは二時間ほどの待ち時間。というわけで、ここでも外へ。青森はすでに夕暮れを迎えていた。
「二時間ほどで観光できそうな場所がないですか?」観光案内所で訊く。観光用の八甲田丸や観光物産館を勧められた。
まずは八甲田丸へ。おお。なかなか立派な船。早速、船室へ。が、すでに閉まっていた。開館時間は午後六時まででした。仕方ないので外をウロウロ。階段があったので上がってみる。甲板ではビアガーデンをやっていた。
人少ねー。そこでは、仕事帰りらしきサラリーマンが五、六人飲んでいるだけだった。青森ではもうシーズンは終わっちゃったのか。なんだが秋の訪れを感じてしまった。
青森ベイブリッジというどこかで聞いたような名前の橋を渡り、観光物産館アスパムへ。巨大な三角チーズのような建物にちょっとギョッとする。とりあえず中へ。しかし、お土産物屋をはじめ、どこもかしこも閉まっていた。あーあ、つまんねー。
階段下の広場にある椅子に腰掛ける。へー。津軽三味線か。壁には、津軽三味線の生演奏の告知ポスターが貼ってあった。いいなあ、津軽三味線。しかも、生。聞いてみたい。実はわたし、津軽三味線が好きなのです。あの音色が鳴ると耳が、いや心が奪われちゃうのです。早弾きなんてやられたらもう昇天しちゃいそう。そんなことを考えているとだんだん気持ちが抑えられなくなってきた。
三味線聴きてぇーよー。
しかし残念。開催は明日の昼間でした。うわー、マジかよー。でも、やっぱり聴きたいなあ・・・。
なんならここで一泊していく?そうだ。それもいい。なにも急いで帰らないといけない理由はない。ついでに田沢湖や十和田湖も周ってみるか。おお、なんていいアイディア!
とも思ったが、「果たして18きっぷでどこまで行けるのか」それもやってみたいしなあ。ここで泊まってしまったらその挑戦が終わってしまう。それに、もう家に帰ると決めたのだ。今さら変更するのも面倒くさい。やっぱり、よそう。このまま行けるとこまで行こう。
続いて、駅前の繁華街を歩く。驚いた。いや、思っていたより賑やかなのである。駅から伸びる道の両側にはたくさんのお店。それがずーっと続いている。
「青森=田舎」わたしの中ではそんなイメージがあった。でも、実際来てみたらそんなことはなかった。けっこうな都会なのである。わたくし、青森を見くびっておりました。
さて、なにしよう。電車まではまだ時間があるし・・・・・・やはりわたしの場合、図書館でしょうか。
さっき観光案内所でもらった地図で、図書館を探す。するとすぐ近くにあった。早速、行く。
驚いた。なんと商業ビルの中に図書館が入っていたのだ。こんなのはじめて。もしかしたら都会ではこれが当たり前なのかも。ますます青森を見直してしまった。
図書館の中に入り、さらに驚く。広くて実に綺麗なのだ。しかも、かなり遅い時間まで開いているよう。おまけにDVDも充実している。すごいな、ここ。三日くらいは時間を潰せそうだ。ここに来るためだけに青森に来たくなった。今度青森に来たら、ここでゆっくりすることにしよう。
午後八時二十六分、青森駅を出発。残りの乗り換えは大館での一回のみ。まだまだ先へ行きたいところではあるが、あいにく今日の最終は秋田まで。ちなみに到着予定時刻が午前一時十二分ですって。あはは。さすがにこりゃすごい。
この頃になると眠気が尋常じゃなくなってきてきた。そりゃそうだ。昨日は一睡もしなかったんだもん。座席に座ると、すぐに睡魔が襲ってくる。時々目を覚ますが、すぐに睡魔がおいでおいでと手招きをしてくる。秋田まではずっとこの繰り返し。というわけで道中のことは憶えてない。なので書けることもありません。

真っ暗闇の中、秋田駅に到着。着いたということは、おそらく一時を過ぎたということなんでしょう。自転車と荷物とともにゆっくりホームに降りる。ベンチで一夜を明かそうと思ったが、あいにく駅は閉まるらしく、すぐに追い出される。まあ、しゃーない。どこか外で寝るところを探そう。改札を抜けると、すぐ目の前が大きな通路だった。前を見れば壁、上には天井。なにやらここは大きな建物の中らしい。通路には等間隔にベンチがある。しかし、円形になっているためその上では寝れない。仕方ないので通路の壁際にマットを敷いてその上に横になる。寒くはなくなかったが、なにか物寂しかったので寝袋を掛け布団代わりにする。時々、わたしの顔の横を人の足が通り過ぎていく。でも、気にしない。どうせ四時間後には起きているのだ。そうなのです。明日は午前五時四十九分発の電車に乗るのです。
でも、そんな朝早くてもちっとも嫌な気がしない。むしろ楽しみなくらいだ。なんかすごいことにチャレンジしているみたいで自然とテンションが上がってくるのです。そんなことを考えていると、またしても睡魔がやってきた。寝坊しないようにとケータイのアラームをセット。えーと、五時半くらいでいいかな。今回の旅もいよいよ明日の帰宅をもって終わりを迎える。北海道滞在一ヶ月ちょっと。長かったような短かったような。でも、不思議なことに寂しさは感じない。やりたいことをやったという満足感。それと、そのうちまた来るのではないかというと根拠のない期待感。そんなことが心の大部分を占めている。
そっと目を瞑る。明日の天気はどうかな。晴れるといいけど。でも暑かったら嫌だなあ。そんなことを考える。人の気配はまったくしない。さすがにこんな時間では通る人はいないか。徐々に意識が薄らいでいく。寝坊しないようにと自分に言い聞かせる。朝一で電車に乗らないといけないからね。そう、旅はまだまだ終わらない。 ―完―
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