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北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年8月15日(日) マックで寝てみませんか (旭川 38km)
朝、目を覚まし、ケータイを見る。時刻は午前三時四十分を表示していた。さすがに後、十分じゃ無理か。いやね、昨日は八時間のナイトパックで入ったので、三時五十一分にはここを出なきゃならんのですよ。
しゃーない、一時間ほど延長するか。そうそう、昨日ネットで調べたら、旭川行きの始発が午前六時一分にあるそうなので、今日はその電車に乗って旭川に行こうと思います。
午前五時前、ネットカフェを後にし、札幌駅へ向かう。到着すると、すぐにタイヤを外しフレームとともに輪行袋に入れる。およそ十五分で終了。おお、わたしもかなり手慣れてきたもんです。
構内に入り、切符を買おうとすると、床に大きな輪行袋を置いた少年の姿が目に入った。おや?もしかしてわたしと同じ輪行ですか?近寄って話しかけてみることに。
「こんにちは。これって自転車ですよね。どちらまで行かれるんですか?」
「えーと、旭川の先の上川まで行って、そこから自転車で走ろうと思っています」突然話しかけられて驚くかと思ったが、案外冷静に答える少年。
「じゃあ、もしかして六時一分の電車?」
「ええ。そうです」
はい、キター!わたしといっしょの電車ですね。これで旭川まで退屈せずにすむ。いい話し相手ができたぞいと。
彼は愛知県在住の高校二年生。夏休みを利用して一週間ほど北海道を走るそうです。
うーん、えらい!若いうちにそういう旅行はいいことです。あまり若くないわたし、そう思いますデス。
そんな彼と話していて驚いたことがあった。なんと彼が通っている男子校の学費、それが一般的なサラリーマンの年収と同じぐらいなのだ。
うっそ!マジかい。唖然、呆然。耳を疑った。軽く腰を抜かした。だって、サラリーマンの年収でしょ。普通の人はそれで住宅費やら食費、光熱費、娯楽費、教育費などをすべてまかなうんだよ。でも、きみんところは、学費だけでそれを全部使っちゃうんだよね。
そんな学校がこの世に実在するとは。二の句が継げず、ただただ驚くばかり。
それにしてもサラリーマンの年収ということは、何百万円はかかるということだよね。
「ところで学費っていくらなの?」恐ろしすぎてそんなことは訊けなかった。ちなみにクラスメートのほとんどは、社長か医者の息子だそうです。
そりゃそうでしょ。並の家庭じゃまず通えない。もしかして、これって実録『花より男子』か?よく見れば、彼、F4にいてもおかしくないような感じだし。うーん、わたしたち庶民とは住む世界が違い過ぎます。
午前八時五十五分、旭川駅着。彼とはここでお別れ。結局約三時間、ずっと話しっぱなしだった。別れ際、右手を差し出しながらわたしは言った。「話し相手になってくれてありがとう。おかげで退屈しなくてすんだよ」
「いえ、こちらこそありがとうございました。いろいろ話ができて楽しかったですよ」わたしの手を握りながら少年は言った。
大人だろうが、誰であろうが、対等である。そんな気持ちが彼の言葉からは伝わってきた。
実に礼儀正しく、堂々とした少年だった。なにか育ちのよさを感じますね。きっとこういう少年が世の中でいうエリートと呼ばれる人になっていくんでしょうね。
それにしても、なにか敗北感があるのは気のせいだろうか。

輪行袋と荷物に埋もれた体を引きずり、改札を通り過ぎる。構内を出て、自転車を組み立てていると前から声が聞こえてきた。
「おはようございまーす」
見ると、ウトロで別れた少年だった。そうなんです。実は、昨日旭川に着いた少年と、「それなら一緒に富良野まで走ろうよ」とメールで約束していたのです。いやー、それにしても久しぶり。なにかずいぶん見ないうちに逞しくなったんじゃないかい。
さて、これからどうしよう。今日一日は旭川にいるとしても、問題は明日。できれば明日から富良野に向けて走りたいのだが、天気予報によると生憎の雨らしい。そうなると旭川で連泊か?嫌だなー。だって二日もいてもすることないでしょ。
ま、先のことを考えても仕方ない。とりあえず今日である。なんでも少年はラーメン村に行ってラーメンを食べたいらしい。まあ、いいですけど。とくに旭川で行きたいところはないしね。ちなみに少し離れたところには、動物好きにはたまらないかの有名な旭山動物園があるのだが、正直行く気はしない。動物にあまり興味がわたしには、とても入園料八百円の価値があるとは思えないのだ。かといって、「ラーメン食いてー」でもないんですが。まー、早い話、旭川で行きたいところはないのです。とはいっても、せっかく来たのだから素通りするのはもったいない。とりあえず旭川に行った、そんな記憶を残しておきたい。ただそれだけなんです。
と、ここまで書いて思った。これ、全然早い話じゃないじゃないか。わたしが読者なら間違いなくつっこんでいるところである。
少年と駅ビルの店をひやかし、ラーメン村へと向かう。途中、ユニクロで少年の買い物に付き合い、無事到着。見ると、平屋建ての建物の中に八軒ほどのラーメン屋が店を出していた。
北海道歴が長い少年は幾度となくここに来ていて、来るたびにお店が入れ替わっているそうです。
いいと思います。おそらく人気のない店は淘汰されるということなんでしょう。至極当然のことですね。やはりそういった正当な競争がないと味が落ちていくと思います。
それはさておき、どの店にする?少年はどこでもいいらしく、わたしに任せると言っている。うーん、正直、わたしもどこでもいいのですが。というか、どの店がいいのかまったくわからんのですよ。
結局、とくにラーメン好きでもグルメでもないわたしが唯一知っていたということで、「山頭火」にする。なぜかこのお店だけは知っていた。多分、種田山頭火を知っていたので店名を憶えていたのだと思います。
さして行列に並ばず、店の中へ。わたしは辛味噌ラーメン、少年はとんトロラーメンを注文。
旨いじゃん、これ。ピリッとした辛味噌と麺がうまく絡みあって美味しいのである。ただ、決して舌が肥えているとは言えないわたし、他のラーメン屋と比べてどれほど美味しいのかはわかりません。
食べ終わり、外へ。少年はこれから『インセプション』という映画を観るそうです。
あー、それ知っているわ。渡辺謙とディカプリオが出ているヤツだろ。だってさかんにテレビでCMスポット流れていたもん。
わたしも観ないかと誘われたが、今のわたしに千五百円はちと高い。映画観るならその金でネットカフェ泊まるわい。
ボーっと待っていても仕方ないので、その間わたしは洗濯することに。着替えが残り一日分しかないのです。
旭川の街をコインランドリーを探して走る。あてずっぽうに走っていたら、コインランドリーに遭遇。おお、ラッキーじゃん。洗濯をしている間は、旭川の街を散策することにした。
で、街の印象はというと・・・・・・うーん、なんなんだろう。いや、なんと言ったらいいのだろう、これ。特徴がない街、というのが正直な感想なのですが。
道は広くて綺麗に整備されているのだが、目にするものといえば、ファミレス、家電量販店、ファーストフード店、古本屋など郊外によくある風景。旭川らしさというものがまったく感じられないのだ。きっと旭川は、街並を楽しむようなところじゃないんですね。
少し驚いたこともあった。駅前はわりと賑わっているのだが、そこから少し離れると空き地がポツポツと目立ってやけに寂しげだったのである。
うーん、これはいったいどういうことなんだろう。もしかして地上げ屋の仕業?そうとも思ったが、バブルはとっくに終わっているし。うーん、なんなんでしょう、これ。知っている方がいたら教えて下さい。
走っている途中、雨が降り出す。洗濯を終え、雨宿りがてら駅にいると、少年からメールが入った。なんでも映画を観終わり、これからライダーハウスに向かうそうです。
うーん、ライダーハウスですか。君はそこに泊まるんですか。あー、わたしはどっしよっかなあ。いやね、別にそこに泊まるのはいいんですが、近くにお風呂がないんですよ。
特別これといったこだわりのないわたしではあるが、お風呂には毎日入りたいかな。そこはちょっと譲れないかも。
駅の一画にある観光案内所行く。訊くと、駅からさほど離れてないところに銭湯があるとのこと。よっし。これでスッキリできるぞ。
少年に、「おれはテキトーにここらへんで泊まるわ」というメールを打ち、市街で泊まれそうな場所を探す。なーんて言いながら実はもう目星はつけてあります。実は、マック、えーと関西風に言うとマクドか、つまりマクドナルドに泊まろうと思っているのです。
え?マック?マックって泊まれるの?
そう思ったそこのあなた。そうなんです。わたしも最初そう思ったんです。
ところが、斜里で出会った金丸くんによると、これが全然余裕なんだそうです。
「コーヒーならお替り自由。冷暖房完備だし、充電し放題。こんないい場所ないですよ」
まるで豪華ホテルに泊まるかのような口ぶりに、思わず心動かされちゃったんです。そこで一応訊いてみた。
「でも、さすがに横になって寝るのはできないでしょう」
「いや、大丈夫ですよ」
えっ?そうなの?いや、マジで?てっきりわたし、テーブルに突っ伏して寝るのかと思っていたんですけど。でも横になれるのならちゃんと眠ることもできそう。よし、そんじゃ一回泊まってみようか。それになんか楽しそうだし。
金丸くんの話を聞いて以来、実は、ずっと泊まれる機会を窺っていた。そしてようやくその機会が今日訪れた。北海道滞在も残りわずか。おそらくこれが最後のチャンスでしょう。

お風呂に入り、いよいよ駅近くのマックに向かう。いやー、さすがに緊張してくるなあ。いざやるとなると本当に大丈夫なのか、やはり不安なのですよ。しかし、ここまできたら後には引けない。いや、引いてもいいんですが。
少し気合を入れてお店の中へ。百二十円のコーヒーを注文すると、なぜかチキンの唐揚げがついてきた。
コーヒーを手に持ち、ゆっくりと店内を見渡す。できれば奥がいい。そちらへ目をやる。人はいるが一番奥の場所は空いている。おお、ラッキーじゃん。よし、ここにしよう!すぐにそちらへと歩き始める。
いや、待て。早まるな。慎重を期して一応、イメージしておこう。横になっている自分の姿を頭に思い浮かべる。
ダメだ。これじゃあダメだ。あまりにも隣の人と距離が近くなってしまう。
他によい場所はないか、と顔を右に向ける。一つづきになっている長ソファが目に入った。すばやく端から端へと目を走らす。誰もいない。よし、ここにしよう。
と思ったが、レジから近いのが気になる。店員の視線が気になる。ふたたび店内をぐるりと見渡す。しかし、遂行できそうな場所は他にはなかった。
しゃーない、妥協してここにするか。とりあえず荷物を置き、陣取ることに。店内の時計に目をやる。まだ六時。寝るにはだいぶ早い時間だが、正直もう寝てしまいたい。昨日はネットカフェ泊だったので相変わらずの寝不足なのです。まあ、いっか。ほとんど客いないし。よし、寝てみるか。ふたたび気合を入れる。さあ、いよいよ実行の時だ。
うーん、でもなあ・・・。初心者のわたしがいきなり横になるのは勇気がいるよなあ。それにすぐに横になったら、さすがに店員も注意しに飛んで来るだろう。ここはまず不自然に思われないように、徐々に寝る体勢にもっていったほうがいいのではないか。
しばし周り、とくに店員の様子を窺う。誰一人わたしに視線を向けている者はいない。よし、今度こそいくぞ。第一段階として、まずはソファの上にあぐらをかいてみる。と同時にすぐに周りに視線を向ける。グループ客は仲間内の話で盛り上がり、一人客はケータイをいじっているかボーっとしている。肝心の店員は客の応対に忙しい。誰もわたしのことを不審がっている者はいない。よし、まずは第一段階クリアだ。引き続き第二段階へ。あぐらをかいていた足をほどき、体を横に向ける。今度はそのまま膝を抱えて体育座りの体勢へ。さて、これはどうだ?すばやく周囲に目を走らせる。誰もわたしの方を見ている者はいない。ホッ。どうやらこれも大丈夫な模様。よしよし、これならまだまだいけそうだ。この勢いを借りて第三段階へ。今度は立ち膝のまま、そっと上半身だけを倒してみる。さすがにこれはちょっと厳しいか?と思ったが、相変わらず周りの視線は感じない。おお、なんとこれもクリア。わーお。よし、この調子ならこのままいけるんじゃねえか。
ところが、ここからが問題だった。
「ちょっとリラックスしているだけ」今まではそういった雰囲気でいけた。でも、ここからは最終段階。いよいよ全身を伸ばさないといけないのである。
さすがにそうなると、どう見てもゆっくりくつろいでいる風には見えない。というか、単なる寝ているようにしか見えないだろう。ここはかなり難関。
上半身を起こした状態で脚を前に投げ出してみたり、または、脚を伸ばしたままで上半身だけをねじったりみたり。三十分ほどあれやこれやと体勢を変えてみるが、なかなか踏ん切りがつかない。といっても、このままでは埒が明かない。やるかどうかしばし逡巡。
えーい!男は勇気じゃ!いったれ!おそるおそる曲げていた膝を伸ばす。全身が棒のように一直線になった。
おお!やった!やっちゃった!ついにやってしまった!
息を止め、すぐさま周りの反応を窺う。相変わらずみなさん、それぞれの世界で忙しい様子。誰もわたしを不審がる者はいない。
なんだ大丈夫じゃん。やればできるじゃん。ここまでくれば後は目を瞑るだけ。造作はない。しかも眠いし。きっとあっという間に眠ることができるだろう。そして目が覚めた時には富良野に向けて走りだす。
わーお。できたことの達成感と明日への期待感で、ちょっとした幸せを感じる。そんな幸福感に包まれながらそっと目を瞑る。意識が遠のいていくのを感じながら眠りについた。
「ちょっと、ちょっと!お客さん!ここで寝ないで下さいよ!」
突然、尖った声がわたしを直撃した。ハッと目を開ける。そこには眼鏡をかけた店員が腕を組んで仁王立ちしていた。しばしその店員と目が合う。店員はわたしを睨みつけてくる。鋭い矢のような視線がわたしの顔をブスブスと突き刺してくる。心なしか髪の毛が逆立っているようにも見える。無数の針のような殺気がわたしに向かって放射されている。顔が赤く上気し、怒りに顔を滲ませ、何か言葉にならないことをブツブツ言っている。
どうやらわたし、いけないことをしちゃったみたいです。
もー、やっぱりダメじゃんかよー。起こされちゃったんじゃんかよー。と思う一方、やっぱりな、という思いもあった。だって横になって寝ることが許されるのならみんなやるでしょ。そんなことになったら収拾つかないじゃん。
あーあ、やっちゃった。やっちまったよ。
ま、でもやっちゃったものはしょうがない。「すいません」とすぐさま頭を下げる。それを見ていた店員は、さっと踵を返し無言のままカウンターの方へと歩いていった。背中には怒りのオーラが燃え上がっていた。
壁に掛かっている時計を見る。夜の十時を過ぎたばかりだった。ということは、一時間ほど眠っていたのか。それにしてもカッコ悪いというかなんというか。まったくこんなことで怒られるなんて恥ずかしいったらありゃしない。まあ、でもいっか。一応、多少なりとも寝ることはできた。気は済んだ。後悔はないです。店員を怒らせたのは悪かったが。
コーヒーで飲もうかな。よろよろとソファから立ち上がり、カウンターへ向かう。一時間とはいえ眠ることができた。頭はけっこうスッキリしている。それにしても、ここで寝れないとなると、どこか他に場所を見つけないとなあ。
さて、日記でも書くとしますか。うまい具合に時間を潰すとしたらそれしか思いつかないのです。
しばらく日記をつける。途中、トイレのために席を立つ。戻ってくると、隣のテーブルにツーリングマップルが置いてあるのが目に入った。あれ?もしや旅人?
声をかけてみると、やはりそうでした。山岳サークルに入っている大学生。なんでも昨日まで大雪山を登っていて、明日からバスや電車を乗り継ぎ、道東を中心に北海道を回るそうです。
おお、道東ですか。なつかしー。つい最近までわたしも行っていましたよ。というわけで、オススメの場所を挙げたりする。結局、二時間ほど話をした。
時計を見ると、〇時半過ぎ。そろそろ寝る場所を探さないとね。さて、どうする?と言いつつ、一応見当はつけています。お風呂に行く途中に市役所を見かけたので、そこの軒下を借りようかと思っているのです。
そんじゃ、そろそろ行きますか。なんとなく店員の視線も感じますしね。窓から外を見る。夕方から降っていた雨はすでに上がっていた。
自転車に荷物を積む。十分とかからず市役所に到着。少し走り回ると広い軒下があったのでそこに自転車を停める。ケータイを見ると、時刻は午前一時を回っていた。おっと、もうそんな時間か。明日も早いのでさっさと寝ることに。敷いたマットの上に寝袋を広げ、そこに潜り込む。雨上がりのせいか少し蒸し暑い夜だった。
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