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北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年8月6日(金) 「ニ・ホ・ロ」とはどんな意味があるんでしょーか (標津―根室 109km)
さすがにバス待合所はよく眠れる。いつもより早い午前三時半に目が覚めた。昨日はあれから発泡酒を飲み、そのまますぐに眠ってしまった。
ぐっすり眠れたおかげで、そのまま寝袋の中でウダウダすることなく、しゃっきりすぐに起きる。順調に出発の準備を重ね、午前四時半に出発。今までの最早記録更新。
普通に考えれば、こんな時間に自転車に乗っているというのは異常だよなあ。でも、これが北海道ならまったくそんな気がしないから不思議。いや、北海道というよりも旅先でこういうことをやるのにまったく違和感がない。そう考えると、むしろそういった非日常感をやるために旅に出ているのかもしれない。それができていることが殊更嬉しく感じる。
爽やかな朝の冷気を感じながらペダルを漕ぐ。陽が早く昇る北海道とはいえ、さすがにこの時間ではまだすっきり明るいというわけにはいかない。それでも地平線が徐々にオレンジ色から水色に変わっていくため、「今日は快晴だ」というくらいはわかる。その消えつつあるオレンジ色が自分の網膜に焼き付く。朝日ってこんなに綺麗だったんだ、こんなに清々しいものだった。そんな当たり前のことを今さらのように感じる。
なんだか感傷的な出だしである。ま、たまにはいいよね。
途中、オシッコのためパーキングエリアにあるトイレに立ち寄る。その隣には北方領土に関する資料館、「北方の館」という建物が建っていた。おお、そういえばわたしは北方領土問題にも関心があったなあ。早速、中に入ってみる。
なーんてね。まだ朝の五時半。やっているわけないのです。
トイレで用を済ましていると、掃除のおばさんがやってきた。こんな朝早くからお掃除?すごいなあと思ってちょっと話しかけてみる。
「おばさん、こんな早くから掃除ですか?大変ですね」
「朝から利用する人がいるので、いつも早目に来てやっているのよ」ちょっと、恥ずかしがり屋さんなのか、わたしの方に顔を向けずに答えた。
あはは。それ、わたしのことですか。朝からお仕事、ご苦労様です。
しばしおばさんとおしゃべり。いつの間にか話題は北方領土に関することへ。なんでも北方領土返還運動は根室が一番盛んらしいとのこと。へー、そうなんだ。よし、根室に行ったら市役所にでも行って話を訊いてみるか。

ここからしばらくは北海道特有のゆるやかな下り坂が続く。しかし、向かい風なので漕がないとちっとも前に進まない。
厚床まで残り十キロのところにパーキングエリアがあった。ようやくそこで朝食休憩を摂ることに。そう、ここまで休めるような場所がなかったのです。
まずはトイレに。するとその行く途中、一台のワンボックスカーが停まっているのが目に入った。こんな朝っぱらからいるということは、おそらく昨晩ここに泊まったのだろう。それにしてもこんな人気のないところで泊まっているなんて珍しい。だいたい車中泊する人は道の駅に泊まる人が多いからだ。もしかしたら旅慣れた人なのかもしれない。そんなことを考えながら、車の横を歩いていく。チラッと横目で見ると、一人のご婦人がテーブルの上でメロンを切っていた。
そういえばここ最近、というより北海道に来てからまったく果物を食べていない。そろそろ果物を食べたいところですが。
話しかけてみますか、メロン目当てに。
「あらー、ちょうどよかった。今、メロン切っていたところだったのよ。よかったら、お一つどうぞ」もしやそんなことを言ってもらえるかもしれない。
というわけで、下心満載の笑みで声をかけてみる。
「こんにちは、神戸から来ているんですか?」そう、その車は神戸ナンバーだったのです。
話をしてみるとこのご婦人、旦那さんと二人で来ているそうです。そういえば向こうの水場に中年の男性がいる。おそらく彼がこの人の旦那さんなんだろう。案の定、奥さんがその男性を呼んだ。やはりそうだ。
旦那さんを交えて三人でおしゃべり。なんでもこのご夫婦、毎年夏になると北海道に来ているそうです。おお、北海道フリークなんですね。
お二人によると、今年の北海道、例年になく暑いそうです。いつもならこの時期、窓を閉めて寝ないと寒いらしいんだけど、今年は逆に窓を開けないと暑くて寝れないんですって。
さすがですねー。毎年北海道に来ているだけのことはありますね。これって、北海道初上陸のわたしにはまったくわからないこと。もう、てっきり毎年このくらいの暑さなのかと思っていましたよ。どうやら今年は日本全体で暑いようですね。
しばらくそのまま話を続けていくと、驚愕の事実が発覚。なんとこの奥さん、毎年冬になるとわたしが住んでいる地元のスキー場に来ているそうなんです。
ウッソー。マジですか。こんな偶然、本当にあるんですね。だって、ちょっと考えてみてくださいよ、みなさん。日本全国にどれだけスキー場があると思っているのよ。少なくとも百は越えているはず。その中からわたしの地元のスキー場に来る確率といったら、おそらく一パーセント以下でしょう。しかも、わたしが住んでいるところって、神戸から随分離れているし。それにそれに、そこのスキー場、ちっとも有名じゃないんですよ。というかほとんど地元の人しか行かないようなスキー場なんです。そう、まったくその奥さんが来る要素、ないのです。
そんなところに毎年行っているという人に会う。しかもこの北海道で。あり得ないでしょ、これ。すっごい偶然。あまりにもすご過ぎて笑っちゃいましたよ。なんでもそこのスキー場に知り合いが働いていて、それで毎年行っているんですって。
へー、そうなんだー。そうなんですかー。それにしても確実に、この奥さんの方がわたしよりもそこに行ってますな。だってわたし、スキーやんないですもん。しかも、少し離れた別のスキー場にも行ったことがあるという。あはは。わたし、そこで滑ったことすらないという。そうですね奥さん、どうかわたしの代わりに思う存分滑ってあげてください。
さて、そろそろ行きますか。お二人と挨拶を交わし、別れる。
「あっ、そういえばメロン」
結局、くれませんでしたな。
お二人と話をしたため、思いのほかたくさん休憩してしまった。できれば今日は納沙布岬まで行きたいのにー。
遅れを取り戻すかのように、少し焦り気味に自転車にまたがる。パーキングエリアを離れ、再び国道に出る。少し走ると、反対側の路肩を一人の青年が歩いてくるのが目に入った。背中にはザックを担いでいる。もしや、日本一周?だってこんな何もないところを歩いているなんてどう考えたっておかしいもん。歩いているのなら、きっとそうに違いない。
話しかけようかどうか迷う。
だって、さっきのパーキングエリアから一キロも走ってないんだもん。それなのにまたここで止まるのかよ。しかも、今日は納沙布岬まで行きたいのにー。
まあー、いっか。ここでやり過ごしたらなんか後悔しそうな気がするし。
というわけで声をかけてみる。「もしかして日本一周しているんですか?」
「はい」
キター!やっぱりそうだ!いやー、嬉しい。
実は、ここまで走ってくる間にも歩いている人を何人か見かけてきた。ほとんどが背中に大きなザックを背負っていたが、中には乳母車みたいなものを押している人もいた。正直、歩いて旅している人ってすごいというか、なんでそれをできるのだろうと不思議に思っていた。たしかに自転車も人力であるが、自転車は走るだけなら百キロ進むこともそう難しいことではない。でも、歩きの場合はそうはいかない。せいぜい一日四十キロがいいとこだろう。しかも、その距離を歩いたからといってうまい具合に寝るのに適した場所やお風呂が見つかるとは限らない。いや、きっと見つからないことの方が多いだろう。それなのに、なぜ歩いて旅しているのか?なにかそれがずっと気にかかっていた。
話してみるとこの青年、元々は歌手志望で、中途半端な自分を変えたくて日本一周に出たそうです。
うーん、ありがちな理由ですね。いや、別にそれを蔑視しているわけではない。むしろ、共感を覚える。というのも、わたしも「自分を変えたい」というのが、今回北海道を一周しようと思った理由の一つだったからだ。
ところで、この彼、一日四、五十キロは歩いているそうです。
すげー。いや、それはすごい。実は、わたしも一度だけ四十キロ歩いたことがありますが、後半は足の裏が痛くて痛くてまともに歩けやしなかった。しかもこの青年は一日だけじゃなく毎日それをやっているわけでしょ。いやー、すごい。すご過ぎます。
さらに話を訊いていく。実は最初、走って日本を周るつもりだったそうです。でも、荷物が多すぎて途中で断念したそうです。彼はちょっと後ろめたそうに、そう話していた。
いや、なにも卑下することはない。歩いてやるだけでも立派なことです。
その後、彼がやっているというブログの写真の被写体になる。いやー、照れますな。でも、本当は嬉しかったりして。実は、こう見えてもけっこう出たがりなのです。みんな、見てる?また人のブログに載っちゃったよー。

青年と別れ、しばらく行くと厚床の駅が見えてきた。寄ってみることに。いつものごとく、これといって用事はないのですが。
中に入ってみる。駅員らしき人はいなかった。するっていうと、ここは無人駅なのか。外にはトイレ。待合室もある。寝れますね、ここ。泊まれますね、ここ。
泊まっちゃう?
なーんてできるわけないじゃないですか。まだ十時ですよ。
それにしても暑い。暑いよー。暑いんだよー。それ、もーう一回。暑いんです、わたし。というか、目の前に陽炎が見えるんですけど。これって気のせい?じゃないよね。あぢー。死ぬー。これ、三十度くらいあるんじゃないの?いや、マジで。なんか道東は涼しいって聞いていたんですけど。ありゃ、ウソかい。おれは騙されたのかい。
そんな思いを抱きつつもわたしは走る、このクソ暑い中を。
途中、根室の道の駅に寄る。中に入ってみるとすぐ目の前が湖。わーお。こりゃ、すごい。ここに道の駅作った人に座布団一枚。
さらにここで、グッドでワンダフルな情報ゲット。なんでもこの先に北方領土の館というものがあるというのだ。おお、これぞわたしが求めていたもの。きっとそこへ行けば北方領土に関することがいろいろ聞けるんでしょうね。いやー、嬉しい。ちょっとテンション上がる。
ただ、どうでもいいことだけど気になることが。それは、その北方領土の館の名前。
え?なんて名前?聞きたい?聞きたい?みなさん、聞きたい?
「えーい!早せんかい!」なんていわれる前に言っちゃいますけどね。その名前は「ニ・ホ・ロ」と言うんです。「ニ・ホ・ロ」。
思わず絶句。なんてダサダサな名前なのか。最初この名前を目にした時、椅子からずり落ちそうになりましたよ。というか、そもそもなんでこんな名前にしたのか意味がわかんない。だって「ニ・ホ・ロ」ですよ、「ニ・ホ・ロ」。
ところが、これには深くてかつ非常に分かりやすい由来があったのだ。
さて、ここで久しぶりにクイズコーナー!
「ニ・ホ・ロ」とはどんな意味があるんでしょーか。分かった人は天才。座布団十枚はあげちゃうね。
といっても、おそらく分からないと思うのでいきなりヒント。「ニ・ホ・ロ」はそれぞれなにかの頭文字をとっています。
これでけっこう分かった人もいるんじゃないかな。
え?分かんない?もう、あんたも馬鹿ね。
まあ、こんなところでもったいぶっても仕方ない。というより、いちいち引っ張るのも面倒くさい。というわけで、早々とここで正解を申し上げちゃいます。さあ、みなさん、耳をかっぽじってよーく聞いてちょーだい。
「ニ」は日本の「ニ」。「ホ」は北海道の「ホ」。「ロ」は、そう、みなさん、もうお分かりですね。「ロシア」の「ロ」です!
つまり、日本、北海道、ロシアの頭文字をそれぞれとってつけた名前なんですね。
しっかし、なんて安直な名前なんだ。今までわたし、数々の北海道のネーミングを褒めてきましたが、さすがにこれにはダメ出ししちゃいます。付けた人、センスなさすぎでしょう。もう、付けた人の座布団持っていっちゃいます。ある意味、死刑です。
道の駅からしばらく走り、問題の「ニ・ホ・ロ」に到着。いや、存在は問題じゃないわけで。問題なのは、その名前ですね。
建物の横に自転車を停め、早速中へ。
ガラーン。うわ。誰もいねーじゃん。無料だから、それにちょっとした観光施設だから、たくさんの人で賑わっているかと思っていたのに。観光客らしき人誰もいず。もしかしてここ、本当は来ちゃいけないところなのか。それとも要人限定で一般の人は立ち入り禁止だとか。本当はどうなのよ、どうなのよー。誰か答えてくれー。
なんてことを一人心の中で叫びつつ一旦、外へ。
とりあえず自転車のそばに立って、一人作戦会議&食事タイム。菓子パンをかじりながら首を捻っていると、スタッフらしき男性が建物の中から出てきて、わたしに話しかけてきた。
え?なに。もしかしてウェルカムなの?入っていいの?なーんだ、そうだったんだあ。もー、早く言ってくださいよ。わたし、北方領土に関心があるのですけど説明とかしてもらえるんですかね?すると、一人の女性スタッフを紹介してもらった。どうやらこの人がわたしにいろいろ説明してくれるみたいです。
それにしてもこの方、顔の造作はよいのですが、全体的にふくよかというか、ふっくらとしているというか、かっぷくがいいというか、まあ、早い話、太っているんですね。
あーあ、とうとう言っちゃった。ごめんなさい、悪気はないのです。ただ分かりやすく言いたかっただけなのですよ。もう少し痩せれば美人の類になるのにと余計なお世話なことを考えつつお願いすることに。
いやー、それにしても彼女がいろいろ説明してくれたおかげで、今まで抱いていた疑問が氷解した。
元々、北方四島(国後島・択捉島・色丹島・歯舞群島)にはアイヌの人々が住んでいたそう。
これにはちょっとびっくり。ロシアと日本でやりあっているから、てっきりどちらかが先に住んでいたのと思っていたのだ。
一八八五年二月七日(ちなみに現在、二月七日は北方領土の日に制定されている)、日露通商条約が結ばれ、樺太がロシア領、千島列島が日本に帰属することが両国の間で正式に認められた。しかし、図々しいソ連(現ロシア)の野郎(そう呼んじゃいます)は第二次世界大戦時に日本の敗戦が決まると、そのドサクサに紛れ北方四島を乗っ取っちゃうわけですね。
そもそも、秘密裡に行われたヤルタ会談で千島列島はソ連に帰属することが決まっていたのである。もちろん日本の承諾なんてありゃしない。だが、ここがポイント。よく考えてみると、日露通商条約の時に北方四島を含む千島列島は日本の固有の領土として認められているわけだ。にもかかわらず、なして第二次世界大戦時に奪ったわけでもない北方四島をソ連に占領されなきゃあかんのだ。よー、よー、ソ連さんよー、あんたこれは前に日本の領土と認めたやんか。たとえて言うならば、元々の日本領土である北海道をソ連に上げるようなもんでしょ、これは。解せません。いやー、解せません。
これまで幾度となく日本とロシアの首脳の間でたくさんの会談がなされてきた、とパネルには書かれてある。しかし、現状を見る限りでは一向に問題解決が進展している気配がない。
返還運動をしている人には大変申し訳ないが、北方領土が日本に返されることはないと思う。だって、もうそこではロシア人が長い間生活しているわけでしょ。わたしがロシア人なら嫌だもん、日本に返すなんて。それにこんだけ長い間、両国首脳が会談していて表立った変化が見られないなら、やっぱり無理だと思う。
ところでわたしに説明してくれたこの女性、学芸員でもなんでもなく、単なる受付や事務をしている人なんだそうです。それなのにわたしの細かい質問(というより、ほとんどツッコミ)にも負けず、実に真摯に答えてくれた。まー、正直、かなり怪しい答えで、学芸員を呼ぶ場面もありましたが。
その後、彼女とは北方領土とはまったく関係ない話で盛り上がる(いつもこのパターン)。たとえば、お互い原宿で働いていたことがあったりとか。そんな話をつらつらと。
そんなこんなで話していると、先ほどの男性スタッフがやってきた。
「実は、彼女、昼食まだとってないんですよ」
あっ、そうなんですか。知らなかったとはいえ、それは申し訳なかった。
時計を見ると、すでに午後二時を回っていた。するっていうと、二時間も話をしていたのか。ちょっと長居しすぎましたかね。いやでも、あなた様のおかげで大変勉強になりましたよ。どうもありがとうございました。
ここでも予想外に時間を取ってしまった。というわけで、今日の納沙布岬行きはナシに。
まー、距離自体は往復五十キロということでそれほどでもないのだが、なんでもアップダウンがけっこうあるらしいのです。どうも明日から天気が崩れるみたいなので今日中に行っておきたかったのですが。
それにしてもさっきからずっと思っているのだけど、なんですか、このアップダウンは。すごすぎでしょ。根室に行ったことのある人なら分かると思うが、道がまるで大蛇の背のようにうねっているのである。ジェットコースターのように急激に下ったと思ったら、今度はシャカシャカと懸命に漕がないと上れないような坂。そして頂点に達したと思ったら、また急な下り坂。これが連続して現れるのである。
ひょえー。なんだい、こりゃ。なんかのアトラクションですか。わたし、そんなの乗った覚えないんですけど。しかもこれが幹線道路だけではなく、街中にある小さな道でも同様なのである。前後左右、これはなにかの嫌がらせか?と思うくらいうねりまくっているのである。わたしもそれほどたくさんの街を走ったわけではないが、ここ根室は間違いなく今までで一番走りづらい街です。

さて、そろそろ本日の寝床を探しましょうか。市役所でもらった地図を見るとこの近くには公園が三つある。ということは、この中から自分の気に入ったところを選べばいいわけだ。三つもあれば一つくらいは自分のお眼鏡にかなうところはあるはず。まー、楽勝でしょう、と思い行ってみる。が、全敗。なんと三つの公園すべてに東屋がないのだ。なに、これ。わたしへの嫌がらせ?おーい、根室市は東屋を認めていないのか。おれを寝かせてはくれないのか。うーん、困った。どうしよう。雨が降らなければ東屋がなくても問題ないのだが、残念ながら今晩は怪しい雲行きなのである。
仕方ない、ここは市役所に行って訊くしかないな。というわけで急な坂を上ってふたたび市役所へ。いかにもわたし可哀相でしょ、といった感じで職員に泣きついてみる。
「すいませーん、いろいろ公園を回ったんですけど、どこにも東屋がないんですよー。どこかこの近くに東屋のついた公園はないですかねぇ」
そんなわたしを見て心を動かされたのか、職員総出で頭をつき合わせて考えてくれた。
「ここからちょっと行った先に運動公園があります。たしかそこなら屋根のついたベンチがあるはずです」
マジですか?こりゃ、ありがたい。よっしゃー。そこ行きましょ、そこ。逸る気持ちを抑えながら自転車を飛ばす。坂を下った先にその公園はあった。早速東屋を探す。えーと、東屋、東屋はと。あった、あった。ここだ。
ガックシ。マジかよ、これ。
いや、あるにはあったのだが、正直言って微妙なのである。屋根は小さいし、ベンチにいたってはベンチというのも憚れるくらい狭い。これ、寝るにはかなりキツイだろ。まあでも、東屋といったらもうここしかないし。それに正直、他を探す気力はもはや残っていない。
仕方ない、ここにするか。後は雨が降らないことを祈ろう。多分大丈夫。だと思います。もし降ったら、来る途中に見つけた潰れたガソリンスタンドに避難すればいい。なんとかなるでしょう。
しっかし、根室は涼しいところと聞いていたがこの暑さ。しかもちょっと移動するだけでえらい坂を上り下りしなきゃいけないという坂地獄。もう、精神的にも肉体的にもヘロヘロです。
そんなわけで、ちょっと休憩がてら図書館へ行くことに。パソコンありますか?と訊くが、「ありません」とのお答え。あーあ、がっかり。しょうがない、スポーツ新聞でも読むか。新聞を手に取り、椅子に座る。一ページずつ丁寧に目を通していく。
わーお。なんだい、こりゃ。なんとエッチな記事が載っていたのです。おいおい、マジかよ。図書館でこれはいいのか。許されているのか。だってここ、公共の場所でしょ。未成年だって来るんでしょ。いいんですか、こんなの置いておいて。うーん、わたしには理解できません。それとも根室はエロを推奨しているのか。いやはや謎過ぎます。

時刻は午後五時過ぎ。これからお風呂入って、洗濯して、ドコモショップでケータイの充電、最低それだけはしておかないとならない。そう、けっこう忙しかったりするのです。
案の定、洗濯が終わる頃にはとっぷり日が暮れていた。暗くなる前には寝袋に入っていたいわたしとしてはずいぶん遅い時間。あちゃー、こんな暗い中、走りたくないよー。急いで運動公園に戻る。ベンチの上に寝袋を広げ、その上で発泡酒を飲み始める。すぐ目の前をジョギングやらウォーキングをしている人たちが続々と通り過ぎていく。さすが運動公園ということだけあって、どうやらここは絶好の運動コースのようです。そんな中で寝ようとしているわたし、明らかに浮いております。違和感アリアリです。時折、人の視線も感じます。でも、そんなこと気にしてられないのです。だって、ここしか寝るところないんだもん。しまいには、ウォーキングしている人をつまみにして飲む始末。おお、われながらふてぶてしい。ちょっと自分を褒めてあげたい気も。
それにしても、わたしもえらく図太くなったもんだ。以前なら考えられなかったこと。北海道で野宿をするようになって確実に変わったな、わたし。
あーあ、それにしても明日はどうしようかな。いやね、天気予報によると午後から雨らしいのですよ。テレビ見ても、新聞見ても、ヤフー見ても、どれも午後から雨、雨、雨。ここまで見事に揃っているなら、こりゃ確実でしょ。ということは、明日も根室泊で決まりですか。まったく気乗りはしませんが。
ちなみに明日の予定はというと、とりあえず午前中は納沙布岬へ行く。雨が降る午後は未定。
さて、午後から何しようかね?図書館で読書か?あっ、溜まっている日記も書かないと。で、泊まる所は?さすがに雨降ったらここじゃ無理。こんな小さな屋根なら濡れること必至なのです。そうだ!市役所の軒下はどうだろう!?明日は土曜日でどうせ休みだろうし。うん、そうしよう。しかし、いずれにしろ明日は雨の中を移動しなきゃならんのか。しかも、この坂の多い根室を。あーあ、考えただけでユーウツ。なんかだんだん落ち込んできた。えーい、もういい。考えたって仕方ない。暗くなるだけだ。とっとと寝よ。
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