北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年8月4日(水) 霧のない摩周湖 (弟子屈 67km)
午前四時、目が覚める。頭に真っ先に浮かんだのはあのおじさんのことだった。昨夜、おじさんが座っていた方に目をやる。おや、いない。ということは、本当に夜中に出ていったのか。あれはジョークじゃなかったんですね。夜の道を嬉々として走るおじさんの姿が頭に浮かぶ。なんかゾッとした。朝から気分悪し。
それにしても起きたくないなあ。だって、今日は朝一で激坂を上らなきゃならんのでしょ。嫌だなあ。
あーあ、本当は来る予定じゃなかったんだよ。それがわたしのほんの出来心でキツイ思いをしなきゃならないなんて。ほんと、わたしって馬鹿、馬鹿。
北海道に来て初めて寝袋から出たくなかったかも。まあ、そうはいってもこのままずっと寝袋に入っているわけにもいかない。結局は起きるしかないんですけどね。
しゃーない、起きますか。空を見ると、曇り。肝心の霧の方はというと・・・・・・どうやらここは大丈夫なようですね。摩周湖付近はどうだかわからんけど。
いつもより遅く起きたにも関わらず、なぜかいつも通り五時に出発。あんまり気乗りはしないけど行きますかね。案の定、ペダルを漕ぐ足取りは重い。だって激坂(以下省略)。
道道五十二号線、別名、屈斜路摩周湖畔線に入ると、いきなりだらだらした上り坂が始まった。またこれですか。北海道特有の上り坂。ま、いい加減慣れてはきましたけど。
無理しても仕方ない。どうせ途中で自転車を降りて押すんでしょ。というわけで、キツくなったらすぐに自転車を停めて休憩する。慌てない、慌てない。一休み、一休み。
霧の方はというと、うっすらと出てはいるが、視界を遮るほどでもない。
このぶんならおそらく摩周湖は見ることができるだろう。でも、別の言い方をすれば、それはキツイ坂を上ることでもある。
嬉しいような嬉しくないような。
途中、休み休み行くが、案外キツくないことに気づく。さすがに足をつかないで上るのは無理だが、かといって自転車を降りて押すほどでもない。そうこうしているうちに思ったより早く、そして楽に摩周湖の第一展望台に到着した。なんか呆気ない。それにちょっと物足りない気も。というか、わたしがビビリすぎなんですよね、きっと。
自転車を駐車場に置き、展望台に向かう。階段を上りきったところで摩周湖がその姿を現した。
わーお!すげぇー!いや、すごいわ、これ。
湖とそれを取り囲む山々の見事な景観が目の前にあったのだ。まるで額縁に入っている一枚の絵を見ているかのよう。
しばらく吸い寄せられるようにその景色を見ていた。いやー、まさかこんなにいいとは思ってもみなかった。正直、期待していなかった。だって、本当は来る予定じゃなかったんですよ。なんだかすごい得した気がした。
展望台にいたライダーの方と少しおしゃべり。その後別れたが、ふたたびトイレの前でバッタリ会ったのでまたお話をする。少し経つと、一人のおじさんが会話に混ざってきた。なんでもこのおじさん、二月から車で日本各地を周っているとのこと。
え!二月?二月っていったら、もう半年も経っているじゃないの。自転車ならまだしも、車で半年も周っているなんて相当いろいろなところを周っているはず、と思い訊いてみると、やはり日本全国津々浦々周っているそう。
そのまま話を続けていくと、無料で温泉が入れるという例の雑誌『ほっ』の話題になった。なんでもおじさんによると、北海道だけじゃなく東北や九州でもそういった雑誌が出ているとのこと。そうそう、忘れていた。『ほっ』を探さないと。いや、実はウトロでその存在を知ってからいろいろな所に行ってはコンビニで訊いているんだけど、これがことごとく置いてないという。正直言って、半分諦めかけているんですけどね。まあでも、もうちょっと頑張って探してみますか。
二人に別れを告げ、今度は第三展望台へ行く。ん?そういえば第二展望台は?深く考える間もなくすぐに第三展望台に到着。結局第二展望台はどこにあるのだろう。地図を見てもそれらしき場所はどこにも見当たらない。うーん、どういうことなんでしょうね。まあ、別にいいんですけど。
細い階段を上り第三展望台へ。先ほどまでとはいかないが、こちらもなかなかの眺めでした。

第三展望台を後にし、麓まで一気に下る。下り坂はヘアピンカーブの連続。少し怖かったが、スリルがあってけっこう面白く楽しめた。いやー、気持ちのいいダウンヒルでした。ごちそうさまです。
ここからは十キロと離れていない屈斜路湖へ向かう。途中、硫黄山に寄る。自転車を駐車場に置き、山の方に向かって歩く。うーん、さすが名前が硫黄山というだけのことはある。そこらかしこから硫黄の臭いがプンプンしてきます。立ち入り禁止区域の前まで行く。岩が見事な蛍光イエローに光っていて驚いた。なるほど、硫黄ってこんなに鮮やかな色だったんですね。はじめて知りました。
軒を連ねるお土産屋やホテルの前を通り過ぎ、屈斜路湖畔にさしかかる。途中、砂湯というところに立ち寄る。なんでもここの湖畔の砂を掘ると温泉が湧き出てくるらしい。早速、近くにいたおじさんにその話をしてみると、「ここを掘ればお湯が出てくるよ」親切にもお湯が湧き出てくる場所を教えてもらった。
早速教えてもらった場所を掘ってみる。おー、本当だ。熱い。それもけっこうな熱さ。でも、ほんと不思議だよなあ。ここは熱いのに、湖の水は冷たい。こっちは熱い。でも、こっちは冷たい。交互にやれば疲労回復にはいいだろうなあ、なんてどうでもいいことを考えてしまった。
再び屈斜路湖畔を走る。うー、つまらん。湖は時折、木々の間から顔を覗かせるだけでちっともその全容をわたしに見せてくれないのだ。
きっと見晴らしのいい高台まで上がれば見えるんでしょうね。でもね、今のわたしにはそんなところまで上がる気力はないのです。というわけで戻ります、わたし。
国道二百四十三号線を弟子屈の中心街に向けて走る。途中、車の中から「がんばってくださーい!」と声が飛んできた。見ると窓から小学生らしき男の子がこちらに向かって手を振っていた。
いやー、嬉しい。応援してくれて嬉しいですな。わたしもそれに応えるように大きく手を振る。しばらくして、わたしの中にある思いが湧き上がってきた。
もしかしたら応援する方もけっこう楽しいのではないだろうか。大きい声を出すのも気持ちいいだろうし。それに自転車で走っている旅行者を応援したというのが、彼のひと夏のいい思い出になるのかもしれない。
「こんなわたしを応援してくれるなんて申し訳ないなあ」今まではそう思っていた。でも、そう考えたら、「なんだ、そんなに恐縮することなんてないじゃん」そう思った。
というわけで、これからは堂々と応援されようと思います。

午前十一時、弟子屈の街中に到着。コンビニに入り、立ち読みしながら考える。さて、これからどうしよう。まだ昼前だしなあ。先に進む?でもなあ、これからあの坂を上るのもなあ。実は、弟子屈の街を出るにはそこそこの坂を上っていかないといけないのである。今日は朝一で摩周湖へ向かう坂を上っただけに、これからまた坂を上るのも正直腰が引ける。
まあ、それよりもなによりも午後から図書館でゆっくりしたいなあと思っているんですよ。って、完全に金丸くんのマネなんですけどね。さて、どうしようかね。しばし思案。
ま、いっか。焦って先行くこともないでしょ。図書館へ行きますか。
と、その前に、途中、本屋があったので寄ることに。そう、『ほっ』がないかなあと思ってね。正直、あまり期待はしていないけど。
「すいません、『ほっ』という雑誌あります?」レジの前にいた店主に、絶対ないだろうという確信を持って訊いてみた。訊いておいてなんですが。
「本屋だから、そりゃあるよ」店主は眼鏡をずり上げながら答えた。
「ウソ!マジで!」
「ウソもマジもないよ。あるものはあるよ」
「ええ!だってどこのコンビニにもなかったんですよ」
「そりゃ、コンビニだからないんだろう。雑誌なんだから本屋に来ればいいんだよ、本屋に」
まー、言われてみればそうなんですが。それにしてもなんだか少しご立腹なのは気のせいか。
「大体ね、コンビニは本なんか売らなくて、弁当だけ売ってりゃいいんだよ、おとなしく」顔に怒りを滲ませながら話す店主。「な、そうだろう?」
いや、言いたいことはわかるんですけど、なにもそんなにわたしに熱く語られても。わたし、単なる通りすがりの旅人なんですから。
とりあえず『ほっ』を手に取り、これから無料で入れる温泉があるかどうか見てみる。あちゃー。全然ないやんけ。しかもそこには今までわたしが入ってきた温泉がけっこう載っていた。うわー、ショック。あーあ、もっと早く知っていればだいぶお金が節約できたのにー。と思っても、後の祭り。すいません、やっぱいいです。手に持った『ほっ』をそっと元の場所に戻し、立ち去るわたしなのであった。
本屋を後にし、図書館に到着。インターネットで金丸くんのブログを最初から読む。その後、日記をつける。まだ一昨日の分も終わってないのです。一生懸命書いて、ようやく昨日の半分くらいまで書く。
さて、飽きた。雑誌コーナーへ。『BE-PAL』と『ダ・ヴィンチ』をペラペラめくる。

午後四時前、図書館を出る。お腹が空いたのでセブンイレブンでカップ焼きそばを食べることに。たまにはいつもと違うものにしようかと思ったが、結局いつもと同じものに。あまり冒険をしないんですよね、わたしっていうヤツは。
会計を済ませ、お湯を入れようと思ったらポットがない。あれ?なんで?なんでないの?店員の方に訊くと、なんとポットはカウンターの中にあるそう。つまりここは、お客が自分で入れるのではなく、店員に頼んで入れてもらうんですね。うーん、今まで数限りなくコンビニを利用してきたが、そんなシステム初めてです。
あっという間に食べ終わり、ケータイの充電をしにドコモショップへ行く。あそこはなかなか落ち着くんですよねー。今日も緑茶出ないかなー。半ば確信犯的に行ってみようと思います。
「すいません、ケータイの充電させてもらえませんか?」いつものように低姿勢でお願いする。ケータイを充電器に差し込んで、昨日と同じ場所に座って日記をつけ始める。
さてと、後は飲み物を出てくるのを待つだけ。五分経過。十分経過。そして三十分が経った。でも出てこない。
え?なんで?なんで出てこないの?
「出て来い、出て来い」今度は心の中で念じ始める。
しかし出てくる気配はない。さすがに二日連続は無理か。そう思っていたら、「これ、よかったらどうぞ」優しげな声が天から降ってきた。見上げると、缶を持った女性スタッフが目の前に立っていた。
キター!キター!出てきたー!ちなみに今日はウーロン茶。もちろんキンキンに冷えています。
「いやー、昨日も貰ったし、いいですよ。さすがに二日連続はまずいですよ」柄にもなく一応遠慮。わかっていると思いますが、貰う気マンマンです。
「いや、どうぞ、どうぞ」しきりに勧めてくるので、「そこまで言われたら仕方ないなあ」といった態で受け取る。缶のプルタブを引き、ウーロン茶を一気に口の中に流し込む。いやー、うまい、うまい。冷たいウーロン茶が喉に染み渡る。
「お客様に飲み物をサービス」。もしかしたらこれは店の方針なのかもしれない。しかし仮にそうだとしても、その心遣いがとても嬉しい。その優しさが胸に染み入る。
「実は北海道を一周しているんですよ」わたしがそう言うと、興味を持ってくれたのか、話が弾んだ。なんだかスタッフの皆さんとちょっと距離が縮んだ気がした。
一応、飲み物目当てで来ていると思われても嫌なので(思いっきり目当てですが)、明日はここを出発するのでもう来ないですから、と言い訳めいたことを言ったりする。
親しくなった記念に写メを撮って帰ろうとしたら、一人のスタッフが接客中だったので、閉店間際にまた来て撮ることに。できれば全員の写真を撮りたいのです。変なところで律儀なんですよね、わたし。
一旦、お風呂に入り、閉店時間の午後七時ちょっと前にドコモショップに戻る。まだお客さんがいたが、しばらくしたら帰っていった。
「すいませんね、お待たせしました!」にこやかな笑顔で言われてしまう。
あはは。いえいえ、こっちが勝手に撮りたがっているだけですから。というわけで、スタッフ三人揃ってパチリ。これ、彼女たちにとってもいい思い出になったのでしょうか。だったらいいんですけど。
「明日出発するんですか?」別れ際、スタッフの一人に訊かれる。
はい、明日五時には出ると思います。
「ええ!五時ですか!」大きな声で驚かれた。
あはは。そりゃ驚くかもね。普通の人の感覚からしたら、ちょっとおかしいもんね。
それにしても二日間、話した時間にすればほんのわずかだが、たったそんな短い間でも、知り合った人と別れるのはやはり辛いもの。それも親切にしてくれたならなおさら。
「なんならもう一泊しようかなあ」
そんなことがちょっと頭をよぎった。
公園に戻る途中、高床式の建物を見つける。中に入ってみると、壁にたくさんの鳥の絵が貼ってあった。どうやらここは野鳥の観察小屋らしい。床は少し鳥のフンで汚れていたが、そこを避けてマットを敷けば、充分寝れそう。よし!今日はここに泊まっちゃおう!
いやー、それにしてもまさかただでコテージ(単なるわたしの思い込み)に泊まれるとは思わなかった。今晩は高級リゾート気分(これもわたしの思い込み)を味わうと思います。
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