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北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年8月2日(月) いざ、知床峠越え(ウトロー知床峠―羅臼―相泊―羅臼 88km)
午前四時起床。もう、なにもしなくてもこの時間に起きられるようになった。
ところで、昨日、寝ながら考えていた。やっぱり、わたしは金丸くんみたいな旅はできない。
正直、金丸くんや少年の話を聞いていると羨ましく思うこともある。でも、今のわたしにはいきなりそれはできない。もしかしたら、そのうちやるかもしれないが、少なくとも今は無理。とりあえず、基本、今までのわたしのやり方でやっていこうと思う。なによりそれを貫くことで見えてくるものもあるかもしれないし。
空を見上げてみる。すると、そこには昨日とは打って変わっての青空があった。
正直、天気のことはどうでもよくなってきている。だって、天気のことは自分ではコントロールできない。コントロールできないことに気を揉んでも仕方がない。
今回の旅は、晴れの日はものすごく少ない。曇りや雨の日がほとんどだ。でも、もしかしたらそれでいいのかもしれない。曇りや雨だったから見えてくる、分かるものがあるのかもしれない。ずっと晴れだったら気づかなかったことがあったのかもしれない。今は、それが何かは分からないけど。
おお、今日はのっけから哲学的な話をしている。
さて、準備もできたし、五時に出発。いつもならね。でも、今日はカムイワッカに行くんだもん。のんびりしていても大丈夫なんだもん。というのも知床自然センターからのバスの始発が八時四十分。七時にここを出ても十分間に合うのだ。
時間を持て余したということもあって、少年の様子を見に行くことに。少年はすでに起きていた。おっ、早いじゃん。
しばらく少年と話していると、世界遺産センターの軒下でテントを張っていた自転車ツーリストが声をかけてきた。話を聞くと彼も日本一周しているとのこと。そういえば、昨日、少年が、「自転車で日本一周している人(しかも二人)と行動を共にした」と言っていたなあ。金丸くんといい、けっこう日本一周している人っているんですね。もう、日本一周と聞いても驚かないかも。
とはいえ、驚いたこともいくつかあった。まずは彼の荷物の量。これがリアキャリアにサイドバック二つとスポーツバックを載せているだけ。なんと北海道一周のわたしより、少し多いだけなのだ。
疑うわけではないが、訊かずにはいられなかった。本当にこれだけ?
「はい」
本当だった。目は真剣そのものだった。
うっそー、マジ?うーん、荷物だけ見れば、誰も彼が日本一周していると思わないだろう。昨日の金丸くんは荷物テンコ盛り、この青年は「荷物、少なっ!」状態。同じ日本一周でもいろいろなんですね。
もう一つ驚いたのが、彼が乗っている自転車。なんとロードバイクだったのだ。
たいてい日本一周している人は、マウンテンバイクか、ツーリング車、ランドナー。そういったわりと頑丈な自転車を使うのが常識。しかし、彼はおおよそ適しているとは思えないロードバイク。こんな人、初めて見た。しかもタイヤの太さが二十五C。おいおい、マジかよ。わたし、札幌の自転車屋で二十八Cでも細いと言われたんですけど。本当に大丈夫なのか。これでパンクはしないのか。当事者でもないのにこっちが心配してしまう。
洗濯をしに近くのコインランドリーへ。今度いつできるのかわからないので、できる時にやっておくのが最近のモットーになりつつあります。
洗濯、乾燥が終わり七時十五分に道の駅を出発。少年とはここでお別れ。彼はわたしより一足先に知床峠へ向かうのだ。少年に手を振るわたし。じゃあなー。

午前八時前、知床自然センターに到着。バスの出発までまだ時間はあるが、その前にしておきたいことが。
実はこれから、昨日、オシンコシンの滝で会った写真屋さんのおすすめで、プレベの滝を見に行くのです。
ところが、行って帰ってくるだけで四十分もかかるそう。それだけでバスの発車時間ギリギリ。今日ここに来てはじめてわかった。って、おい。
次のバスで行くことも考えたが、そうするとしばらく待たなければならない。しかしそれは待つことが嫌いなわたしには酷な話。それよりなにより、昨日から朝一のバスで行くと決めていたのだ。今さら変更なんてしたくない。まったく融通がきかないわたしなのである。
というわけで、朝ののんびりムードはどこへやら。いきなり小走りする羽目に。森へ入って行く。鬱蒼とした森だ。とっくに日は昇っているのに中は薄暗い。当然ながら、こんな朝早くに人はいない。さっき見た「熊注意!」の看板が頭によぎる。ビビるよなあ。こんなところで襲われたら誰も助けてくれそうにない。一人寂しく死んでいくのかよ。悲しい。熊が出ませんように、と緊張しながら森を駆け抜ける。
突然、視界が開けた。目の前には黄色い花が散りばめられた草原が広がっていた。さらに先に進む。わーお。右手にパックリと口を開けた断崖絶壁が目に飛び込んできた。空では、何十羽もの海鳥たちが四方八方、滑空を繰り返している。実に気持ちよさそう。見ているこっちも気持ちがいい。
海に目をやると、一隻の観光船がゆっくりと進んでいた。試しに手を振ってみる。気づいたでしょうか。あそこで手を振っていたのはわたしです。
ケータイを見ると八時十分。そろそろ戻らなければ。急ぎ気味に走っていくと、なぜか目の前にはロープ状の鎖が現れた。あれ?おかしい。さっきわたしが来た時にはなかったはず。なんでこんなところにあるんだ?・・・・・・もしかして……。
そうなんです、道間違えたんです。もー、マジかい。ただでさえ時間がないというのにー。でも、すぐに安堵した。というのも、その向こうには観光バスが通っていたのである。ここらへんでバスが通れる道といえば、今朝、わたしが自転車で通ってきた道路だけ。ということは、そこに出ればとりあえずセンターには戻ってこれるはず。
ところで、ふと思う。ここで突然、少年が自転車を漕ぎながら出てきたら笑えるよなあ。舞台の袖から出てくるみたいに。
まあでも、少年がいつ出発するか聞いてないし、そんな偶然あるわけないか。出てきたら笑えるけどね。なんてことを考えながら鎖をまたぐ。数歩歩いて国道に出た。
少年が坂を上ってきた。「おまえ、そこで待っていただろう」と思うくらい絶妙なタイミングで。
いた。笑いの神はいた。
あまりの出来すぎに腹を抱えて笑ってしまった。
ついでに、上り坂なら勝てるかなと思い、少年と競争。が、あっさり置いていかれる。さすがにこれは馬鹿にしすぎたか。ちょっと反省。
センターに戻り、バスの切符を買う。往復で千百八十円ナリ。センターを出て、バス停に向かう途中、なんと石立おじさんとバッタリ。わーお。まさかこんなところで会うとは。今日は羅臼の道の駅までと言っていたので、もっとゆっくりしているのかと思っていましたよー。なかなか切れそうで切れない縁。またどこかで会えそうな気がします。
停留所でバスを待つ。ほどなくして定刻通りにバスがやってきた。乗り込むと、中は満杯。圧倒的に親子連れが多い。平日とはいえ世間は夏休みなんですね。
バスが発車すると、たちまち眠気が。この揺れ具合が実に気持ちいい。わたしを眠りの世界へ誘ってくれる。しかも、なんだかんだいって四時起きだし。
子供たちの歓声が上がる。どうやら景色のいいところを通っているらしい。ううっ、見たいわたしも。でも眠気が…。
四十分ほどかかって到着。意外と遠いんですね、カムイワッカって。
バスから降りると沢が見えてきた。おお、もしかしてこれですか。続々と沢に向かう観光客たち。とりあえず、四、五人ほど先に行かせてわたしもその後に続く。いやね、登り方の要領が分からないので、他の人のマネをして登ろうという作戦なのですよ。滑って転んだら恥ずかしいしね。ふむふむ、なるほど。ああやって登ればいいわけか。
上から流れ落ちてくる水の中へ足を入れてみる。ひゃー。気持ちいい。大人気なく声を上げてしまった。前の人が通ったルートを凝視しながら、滑らないように足を運んでいく。かなりへっぴり腰になっていたと思います。もしかしたら笑われていたかも。
それにしても、これがけっこう面白い。なんか沢遊びというか、水遊びというか。まるで童心に返ったよう。近年、沢登りが流行っているらしいが、こんなに面白いものだとは思ってもみなかった。機会があったら本格的にやってみようと思います。といっても、明日になれば忘れているんですが。
順調に岩を乗り越え滝を登っていく。さあって、いよいよエンジンがかかってきたぞ。そう思ったその時、目の前に一本のロープと札が。
え?もしかしてここまで?見ると先行していた観光客が岩に腰を降ろしたり、立ち止まったりしている。どうやらそうみたいです。うーん、残念。はっきり言って物足りない。
それにしてもなんで?なんでここから上に行けないの?
すぐそばに見張りをしている林野庁の職員がいたので訊いてみた。
「上に岩があり、それが落ちてくる危険性があるので、ここからは上には行けないんです」
へー、そうなのか。たしかに岩が落ちきたら危ないもんな。
「それでは岩がなくなれば上にいけるのですか?」
「ま、そうですね。でも、世界遺産に認定されてからは人間が勝手に動かすことはできないんですよ。なので、自然に落ちてくるのを待つしかないんです」
ふーん、世界遺産もいろいろ面倒くさいんですね。果たして世界遺産になってよかったのだろうか。判断に苦しむところである。
「ちなみに台風の時は立ち入り禁止になるのですか?」
「いや、ならないです。台風の時も見張りに立ちますよ」
「そんな時でも観光客ってくるんですかねえ?」
「いや、誰も来ませんでした」
あはは。そりゃそうでしょ。立つ意味、あったんでしょうか。まあ、仕事だから仕方ないのか。
その後、マイカー規制について熱く語る。といっても一方的にわたしが話ししていただけですが。
もういいです。戻ります。十分堪能しました。というより、虫刺されや日焼けしたところが滲みて痛いのです。なんでも湧き出てくるお湯が酸性なんですって。
下へ降りていく途中、窪地で戯れている水着姿の親子がいた。うわっ。とてもじゃないがそんなことできません。見ているだけでヒリヒリしてくる。
滞在時間わずか三十分。果たして千百八十円の価値はあったのでしょうか。

知床自然センターに戻り、自転車にまたがる。時刻は午前十一時十五分。
さて、いよいよこれから本日のメインイベントである知床峠越えを迎える。ちょっと不安もあるが、どちらかというと楽しみの方が大きい。
ところで、「知床峠を越える」と言うと、みなさん口を揃えて「大変だぞー」「キツイぞー」と言う。なんなんでしょう、これ。更にダメ押しに、駐車場の係員に「キツイよー。かなり大変だから頑張ってね」と言われてしまった。うそっ?そんなにキツイの?マジで?さすがにそこまで言われたらビビるじゃないの。
センターを後にすると、早くも上りが始まった。当然一番軽いギアにシフトダウン。勾配は五パーセントといったところか。じわじわと疲労が。うーん、頂上までこの感じだとさすがにキツイかも。
それにしても、普段よりライダーの手振りが多いのは気のせいか。しかも、いつにもまして気持ちがこもっているような気も。中にはわざわざ振り返って声をかけてくれる人までいる。
ううっ。っていうことはやっぱりキツイのか。いつも以上の激励がかえってわたしの恐怖心を煽ってくるんですけど。
なんてことを思っていたら、「がんばれよー」という野太い声が前から飛んできた。見ると、髭もじゃの男性が車から身を乗り出し手を振っていた。
ありがとうございます。嬉しいです。とっても嬉しいです。嬉しいのは嬉しいのですが、きれいな女性に言われた方がもっと嬉しいです。ぜいたく言ってすいません。
足に疲労を残さないためには早目に休んだ方がいいと判断。道路脇に車一台停まれそうなスペースがあったのでそこに自転車を停めて一息つくことに。
サイコンを見る。センターからわずか一キロしか進んでいなかった。がっかり。もっと上っているかと思っていたのです。
まあでも、峠の頂上まで十一キロだから、後、これを十回繰り返せば到達できるわけだ。そう思ったら、元気が出てきた。ちょっとだけですが。
再び自転車にまたがる。軽快にペダルを漕いでいく。しばらくしてあることに気づく。いやね、思ったよりキツくないのです。途中、何箇所かキツイなあと思うところはあったが、決して自転車から降りるほどではない。これなら一気に峠を越えられるんじゃないか。そんなことさえ思う。さらに上る。でも、やっぱりキツくない。むしろ、普段地元で上っている坂の方がよっぽどキツイ。こりゃ、どうしたことか。今までの脅しはなんだったのか。
楽に上れていることで、周りの景色を楽しむ余裕が出てきた。空は快晴。すぐ目の前には羅臼岳。青空をバックにこの羅臼岳を見ながら上っていく。これがなにかとてもこの世のとは思えないシュールな感じ。実に気持ちいい。この景色、多分一生忘れないだろうなあ。そう思った。
午後〇時半、無事、峠の頂上に到着。
え?これだけ?思ったよりあっけなかった。なんか物足りない気も。というかみなさん、脅かしすぎでしょ。
到着した旨を伝えるため、少年にメールを打っていると、キーッという自転車のブレーキ音がした。顔を上げると、そこにはなんとアメリカさんが!
わーお!もう一度わーお!ダメ押しでわーお!いやー、びっくり。もう会えないかもと思っていただけに嬉しい。
なんでもアメリカさん、今朝、標津から海岸線を上がってきて羅臼に出て、そこから知床峠にやってきたそう。そうそう、途中、少年にも会ったそうです。
これからの予定は?と訊くと「峠ヲ下ッテ、ウトロニ出テ、海岸線ヲ走ッテ斜里マデ行ッテ、ソコカラ中ニ入ッテ屈斜路湖、摩周湖方面ニ向カイマスネ」とのこと。その後、「知床峠」と書いてある木看板の前で写真を撮って別れた。またどこかで会えそうな気がします。
さて、これから下り。楽しむぞー。
ひゃー、気持ちいい。ところどころ勾配のキツイところはあったが、全体的にはゆるやかな下り坂。下るには丁度いい感じ。あっという間に麓に到着。
あっ、そうだ。「熊の湯」に入るのを忘れた。というか、完全に見落としてまった。
まっ、いいか。どうしても入りたかったわけじゃないし。

セイコーマートでカップ焼きそばを食べながらこれからのルートを検討。うーん、どうしよう。いやね、知床岬方面の行き止まりである相泊まで行こうかどうか悩んでるんですよ。まっ、行っても何もないんですがね。と、わかっていてもなんか行きたい。まっ、行きますか。せっかくここまで来たんだし。
しばらく走り、ヒカルゴケで有名なマッカウス洞窟に寄る。
うーん、見えるには見えたけど、はっきりいってショボイ。苔の上に蛍光塗料を一滴ポチャッと垂らした、そんな感じなのである。というわけで、行こうかどうか迷っている方、行かないでいいと思います。
入口のところでライダーの方に会う。今日はどちらまで?と訊くと、「釧路までです」という答えが返ってきた。
ええ!釧路!わたしでも三日はかかりそうなのに。一日で行けるんですか。どんだけ速いんだよ。と思ったら、彼はオートバイなんですよね。あはは。いつの間にか自転車基準で考える癖がついちゃったみたい。
十二キロほど走る。なんだか寄っていかないと損かと思い、「ルサフィールドハウス」というところに立ち寄る。なにをやっているところなのかよくは知りません。多分、自然関係の展示物があるんでしょう。
さて、建物の中へ。と思ったら、隣の空き地に、テントを前にしてたくさんの荷物を広げている人がいた。真っ黒に日焼けしている二十代と思しき男性。
ちょっと興味を持ったので、話しかけてみることに。もしもし、何やっている方ですか?
「北海道を歩いているんですよ。フェリーで苫小牧に来て、そこからここまで来ました。ちょうどこれから出発して知床岬の方へ向かうところなんです」
ぎょえー。マジですか?いるんですね、こんな人。へっ?でも、知床岬って行けるの?相泊で行き止まりじゃないの?
「舗装は相泊で終わりですけど、そこからは歩いて行けるんですよ」
へー。そうなんだ。それは知らなかった。でも、歩いて行けるのならわたしも行ってみたいな。だって、せっかく来たんだし。やっぱり突端まで行きたいじゃないの。
「でも、断崖や岩をよじ登ったり、場所によってはザイルを使わないくてはいけないところもあるらしいですよ」
ええ!そうなの。いやいや、そんなのムリムリ。絶対無理。
しかも、そこは熊も出るらしい。それも頻繁に。熊除けスプレーは必携だそうです。それを聞いてさらに腰が引ける。
どうぞ、どうぞ。行きたい人だけで行ってください。わたしは柱の陰からひっそりと応援しておりますので。
まだまだ話をしていたかったが、あまり時間がないので彼に別れを告げ、「ルサフィールド」の中へ。まず目に飛び込んできたのが熊への注意を促す掲示物だった。
「知床岬へ行く人は必ず熊除けスプレーとフードシェルターを持つこと」
「本当に今行かなければならないのか、今一度考えてみてください」
なんだか見てはいけないものを見てしまった気が。いや、わたしが行くわけじゃないんですけどね。それでも、この文章はかなり強烈。読んでいるだけで背筋が寒くなってきた。
とりあえずこれは見なかったことして先へ進む。知床の自然を紹介しているコーナーがあった。ふむふむ。なるほど。なんでも知床は世界でも有数の熊の生息地で、人口密度ならぬ熊密度がとても高いらしい。後でスタッフの方に訊くと、わたしが今通ってきた道からでも熊を見かけることがあるとのこと。
続いて二階に上がる。窓の傍に双眼鏡が置いてあった。運がよければ、ここからクジラやシャチが見られるそう。ここ羅臼は日本でも指折りのホエールウォッチングポイントなんだそうです。ふーん、そうなんだあ。それは知りませんでしたな。
それにしても客いねぇー。中に入って二十分ほど経つが、誰一人やってくる気配がないのである。今いるのもわたし一人だけ。それをスタッフのお姉さんに言うと、苦笑いされた。
「ここは観光バスは停まらないんですよ。来るのはマイカーの観光客だけ。だから、いつも人は少ないですね」
でしょうな。ガイドブックに大きく取り上げられているわけでもなく、特別「これだ!」というものがあるわけでもない。その上、観光バスのルートに入っていなければ来る人は少ないだろう。
ちなみに、スタッフのお姉さんは淡路島の出身だそうです。まったく関係ない話ですが。
それにしても、ここにいると妙に落ち着く。人がいないというのもあるだろうが、なにか居心地がいいのです。ちょっとしたカフェみたいな雰囲気なのです。思わず「コーヒー一つ」と注文しそうになります。
泊まりてぇー。一泊五百円で泊まらせていただけないでしょうか。わたし、綺麗に使います。どうせ寝るだけですから。
スタッフのお姉さんがわたしの質問に逐一答えてくれたこともあって(他にお客はいないからマンツーマンなのです)、思いもかけず面白かった。ひょっとしたらここ、穴場かも。
相泊までは残り九キロ。三十分ほど自転車を走らせて到着。
えーと、ここですか。なんだかなあ。というのが正直な感想なのですが。
だってここ、単に舗装が終わっているだけでしょ。この先工事中と言われてもちっとも疑わない場所なのである。まあ、行き止まりっていうのも言われなきゃわからんよね。
この近くに相泊温泉という無料で入れる温泉があるらしいので、そこへ行くことに。来た道を戻る。
えーと、地図によるとたしかこの辺りなのだが・・・。そばにおじさんがいたので場所を訊く。
「ほら、あれだよ」
おじさんが差した指の先を目で辿る。そこには青いビニールシートで覆われた小屋みたいな建物があった。目の前がすぐ海。
え?あれですか。なんだか手作り感一杯ですけど。
不安を抱えながら浜へ下りていく。ビニールシートの中を覗くと、木枠された湯船があった。その中では地元らしき人が三人浸かっていた。すぐそばには青空脱衣所もある。しかしその周りには囲いもなにもない。
え?マジ?こんなところで着替えるの?と思ったが、そこしかないので諦めて服を脱ぎ始める。正直恥ずかしいなあ。
周りを気にしながらスッポンポンに。桶に入れたお湯で体を流し、湯船に足をつけてみる。
あつっ!あぢいー!あぢぃよー!これ、熱すぎでしょ!熱くて死にそう。
って、騒いでいるのはわたしだけ?あれ?みなさん、熱くないの?平気なの?よくまあ、入ってられますね。もしかして北海道の人は我慢強いんでしょうか。まあ、わたしが我慢弱いという話もありますが。
せっかくだから頑張って入る。でも、やっぱりダメ。すぐに湯船から出てしまった。

再び羅臼へ入り、今夜の寝場所を探す。まずは役場に向かう。さっきの徒歩青年が役場の軒下を勧めてくれたので、そこを借りようと思ったのです。が、行ってみてガックシ。職員がまだいたのです。さすがにこの状況で寝袋を広げる勇気はわたしにはない。というか、確実に注意されるでしょ。こりゃ無理。他を探すことに。でも、なかなか適当な場所が見つからない。
「そうだ。小学校!」突然、思いついた。しかし、行ってみたが、ここもだめ。先ほどの役場と同様、人が残っていたのだ。うーん、参った。どうしよう。
しばらく走ると、道路の地図標識に「展望台」の文字が見えた。おお、見晴らしもよさそうだし、のんびりできそうだ。いいじゃない。と思い、自転車を進めるが、えらい上り坂。しかも展望台ははるか頭上。
あーあ、どうしよう。せっかくお風呂に入ったので、これ以上汗はかきたくない。しかも、後どれだけ上ればいいのかわからんし。さらにさらに、行ったところで快適な場所という保障はどこにもない。というわけで却下。
はーっ、どうしよう・・・・・・。しゃあない、道の駅へ行くか。あまり気乗りはしないけど。いや、羅臼の道の駅は小さくて泊まれそうな感じではない、そんな情報を得ていたのです。とはいえ、背に腹はかえられない。行ってみたら案外泊まれそうな場所があるかも。
なんてことはありませんでした。道の駅はこじんまりとした作り。とてもじゃないけど寝れる感じではなかった。うーん、どうしようか。不安で胸をいっぱいにしながら、とりあえず駐車場の方へ行く。
「おお!おじさん!」
なんとそこにはあの石立おじさんがいたのです。今朝、会ったばかりだというのにまた会うとは。何たる偶然。そういえば今日は羅臼の道の駅で泊まると言っていたもんなあ。それにしてもほんと切れそうで切れない縁ですね。いやー、でも嬉しい。だって、泊まるところがなくて心細かったんですよ。そんな時にたとえおじさんでも(失礼)知り合いと出会えれば嬉しいもんですよ。
とまあ、わたし一人テンション高く話していたんですが、おじさんの方はいたって冷静。どうやら嬉しいのはわたしだけみたい。あはは。
おじさんと話をしているうちにふと思いついた。そうだ、道の駅の隣に信用組合があったなあ。あそこの軒下なんてどうだろう。すぐさま行ってみると、幸いにも寝れそうなスペースがあった。よし、今日はここに泊まろう。
早速、荷物を降ろす。が、なにやら人の気配が。よく見れば、駐車場にはまだ車が停まっていた。マズイ!と思い、慌てて降ろした荷物を元に戻し、その場を離れる。
あぶねえ、あぶねえ。せっかくの宿泊場所、泊まれなくなったらシャレになんねえ。
とりあえず、人がいなくなるまで時間を潰すことに。三十分ほど辺りを走り、戻ってくる。誰もいなことを確認して、寝床作り。でも、今さら気づく。いや、目の前が車の往来が激しい国道なんですよ。本当に眠れるのか、とちょっと思ったが、不思議なことにほとんど気にならず、目を閉じたらあっという間に眠りの中へ落ちていった。
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