北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年7月15日(木) 突然、後ろのタイヤがボコン、ボコンと音を立てて始めた (苫小牧―洞爺湖 144km)
朝、目を覚ましてまずしたことといえば降雨の確認だった。地面を見る。やはり濡れている。どうやら夜のうちに雨が降ったらしい。東屋を出て、上を見る。どんよりとした曇り空だったが幸いにも雨は降っていない。明け方には上がったようだ。
まだ起き抜けのせいか、頭がボーっとしている。出発の準備をしていればそのうち意識もはっきりしてくるだろう、そう思い荷物を片付け始める。三十分ほどしてスタート。時刻は午前四時四十分。
昨日、船の中で一日ゆっくりしたせいか、思っていたほど体は重くない。それよりも今一番の懸念事項は左足である。実はわたし、自宅から最寄りの港まで走ったのだが、どうもその時に左足の踵からふくらはぎにかけての筋を痛めてしまったらしいのだ。幾分、痛みが和らいだ気もするが、まだ普通に漕ぐと痛みが走る。さすがに百七十キロも走るのは無理があったか。いきなりリタイア?なんてシャレにならんぞ。
苫小牧の街をひた走る。それにしてもすこぶる気持ちがいい。
え?なんでかって?
まずはなんていったって道が広いのである。というか路肩が異常に広い。「おれは高速道路を走っているのか?」最初見た時は目を疑った。路肩だけでも車一台通れそうなのである。そのため内地では車を気にして縮こまっている自転車もここでは一変、「えっへん」威張って走れる。
それともう一つ。
定規を当てて引いたんじゃないかと思うくらい道がまっすぐなのである。小さいアップダウンはあるのだが、カーブがまったくない。前を見てもずーっとまっすぐ。どんだけ走ってもずーっとまっすぐ。「こんなにまっすぐでよく飽きないなあ」そう思うくらいずーっとまっすぐなのである。こんなところまず内地じゃお目にかかれない。走っていると実に爽快。ビューンとどこまでも走っていけそう。そのせいか自然とペダルを回す足も早くなる。
そんな気分のいいまま走っていると、突然、茶色い物体がわたしの目に飛び込んできた。
なんだ、これ?ん?もしや馬?おお、そうだよ、馬だよ!馬!道の脇には緑々とした草地が広がっており、そこでは三頭の馬が草を食んでいたのである。一気にわたしのテンション、急上昇。しかも草地の向こうには洋々と広がる海、すぐ横ではビュンビュン通るたくさんの車。
わーお。なに、これ。馬、海、車。こんなの一度に視界に収めたことがない。現実味のなさにしばし頭が混乱。
ありえない。まったくありえない。こんな光景見たことない。あまりの非日常感にさっきからテンション上がりまくりのわたし。うおーっ。これぞわたしが求めていた北海道だ!これぞわたしが見たかった北海道だ!
すいません、ちょっと興奮してしまいました。
そのまま馬を眺めながら走る。すると路肩に一台の自転車ツーリストが止まっているのが見えた。
おっ、第一ツーリスト発見。
通り過ぎる際、挨拶を交わす。見るとおじさん、というよりおじいちゃんツーリスト。もしや定年終えた自転車旅行ですかね。それにしてもこんな年でもがんばっているのですね。ちょっと尊敬します。

そこからまたしばらく走る。少し休憩しようと自転車を左に寄せた瞬間、突然、後ろのタイヤがボコン、ボコンと音を立てて始めた。
嫌な予感。一瞬にして背筋が寒くなる。心が凍る。すぐに路肩に自転車を停める。予感が当たっていませんようにと後ろタイヤを確認。
残念。予感的中。パンクでした。
うわっ、マジかよー。いきなりパンクかよー。なんだよー。さっきまで上がっていたテンションも一気に急降下。まあ、でも、起きてしまったものは仕方ないよね。ここは慌てず騒がず冷静に。
心を落ち着かせ、すぐに周りを見渡す。すると砂利敷きの広い場所が目に入った。よし、そこに行って修理することにしよう。
早速、移動。背負っていたザックを地面に降ろす。さあ、作業開始だ。まずは積んでいる荷物を降ろそう。
ところが、これがなかなか面倒くさかった。最初にハンドルに取り付けているフロントバックを外す。が、外し慣れていないせいか、それともアタッチメントの取り付け具合が悪いのか、すぐには外れてくれない。くー、なんだよー。上下左右無理矢理ひっぱりまわしなんとか外す。これだけで汗だく。はーっ、しんどい。
次にキャリアの荷物を留めていたゴムひもを外す。しかしこれが何重にも巻いていたため、外すだけで時間がかかる。はーっ、メンドクサイ。
荷物を降ろし、続いてブレーキワイヤーを外しにかかる。と思ったのだが、これがなかなか外れない。五分ほど格闘するが、ダメ。仕方ないのでワイヤーを留めてあるナットを緩めて外すという荒業にでてみた。これでようやくクリア。今度は自転車を逆立ちさせ、クイックレバーを回しタイヤを外す。ここまでですでに十五分経過。
もうやめてー。早くも嫌になった。しかしそうもいかない。直さなきゃ走れないのです。しゃーない。頑張りますか。気を取り直し、タイヤを手にし、パンクした箇所を調べにかかる。タイヤをグルグル回す。しかし穴は見つからない。
うー、なんだよー。もー、どこだよー。いったいどこがパンクしたんだよー。
冷静になり、今度はゆっくり回し丁寧に見ていく。空気の抜け具合からしてさほど大きなパンクではなかったようなのだが・・・・・・あー、あった、あった。これか。それにしてもなんともまあ、小さい針金が刺さっていたものだ。
次にタイヤからチューブを取り出し、開いた穴を探すことに。しかし、どこをどう見ても穴が見つからない。と思ったが、よーく目を凝らしてみるとわずからながらだが、小さな傷があった。すぐにチューブを押して空気の抜けをみる。しかしこれまた、空気の抜ける感じがまったくしない。うん?穴は本当にこれか?疑念が頭をよぎるが、他にそれらしき穴は見当らない。まあ、いいや。これ以上探すのも面倒くさいし。とりあえずこれということにしておこう(いいのか?そんなテキトーで)。
ところでこの期に及んで言うのもあれなのだが、実はわたし、ここ十年パンク修理をしたことがないのである。もっぱら最近はパンクしても直さずに新しいチューブに換えるだけだったのである。
おいおい、そんなんで北海道に来たのかよ。大丈夫かよ?いやー、でもパンクなんてめったにしないからね。いくら北海道とはいえ、同じ日本。そんなに簡単にパンクしないだろう。そう思っていたら、いきなり初日からパンクですか。もー、マジかよ。いったいこれから何回パンクするのやら。一気に不安が広がった。
で、肝心のパンク修理である。半年前、自転車屋でパンク修理をしてもらったことがあった。幸いなことにその時にパンク修理の仕方を教わっていた。というわけで、それを必死に頭の中に思い起こしてみる。しかしかなり時間が経っていたせいか、その光景はかなりおぼろげ。
えーと、あんな感じで、こんな感じで。いや、そうか?そうだったっけ?うーん、かなり危うい。
たしか最初は穴の開いた箇所を紙やすりでこすって、平らにするんだよなあ。というわけで早速こすってみる。が、全然削れない。おい、マジかよ。もしかしてペーパーの粗さが合っていないのかもしれない。とはいえ、あくまでもこれはわたしの推測。これ以上考えても答えが出ないのでとりあえず削れたことにする(またもやテキトー)。
次はっと。えーと、たしか接着剤を塗るんだったよな。容器から接着剤を押し出し、穴の箇所にポトリと落とす。指でそれを広げ、こする。よし、塗った。塗ったぞ。で、たしかこの上から穴をふさぐパッチを貼るんだよな。早速貼り、パッチの上から指で押し接着を強化。しかし、なぜかうまくくっつかない。え?なんで?
よく見てみるとパッチよりも塗った接着剤の範囲が狭く、パッチがチューブにくっついていないのである。なるほど、そういうことか。接着剤が足りていないのですね。すぐさまパッチの裏にねじ込むように今度はたっぷりと接着剤を塗る。再度パッチを指で押す。おお、貼れたじゃん。やればできるじゃん。ちょっと嬉しくなる。うーん、でもちょっと端がはがれているのは気のせいか。ま、いっか。そこは見なかったことにして、いよいよ最終段階。携帯ポンプを取り出し、空気を入れる。シュッ、シュッ。力を入れて三十回ほど押す。さっきまでしぼんでいたタイヤが一気に膨らむ。両親指で押して確認。よし、ビクともしない。抜けている感じはしない。これで大丈夫じゃないかい。というわけで、はい、パンク修理終了。ちなみにきっかり一時間かかりました。
隣にあったガソリンスタンドで手を洗わせてもらい、いざ出発。と思ったら、一人の自転車ツーリストが通り過ぎっていくのが目に入った。あっ、さっきのおじさんだ。こっちがパンク修理している間にいつのまにか追いつかれてしまったのだ。
悔しいー。いや、だってあのおじさんよりもわたしの方が若いんですよ。そんなのに(失礼)負けたらなんかカッコ悪いじゃないですか。というわけで急いで後を追いかけることに。おのれー、負けてたまるかー。
しばらく走ると先ほどと同じくおじさんが止まっていた。え?もう終わり?もしかしてわたしに恐れをなしたか。なわけないと思いますが。
ちょっと興味を持ったので話しかけてみることに。なんでもこのおじさん、ただ今求職中、せっかく時間があるということで、北海道に来たそうです。これからわたしと同じく函館方面に向かって走り、函館から船に乗って本州へ渡り、そのまま千葉の自宅へと走るというなんとも奇妙キテレツなルート(あくまでも個人的な感想)を行くそうです。
それにしても見かけからしてすっかり定年後の道楽かと思っていましたが、意外とまだ若かった。どうやらわたしの勘違いだったようですね。すいません、ご無礼いたしました。
その後、しばし談笑し別れる。当然わたしの方が先へ行く。ここだけは譲れません。

さて、これからは室蘭を目指します。室蘭は苫小牧から七十キロほどに行ったところにある工業都市。その先端には地球岬という岬があるのだが、そこから見える景色がとてもいいらしいのです。なんでも晴れた日には下北半島が見えるそうです。
へー、そうなんですか。それは楽しみ。いやー、胸躍るなあ、ワクワクするなあ。温泉で有名な登別を横目に通り過ぎ室蘭に入る。ここまでは順調。道も平坦で走りやすい。
よし、後もう少しだ、と思ったところで突如、壁のような坂が現れた。勾配およそ十パーセントはあろうかという急坂である。
おいおい、マジかよ。残りわずかってとこでなにしてくれるのよ。
しかし、これを乗り越えないと地球岬には行けない。素晴らしい景色は見えない。なので頑張る。とにかく漕ぐ。脚に力を入れて漕ぐ。が、ダメ。途中から太腿が硬化して筋肉痛が。
イテー、イテーよ。自転車を降りて押して上る。一瞬、そんな考えが頭をよぎる。でも、いきなり初日から降りていたら一周なんてできそうにもない。なので、ここでも頑張る。途中太腿が悲鳴を上げる。仕方ないので腰を浮かし、立ち漕ぎに変える。ペダルを踏むごとにガタン、ガタン音がする。痛みが走る。太腿に乳酸が溜まっていく感覚がある。それを感じながらも上る。頑張る。くーっ、もうダメ。と思った瞬間、頂上が見えた。おりゃー。後もう少しだ。声を出し、火事場のクソ力を発揮。一踏みごとに脚がつりそうになるが、なんとか上りきった。ハアハア。よし、頑張って上ってきたぞ。死ぬ思いして上ってきたぞ。さあ、素晴らしい景色を見せてくれ。というか見せてくれるんだろうな。自転車を降り、期待に胸膨らませて地球岬の看板が立っている場所まで行ってみた。
何も見えませんでした。びっくりするくらい何も見えませんでした。雲がかかっていて全然見えないのです。
おいおい、なんだよ。いきなりこれかよ。最初に行った観光スポットが見れないなんて。なんだよー。せっかく頑張って上ってきたのにー。あーあ、ガッカリ。仕方ないのでガイドブックの写真を見てガマンすることにした。
しかしそんな頑張りを神様はちゃんと見ていてくれた。ふと横を見ると、断崖絶壁があったのです。覗き込むとこれが実によい眺め。おお、まさかこんなところで絶景が見られるとは。いやはやツイている。いや、景色が見れなかったからって負け惜しみで言っているんじゃないですよ。
ところでここで余談。地球岬というたいそうな名前が付いていますが、実はそのつけ方ってけっこういい加減なんです。元々は「ホロ・チキップ(アイヌ語で「親である断崖」)」と呼ばれていて、そのチキップがチキュウ、そしてチキュウが地球になったんですって。つまりこれって当て字なんです。ね、けっこういい加減でしょ。いや、景色が見れなかったからってケチつけてるんじゃないですよ。
休憩がてら地図を眺めていると、ここから意外と洞爺湖が近いにことに気がついた。たしか昔、社員旅行で行った記憶がするが、よくは覚えていない。まったく予定にはなかったが、せっかくだから行ってみようか。
今回の北海道一周はできるだけ海岸沿いを時計回りに走ろうと思っている。ちなみに洞爺湖は山の中にあり、今回の主旨からは外れているのだが、地図をよく見てみると海岸から十キロほどしか離れていない。それなら遠くないし、せっかく近くを通るのだから行ってみようと思ったのだ。ちなみに時計回りを選んだのは、二つ理由がある。まず一つ目は時計回りだと道路の左、つまり海側を走るため海を近くに見て走ることができるから。もう一つは、道東(根室や釧路など)は夏でもストーブを焚く日があるというなんとも信じがたい話を聞いたからである。苫小牧から道東へは反時計回りで行けば一週間くらいで着いてしまう。しかし、今からだとまだ七月下旬になったばっかり。でも時計回りで行けば八月上旬から中旬に着く予定。同じ夏でも一般的には八月の方が暑い。だったらその頃に行った方が寒い思いをしなくて済むと思ったからだ。

室蘭の街を抜ける。が、これがすんなりとはいかなかった。幹線道路が何本も走っており、その上案内標識がなかなか見当たらず、どれを行っていいのかわからないのです。「はて、こっちか」と思い走っていくとまったく見当違いなところに出たり、「じゃあ、こっちか」と思って行ってみると、そこは自動車専用道路道だったり。さすがに苫小牧へ向かって走っていると気づいた時には慌てましたよ。
午後一時半、なんとか伊達に到着。サイコンを見ると走行距離はすでに百キロを越えていた。今回はとりあえず一日百キロを目安に走ろうかと思っている。もっと走ろうと思えば走れるけどね。でも、がんばりすぎてへばっても意味ないし。というわけで近くにあった道の駅で休憩してから洞爺湖に向かうことに。
国道三十七号線を離れ、道道四百五十三号線を行く。途中出会ったサイクリストさんは五パーセントくらいの上りだと言っていたが、全くそんなことはなくアップダウンが数箇所あるだけ。ん?なんで?もしや騙されたか。
午後三時半、洞爺湖に到着。さすがに寝るのにはまだ早いので、とりあえず湖の周りを走りながら野宿できそうなところを探す。それほどきつくはないが、いくつものアップダウンが続く。
十五キロほど走ると、広々とした東屋とトイレのついた公園が見えてきた。「夕日が見える公園」。人もあまり来なさそうだし、今日の宿はここにしようと思います。
お金の節約もあって、今日もお風呂には入らずじまい。濡れたタオルで体を拭いて終わり。それにしても明日の空模様が心配。ここらしばらくは天気が安定しないそうなのです。でも、ラジオではなぜか天気予報はやらず。明日の天気はどうなんだろう。うーん、ちょっと不安。
東屋のベンチの上に寝袋を広げてもぐりこむ。湖からは波の音がしてきて、とても気持ちよく眠りにつくことができた。
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