北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年7月28日(水) こりゃ、シャレにならんぞ (稚内―宗谷岬―浜頓別 111km)
いつもと同じく午前四時に起床。眠っているみなさんを起こさぬように静かに出発の準備。すやすや眠っている少年に心の中で挨拶をする。そう、わたしは先を急いでいるのです。たくさん走っておきたいのです。なんでかはよくわからんけど。
外へ出ると、灰色か茶色かどっちか決めろと言いたくなるような、なにやら恐ろしげな稚内の空だった。いやーな予感。
しばらく走ると、案の定というべきかやはりというべきか、道路の電光掲示板に「宗谷北部雷注意報発令中」の文字が冷徹に表示されていた。
なに?朝から雷ですか?昨日は暴風雨、今日は雷。まったくいい度胸していますね。稚内はわたしに恨みでもあるのか。
まずは日本最北端の地・宗谷岬へ向かう。別になにがあるわけでもないだろうが、稚内に来たら誰もが行くことになっている。
一時間半ほど走ると宗谷岬、というよりテレビでよく見た三角形の「日本最北端の碑」が見えてきた。
「おお。いよいよわたしも日本最北端まで来たのか。なにか感慨深いものがあるねー」
なんていうことは思わなかった。
だってふつうの広場ですよ、ここ。日本最北端という名誉がなかったら、単なるふつうの岬でしょ。というより、ただ最北端というだけで、ことのほか重要視されているのが気に入らない。威張っているのが気に入らない。いや、別に威張っていないか。それはともかく、宗谷岬のせいで他の名もなき岬が軽く扱われているのではないか。虐いたげられているのではないか。わたしにはそっちの方が気になる。そう、わたしは心優しき旅人なのだ。マイノリティーの味方なのだ。
なんだかややこしい話になってきました。
とりあえず日本最北端の碑の前で写真を撮ることに。いくらカッコイイこと言っていても、その実はミーハーなんですね。
セルフタイマーをセットし、自転車と一緒にカメラにおさまる。
なんていうのは冗談。わたし、カメラ持ってきてないんですよ。会う人には心のシャッターを切ってるんです、と洒落たことを言っています。早い話、撮るのが面倒くさいだけなんですけどね。
一応、オホーツクの海を眺めてみる。なんでも、晴れた日にはここからサハリンが見えるらしい。
見事なくらいなにも見えませんな。目に入るのは灰色の空と灰色の海。どこにでもありそうな風景。さらに特別感減。
どうやらここはわたしがいるべき場所じゃないみたい。ほかに人はいないし。そりゃそうだ。まだ朝の六時半だもん。
というわけで、宗谷岬を後に。ここからはひたすら北海道を南下いたします。ということはつまり、今まで追い風だったのが向かい風に変わるというとても非情な現実に向かわなければならないわけですな。
おもー。分かりやすすぎるくらい一気にペダルが重くなった。しかも眠気まで襲ってきたもんだ。きっと六時間しか眠っていないのが原因だろう。昨晩は少年と本の話で少し盛り上がったのです。
途中、道の駅があったので、そこで少し寝ることに。ベンチの上にマットを敷き横になる。三十分ほど眠ったが、あまりスッキリせず。あーあ。
再び走り出す。しばらく行くと、大きな看板が目に入った。なんだろう、と思い、自転車を停めて見る。看板にはたくさんの牧場が地図入りで紹介されてあった。
合点がいった。いや、さっきからずっと同じような牧草地が続いていたんですよね。なるほど、あれは牧場だったわけですな。それにしても遥か山の麓までずっと続いている。前を見ても後ろを見てもずっと。まったく北海道の大きさを実感せずにはいられない。
というのは表向き。実はあまりにも同じ景色が続いていて、ちょっと飽きてたんですよ。
国道二百三十八号線を逸れ、エサヌカ線という道路に入る。なんでもここからは長い直線道路が続くらしい。入ってすぐに民家があり、本当にそんな道路があるのか、とちょっと不安になったが、心配なかった。しばらく行くと、真っ直ぐな道路が広々とした牧草地をスパッと切り裂いていた。
ひょえー。ほんと果てしなく真っ直ぐやな。漕いでも漕いでも、まったく進んだ気がしない。しかもまったくといっていいほど車が通らない。距離だけみれば昨日通った日本海オロロンラインよりも短いが、人気の無さならこちらの方が上かも。
途中、反対側車線から一台のワンボックスカーが走ってきた。ようやく現れた車にちょっとホッとする。チラッと車内を見ると、女性二人がわたしに向かって手を振っていた。
よっぽどがんばっているように見えたのでしょうか。
それにしても、うれしー。実は車に乗っている方から手を振られたのはこれがはじめて。なのですごく嬉しい。嬉しいのは嬉しいのですが、ちょっと恥ずかしい気も。
エサヌカ線が終わり、再び国道二百三十八号線に戻る。すると、今度は横から声が飛んできた。
「がんばってー」
見ると、真っ黒に日焼けした小学生と思しき女の子が、わたしに向かって大きく手を振っていた。
本日二回目の、うれしー。
それにしても可愛いですな、女の子は。汚れがないというか、純真無垢というか。あくまでも個人的な意見ですが、子供が、とくに女の子が可愛いのは小学生くらいまでではないかと思っている。それ以上になると、どうもマセて生意気になるんじゃないかと。
小学生の女の子相手なら、学校の先生をやってもいいかな。聞き分けのいい子限定ですけど。無邪気で可愛いらしい小学生に囲まれてお仕事。おお!ワンダフル!さぞかし楽しいんでしょうね。どこが先生募集しているところないですかー。わたし、安月給でも働きます。
果たして十年後、彼女はわたしのことを憶えているのだろうか。夏の北海道を自転車で走っていたわたしのことを。なんていって、明日になったら忘れてたりして。

午前十一時半、浜頓別に到着。なかなかいいペース。この調子なら枝幸まで行けるかな。
コンビニで昼食を済ませ、再び走り出す。すると、ポツポツと雨が降り出してきた。最初はたいしたことないだろうとたかをくくっていたのだが、予想に反して段々雨が強くなってきた。おい、マジかよ。
このまま走れないこともなかったが、昨日のこともあったので高台にある公園に避難。ちょうどうまい具合に東屋があったのです。
しばらく雨宿りしていると、一人のおじさんが車から降りてわたしの元にやってきた。しばし、おじさんとおしゃべり。なんでもおじさんはこの近くに釣りにやってきたのだが、生憎の天気なので諦めてこれから家に帰るそうです。
ふーん、そうですか。おじさんはこの雨の中、一人、わたしを残して帰るんですね。いいんですかね、そのまま帰っちゃって。まー、いいんですけど。
おじさんの後姿を恨めしく見送りながら、一人、東屋の下でたたずむ。雨は相変わらず降り続いていたが、空はいくぶん明るさを増してきた。こりゃ、もう少しすれば雨も上がるかな、と思っていたら、今度は黒い雲が辺りを覆い始め、みるみるうちに雨脚が強くなってきた。あっちゃー。こりゃ、ちょっと移動するのは無理か。もしかして、今日はここで野宿かも。そんなことが頭に浮かぶ。
万が一に備えて宿泊体勢を頭の中でイメージ。まずはテーブルの上にマットを敷く。次にその上に寝袋を広げてみる。足はテーブルからはみ出しそうだが、とりあえず寝れないことはない。まあ、いいや。いざとなったらここで泊まることにしよう。
そんなことをしているうちに、さらに雨脚が強くなってきた。そしてあっという間に滝のような雨に。目の前は一面雨のカーテン。見事に遮られて、周り何も見えず。
おいおい、マジかいな。こりゃ、シャレにならんぞ。まさか本当に今日はここで野宿か?
そうこうするうちに今度は山の方でピカッと光った。同時にドカーンという音も。うわっ!雷じゃん!それもすぐ側。地面、揺れてましたよ。
あちゃー。豪雨に雷。いよいよシャレにならんぞ、これは。わたし、完全にビビッています。あまりの怖さにちょっとオシッコちびりそうだったので、トイレに行く。しかし、東屋から一歩外に出ただけで一瞬にしてずぶ濡れになった。
うわっ、なんだよ、これ。わたし、泣きそうです。用を足して、急いで東屋と戻ると、状況は更に大変なことに。わたしが寝ようと画策していたテーブルが雨でぐしょぐしょに濡れていたのである。そう、雨が猛烈な勢いで東屋の中に吹き込んでいたのだ。そして、今わたしは一身にその雨風を受けちゃっている。こうしている間にも、どんどん雨が吹き込んでくる。相変わらず雷も。どうしましょ、どうしましょ。おろおろするわたし。
おーい、助けてくれー。誰かいないかー。
当然、いるわけないのですが。というわけでジ・エンド。
うわー。ここで寝るなんて無理。というかこのままいたら死ぬかも。一瞬、「死」の文字が頭をよぎる。いや、冗談じゃなくマジで。後から思えば、きっと本能でそう思ったんでしょうね、理屈うんぬんじゃなくて。
これ以上ここにいたら危険と感じたわたしは、雨脚が弱まったのを見計らって(といっても、まだ地面に打ちつけるような雨だったが、それでも幾分まし)、来た道を引き返すことに。実は、来る途中にバス待合所があったのだ。北海道のバス待合所は、寒い冬と多い雪のためちょっとした小屋のようになっている。そう、そこに避難しようという考え。そこまでの距離、およそ三キロ。うりゃー。雨の中を必死に走る。ずぶ濡れになりながらもようやく到着。
すぐにドアを開けて中に入る。お世辞にもキレイとは言えないが、今はそんなことは言ってられない。ちゃんとした屋根、壁がついているだけでありがたい。これならいくら雨が降ろうが大丈夫。とりあえず濡れた衣服を着替え、ベンチの上にマットを敷き、寝袋を広げその中にくるまる。寒くはなかったがなにかに包まれたかったのだ。
ケータイを見ると午後四時。さすがにまだ寝るのには早いので日記を書くことに。すると一時間ほどで眠気が。ウトウトしているうちに意識がなくなっていった。気づいたら時刻は午後七時を回っていた。ということは、二時間ほど眠っていたのか。しばらく目を瞑ってボーっとしていたが、またもやウトウト。そしてまた眠りの底へ。よっぽど疲れていたのか、いや、きっと安心したせいだろう。その日はそれから一度も目を覚ますことなく眠っていた。
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