北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
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2010年7月27日(火) 誰が行こうなんて言いだしたのは (天塩―稚内 90km)
夜中、トイレに行くために起きる。立て付けの悪い引き戸のドアを開けると、ドーンと猛烈な風がぶつかってきた。うわっ。あぶね、あぶね。あまりの風の強さによろけてしまう。しかも風だけじゃなく雨も降っているときたもんだ。
ひえー。とてもじゃないけど今日は走れないなあ。うーん、どうしよう……困った。といってもこの雨じゃどうしようもない。
あーあ、今日は一日停滞かよ。まあでも、しゃーないわね。
用を足してライダーハウスに戻り、再び寝袋にくるまる。とりあえず寝ましょ。だってそれしかすることないんだから。
夜が明けて午前六時。目が覚め、寝袋から這い出し、不安げに窓の外に目をやる。どうやら雨は降っていないよう。しかし、今にも泣き出さんばかりの雲が空を覆いつくしていた。外に出る。相変わらずの強風。それに生暖かい空気。そしてこの空。
なんかやけに台風が来る前に似ているんだけど、気のせいか?
でも、たしか北海道には梅雨と台風はないはず。いや、梅雨はあった。今年がそう。身を持って確認しました。
さて、この天候の中、行くべきか行かざるべきか。悩むところ。
・・・・・・まっ、行きますか。五分五分だったら、行くね。こんなところで一日中過ごしていたくないし。
みなさんも、行きましょう。そう言うわたしに同意したのかどうかわからないが、どうやらアメリカさんも、少年も、日本一周中のお嬢さんも出発するようです。よし、四人なら心強い。さあ、みなさん、頑張ろうではありませんか。
しかし、走り出してすぐにバラける。というか、それも致し方ない。だってこの統一性のないメンツ、バラエティに富み過ぎ。
冷静に見て、一番走力があるのはトライアスリートでもあるアメリカさん、次に年の功でわたし、続いて少年、最後は女性ということもあってお嬢さんか。みなさん、無理せず自分のペースで走りましょう。
いよいよこれからは家も信号もなにもない日本海オロロンラインに入っていく。ちなみにトップを行くのはわたし。アメリカさんはまだコンビニにいて、後から追っかけてくるそうです。
うーん、このまま走っていてもなんか面白くない。誰かを追っかける形の方が走りがいがある。というわけで、ハンディとばかりにトイレを備えた休憩施設の建物に寄ることに。そこのベンチに座って菓子パンをかじりながら日記を書いていると、アメリカさんが走ってくるのが見えた。手を振るわたし。それに気づいたらしくアメリカさんがこっちにやって来た。いや、別に呼んだわけじゃないんですが。
アメリカさんがわたしに向かって何か言っている。が、理解できない。「何しているの?」と言っているのだろうか。「アイ・アム・ライティング・ア・ダイアリー」とペンで字を書くジェスチャー付きで言ってみる。うなずくアメリカさん。どうやら通じたようです。
さて、そろそろ行きますかね。自転車にまたがり漕ぎ始める。しばらく走り、ふと思う。なにもないところと聞いていたから、どんだけ寂しいところかと思っていたが、意外とそういう感情は湧いてこないのだ。
たしかに家も信号も何もない。だだっ広い中をわずか一本の道路が通っているだけ。しかし、思っていたよりトラック、乗用車、けっこう多くの車が走っているのである。おそらく稚内へ通勤したりしている車なのだろう。
アメリカによくあるような荒涼とした大地を一人ポツンと走る、そんなところを想像していただけにやや拍子抜け。
ただ、走りに関して言えば実に楽しめた。昨日と同様追い風。しかも、信号のない直線道路。ペダルを漕げば勝手にスピードが出る。「誰か後ろから押していない?」そんな感じで実に楽。六十キロも及ぶこんなところ、内地にはないもんね。
ここを堪能しようと必死に漕ぐ。いやー、実に気持ちいいだべ。このスピード感がたまらない。
しばらく行く。右手に昨日見たような風力発電の風車が一直線に並んでいた。しかし昨日と違うのはその数。ざっと見ただけでも二十基以上はあるだろうか(後でツーリングマップルを見たら二十八基と書いてあった)。いやー、これが実に壮観&圧巻な眺め。まるで風車が天高くそびえたつ杉の木のようなのだ。なにか見ているだけで、心がすーっとしてくる。心が洗われてくる。実に清々しい。天気は悪いけど。

途中、先行していた少年とアメリカさんと合流。後からやって来たお嬢さんは休憩しているわたしたちを尻目にそのまま先へ行ってしまった。え?マジ?休んでいかないの?すげぇ、タフ。
三人で話をしていると、そこに一人のおじさんツーリストやってきた。四人でノシャップ岬を目指すことに。少年は少し嫌そうでしたが。
ところが、これが大変なことに。さっきまでパラついて雨がいよいよ本降りの様相を呈してきたのである。ひょえー。マジかいな。
あまりの雨の多さに上着を羽織ろうと、バックにムーンストーンのジャケットを探す。が、ない。ない。どこにもない。おーい、どこだよー。どこなのよー。返事してくれー。
返事、ありません。というかなぜないんだ?もしかして、どこかに忘れたか。
あー、ひょっとして……思い出した。きっとライダーハウスだ。昨日寒くてバックの中から取り出したのだが、肝心なことに入れた覚えがない。うわー。マジかよ。これから取りに戻ることも一瞬頭をよぎる。が、ここまでですでに四十キロほど走ってきている。しかも戻るとなるとこの雨の中を走らなあかん。うわー、さすがにそれはイヤッ。それは無理。というわけで、ゴメンナサイ。可哀相なジャケットはおきざりにされることになりました。合掌。
で、雨である。この頃になると、さらに雨脚が強くなってきた。目の前ではあまりの激しさに雨煙が立っている。道路は水溜りを通り越してまるで池のよう。視界はゼロ。体はずぶ濡れ。目も開けてられない悲惨な状況に。
バケツをひっくり返したような雨というが、まさにこのことか。しかも悪いことに風の勢いが増してきた。前から横から後ろから、いろんなところから雨が当たってくる。結果、四方八方からバケツのような水を浴びることに。あはは。なんだい、これ。何かの罰ゲームかい?しかもタイヤが蹴り上げた水しぶきがモロに顔にかかる。ぶわー。口に入った雨を吐き出す。チクショー。おれがいったいなにしたっていうんだよー。ひどい、ひどい。ひどすぎます。
とりあえずどこか雨宿りできる場所はないのか。周りを見るがなにもない。そっか、ここはなにもないところだった。先を走るしかない道はないのだ。もー、悪夢。夢なら覚めてくれー。だいたいよ、誰が行こうなんて言いだしたのは。わたしか?いやすまない。

なんとかノシャップ岬に到着。が。先を走っていたはずのアメリカさんとおじさんの姿が見えない。とりあえず岬の突端へ向かう。途中、トイレがあったのでそこに一時避難。
ひぃー。それにしてもいったいどうなっているんだ、この天気。これ、暴風雨を通り越して台風でしょ。北海道には梅雨だけじゃなく台風も来るのか。
もう一歩も先に進めない。しかし、このまま立ち去るのは悔しい。突端まで行かなきゃ、なんのためにこんな思いをしたのかわからん。意を決して外へ通じるドアを開ける。ブワーッ。ものすごい雨風が吹き込んできた。一瞬よろけるが、必死に体勢を立て直し、歩を進める。残り五メートル。なんとかノシャップ岬の看板の下に到着。看板を握って「やったぞー!」とガッツポーズ。するやいなや、一目散にトイレへ逃げ込んだ。
ほどなくして少年がやってきた。おお、思ったより早かったじゃん。
「もう必死になって漕ぎましたよ」
少年は海にでも浸かったんじゃないかと思うくらいずぶ濡れだった。水が頭から滴り落ちている。よく頑張った。エライ、エライ。君は成長するよ。
「ところで、おじさんとアメリカさんは?」
そうなんです。いないんです。ちょっと探してくるわ、と少年に言い残し、外へ出る。相変わらず尋常じゃない風雨。少し行くと、食堂の脇におじさんの自転車が停まっていた。中に入ると、おじさんだけじゃなく、なんともまあ、お嬢さんもいた。どうやら食事していたみたいです。
おじさんにアメリカさんの行方を訊くが、「わからない」とのこと。もー、いったいどこに行っちまったんだよ、アメリカさんは。
おじさんはこの先にあるユースホステルに泊まるそう。仕方ない、われわれは北防波堤ドームを目指すか。なんでもそこは夏になると多くの旅行者がテントを張って泊まる有名な場所らしいのです。今日はそれに倣って、そこに泊まろうと思っているのです。
そこまでの距離、わずか四キロ。しかし、今はその四キロがとてつもなく長い。雨が容赦なく体を打ちつける。がんばって走りたいところだが、ノシャップ岬に着いて気持ちの糸が切れたのか、いっこうに足に力が入らない。もういい、なんか走る気しない。頼む少年よ、先に行ってくれ。ここはおまえに任せた。わたしは後からゆっくり行きまするので。
目の前を雨が流れ落ちる中、走る。しばらく行くと、港の方に北防波堤ドームが見えてきた。その形はまるで巨大なトンネルを半分に切ったかのよう。それにしても、でかっ。想像していたよりはるかに大きい。近づくとその大きさがさらに実感させられる。
しかし中に入ると拍子抜け。どのくらいたくさんのテントがあるのだろうと思っていたのだが、なんとあるのは一張のみ。でも、それもそのはず。だって下のコンクリートが濡れているんだもん。よく見れば見事なくらい四十五度の角度で雨が吹き込んできている。しかも港に打ち寄せる波が風によって吹き上げられ、ドームの中まで運ばれてきている。
おそらく通常の雨なら、ここで泊まるのもアリなんでしょう。でも、今日のような暴風雨ではとんでもない。
ふわー。どうしよう、こりゃ参ったなあ。無理でしょう、ここに泊まるなんて。でも、ここしか泊まるところ考えていなかったし。いまさら他の場所なんて思いつかん。
そんな不安げなわたしをよそに少年はここに泊まってもよさそうな顔をしている。そりゃいいよ、おまえは。テントあるからね。少々の雨なら屁でもない。でも、寝袋のみのわたしのことを考えてみ。ちょっとの雨が吹きこんだだけでも濡れてしまう。想像しただけでもこわっ。いやいや、やっぱ無理、無理。とてもじゃないけど、無理。少年よ、悪いがここは諦めておくれ。
「稚内にネットカフェはありますか」
犬の散歩をしていた女性がいたので訊いてみた。でも、顔を見ただけでないことがわかった。だって、わたしが言い終わらないうちに見る見る顔が曇っていくんだもん。で、返ってきた答えはまさにその通り。まあ、なんとなくそんな気はしていたけど。稚内はネットカフェがあるような大きな街ではないんですね。
少年と相談した結果、今日もライダーハウスに泊まることに。正直、余計なお金は遣いたくないが、この雨だ、そうも言っていられない。わたしだってまだ死にたくない。

手持ちのお金が残り少ないので銀行へ。中に入り、ATMコーナーへ向かう。キャッシュカードを入れ、暗証番号を押す。が、押してもまったく反応しない。え?なんで?番号を間違えたかなと思い、頭の中にいつも押している四桁の数字を思い浮かべる。よし、これでいいはず。もう一回押す。今度は一つ一つ丁寧に。でも反応ナシ。心が泡立つ。もう一度やってみる。先ほどよりさらに丁寧に押す。でもダメ。え?なんで?
カーッ。一気に体が熱くなった。と思ったら、今度は急にスーッと血の気が引いてきた。
おいおい、マジかよ。財布には英世ちゃんが三枚しか入ってないんだぞ。このままお金がおろせないとなると、今日はメシ食ったり風呂入ったりできないかもしれない。いや、そんなことをしていたら肝心のライダーハウスに泊まれない可能性も……。
荒れ狂う暴風雨の中、軒下で一晩過ごすわたし。
ゾーッ。想像したくねー。というかなんでだ?番号は間違っていないはず。おかしい。なにかがおかしい。焦るな。とにかくここは冷静になれ。落ち着け。まずは落ち着くんだ。ふーっ。はーっ。息を大きく吸って、大きく吐く。そんなことをしているうちに被っていた帽子のつばから雨滴がポタポタ落ちてきた。
・・・・・・ん?もしや・・・・・・。もしかして指が濡れていて、センサーが感知しないのかも。
早速、指をこすって押してみる。すると、今度はちゃんと反応した。
うわー、よかった。ほっとした。これで一安心。マジで焦ったよー。
途中、自転車屋に寄る。なんでもサドルが少年のお尻に合わないらしく、調整してもらいたいとのこと。あはは、そうですか。まあ、いいや。ちょうど雨宿りもしたかったしね。
すると、なんとそこにはお嬢さんがいた。おお、久しぶりです。といっても、さっき会ったばかりですが。
どうもお嬢さんは自転車の点検をしてもらっているよう。なんでもこうやって定期的に自転車屋に寄っては診てもらっているそうです。さすがです。きっとこれくらいやらないと日本一周なんてできないんでしょうね。それにしてもなかなかの気の遣いよう。
「おいおい、誰かさんもこのくらいやれよ」なんてことを思わず言いたくなる。わかっているとは思いますが、わたしのことです。すいません、反省します。
少年のサドルの具合もよくなり、お嬢さんの点検も終わったのでいざ出発。
ところでお嬢さん、今日はどこに泊まるのだね?ちなみにわたしたちはこの近くのライダーハウスで泊まるんですけど。
「まだ時間も早いのでもう少し走ろうかなあって」
お嬢さんはニコニコした顔をこちらに向けてきた。
ええっ、マジで?あんな鬼のような雨を体験しておいて、まだそんなことをのたまうのですか、あなたさまは?
いやー、びっくりした。おったまげた。さすがダテに日本一周してないわ。マジで感服。それではくれぐれも気をつけて行ってください。わたしたちはダメ。そんな気力ナッシングです。

自転車屋のおじさんに教えてもらい、無事、目指すライダーハウスに到着。そこには、国の重要文化財に指定されているんじゃないかと思うくらいひなびた建物が鎮座していた。
というのは皮肉。早い話、平屋建てのボロ屋。これ、築何年でしょう?不明。というか考えたくない。
うわぁ、マジ?マジでここに泊まるのかよ。嫌だなあ。というか、こんなところにお金を払うことが馬鹿馬鹿しい。納得できない。そりゃねえ、雨が凌げるのはありがたいけどさあ。
じゃあ、野宿する?
そうね。そう言われたらおとしなくするよりありませんよね。すいません、泊まらせていただきます。
宿帳に名前と住所を書く。ほどなくしてオーナーがやってきた。宿代六百円を徴収し、宿についての説明や周辺情報を教えてもらう。ついでにここのライダーハウスの特製シールをもらう。ありがとうございます。といっても、全然欲しくはないのですが(案の定、すぐに紛失。あはは)。
中に入ってみると、びっくり。予想に反してきれいに片付いていたのである。しかも一番汚れていそうなトイレや台所もきれいにしてある。よっぽど気を遣って使っているのか。まったく外からは想像ができない。外観からしてモノが散乱していると思っていたのです。
なんだか臭ってきそうな畳に腰をおろす。奥の方を見ると、年齢不詳のおじさんが二人、置物のように転がっていた。身なりはあまりきれいとは言いがたい。それにしても二人、馴染み過ぎ。だって部屋の風景と一体化しているんだもん。なにやら長期滞在者の臭いが。
そういう人たちって変わっている人が多いと聞く。そりゃそうだ。旅に出てきているのに、ずっと同じところにいるのだ。まともな旅行者のすることとは思えない。
ちょっと怖いなあ。正直、声をかけづらいなあ。なんて思ってもさすがに挨拶くらいはしないと。意を決して挨拶。よろしくお願いしまーす。すると意外にも気さくに挨拶を返してくれた。しかもこちらの質問にも実に丁寧に答えてくれる。勘違いでした。案外いい人たちみたいです。
さて、まだ午後三時。うーん、これからどうしようかね。まっ、やることはたくさんあるんですけどね。洗濯とか、メシとか、風呂とか、日記とか。
とりあえずメシですかね。といっても、昼メシにも晩メシにも非常に中途半端な時間。少年と相談した結果、昼メシは抜きにして、晩メシを外で一緒に食べることにした。
それまでなにしましょうか。まあ、風呂ですか、ここは。雨で体濡れているし。少年に、行く?と訊くと「行く元気ないです」とのこと。いい、いい。君はいい。ゆっくり休んでなさい。というわけで一人でお風呂に行くことに。なんでも稚内港の近くに温泉があるとのこと。
自転車を港へ走らせる。外はさっきの豪雨がなんだったかと思うような小雨。というかほとんど上がっている。おいおい、もうちょっと待っていれば、あんな豪雨に遭わなくてすんだのかよ。自分のツイてなさに肩が落ちる。
十分ほど走り、稚内副港市場に到着。この二階に「港のゆ」という温泉がある。自転車を停め、中に入ると、ある一箇所に人だかりができていた。近づいてみると、どうやらラジオの公開放送らしい。ミュージシャンらしき男性がインタビューに答えていた。しかし、全然知らない顔。稚内のスターなのか?
二階に上がり、温泉へ向かう。それにしてもドキドキ。いやー、入浴料がいくらかなあと思って。えらい高ければ嫌だし。まあ、五百円以内ならOK。それ以上ならちょっと高い。ちなみに今までの最高は八百円というわたしにはあり得ない値段。さて、ここは……残念。七百円でした。あーあ。
フロントで料金を払い、浴場へと続く廊下を歩く。いたるところにロシア語の文字が。そっか。稚内とロシアはご近所さんなんですね。
脱衣所で服を脱いでいると、早速、ロシア人に出くわす。おお!でかっ。身長は百七十センチのわたしよりもはるかに高い推定百九十センチ。髪は金髪だがきっちり七三に分けているという外国人らしからぬ不思議な感じ。体は肉体労働者を思わせるかのような筋骨隆々。船舶関係の人なのか。ちなみに胸毛もしっかり金色でした。ということは、下の方も……やっぱり金色。というのはウソ。さすがにそこまで見る勇気はないのです。ホモと勘違いされても嫌だしね。
裸になり浴場へ。さすがに七百円は取りすぎだろうと思ったが、意外にもこれがよかった。広々として、きれい。しかも浴槽の数が多くて大きい。さらにダメ押しで露天風呂がついている。ここ、わたしが北海道で入った中で一、二を争う温泉かも。
許す。これで七百円なら許す。
引き戸を開け、露天風呂へ。わーお。稚内港が目の前に見えるのです。古びた倉庫群に錆が目立つ漁船。その上を飛んでいる海鳥の群れ、群れ、群れ。って、多すぎだろ、これ。ここまで多いと逆に気味が悪い。ヒッチ・コックの『鳥』を思い出してしまった。
しかし、そんなマイナスポイントを差し引いても、いいね、ここ。いかにも港町という感じがします。風情があります。ここには「港旅情」という演歌が似合いそう。
お風呂から上がり、休憩室へ。ゆったりとした大きな椅子に腰を下ろす。フカフカして実に気持ちいい。あまりの気持ちよさについウトウト。いかんいかん。少年と晩メシの約束があるのに。
そのまま戻るのもつまらないので、稚内フェリーターミナルに行く。いや、とくに用事はないのですが。
行ってびっくり。人が誰もいないのである。ロビーは実に閑散。さびしー。
なんでこんなに人がいないのか、と思っていると電光掲示板に「利尻島大雨洪水警報」の文字が。
あちゃー。どうやら、わたしはとんでもない時に来ちゃったみたいです。

ライダーハウスに戻るとビッグニュースが待っていた。なんと、少年がアメリカさんに会ったそうなのだ。ええ!ウソ!マジで?
少年によると、なにげなく窓から外を見ていたら、自転車に乗ったアメリカさんがいたというのである。おお、何たる偶然。それはそうとアメリカさん、ユーは今までどうしていたわけ?
後で聞いた話によると、ノシャップ岬に到着したアメリカさん、そのまますぐに北防波堤ドームに行ったのだが、雨で体が濡れたので近くの温泉に入ったそうです。
え?ということは、なに?われわれのことは置いて自分だけ気持ちよく入浴していたのですか?
おいおい、こっちはあれから探したんですぞ。まったくもー、アメリカ人は自由なんだから。
その後、お風呂から上がったアメリカさんは、きっとわたしたちがライダーハウスに泊まっているだろうと推測して(その読みは正しかったわけですな)、稚内にあるライダーハウスをあちこち探しているうちに少年と会ったそうです。
ちなみにアメリカさん、今夜は別のライダーハウスに泊まるそうです。
ふーん、そうなんですか。わたしたちと一緒に泊まらないのですね。
アメリカさんいわく、そこはここより料金は高いがきれいとのこと。
うん、正解。だったらそうした方がいい。わたしもお金に余裕があるのならそうしてますって。
夜、アメリカさんを加えた三人で夕食を食べるため稚内の街へ。
わたしとしてはお金がかかる外食は避けたいところだが、三人揃って食事をするのもおそらくこれが最後。なによりあの暴風雨を乗り越えてきたんだ、そのご褒美としてもバチは当たらないだろう。というわけで、この旅初の外食。
場所はツーリングマップルに載っていた「ボリューム亭」。いかにも量が多そうな旅行者向けの名前である。それにつられて選んだのは、そう、わたし。お店名物のハンバーグを美味しく頂きました。
その後、ライダーハウスに戻り、洗濯を済ます。それから少し少年と話をし、十時に就寝。それにしても今日はハードな一日だった。もう二度とこんな思いはゴメン。
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