北海道一周、自転車で走ったよ!?
2010年夏、苫小牧をスタートしました。さて、結末はいかに? 紀行エッセイです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010年7月26日(月) 高校生に外国人に女性…そしてわたし (留萌―天塩 130km)
朝、目を覚ます。顔までかぶっていた寝袋をはごうとすると、なぜかべっとりと濡れていた。
うわぁ、よだれかー!と思い、おそるおそる触れてみる。すると粘り気がなく水っぽい。あれ?おかしいな。今度は思い切って手のひらをつけてみる。やはりさらっとしている。よく見ると、それはよだれではなく朝露だった。
なんだよ、もー。まったく朝から焦ったぜよ。
ううーっ、それにしても寒い。充分眠ったから目が覚めたというより、寒くて目が覚めた、そんな感じ。夏真っ盛りのはずなのに、さすが北海道、北にいくにつれ寒くなっていくのか。といっても、まだ最北端の宗谷岬までけっこうあるんですけど。ほんと、どんだけ寒くなるんだよ。まさか冬の寒さ、なんてことはないよね。初めてなので、見当がつかないのです。
寝袋の中から上半身を伸ばす。ベンチ横に置いてあるスポーツバックの中に腕を入れ、上下左右に動かす。
あれ?ねぇーな。さらにもっと奥に腕を伸ばしてみる。イテテ。勢いあまってベンチからずり落ちそうになった。
え?何やっているのかって?いや、バックの中からジャケットを取り出そうとしているのですよ。寒いんでね。
だったら、ちゃんと寝袋から出て探したら?
うん。いいこと言った。
でもね。外、寒いのよ。
みなさんにも経験ありません?小さい頃、冬の寒い朝、布団から出たくないばっかりに、その中で着替えを済ませてしまったこと。それでも着替えるのが難しいとわかった時にようやく布団の中から出て着替える。そんな横着な子供だったのわたしは。
それにしても、そんなわたしが自転車で北海道一周しようというのだから、我ながら難儀なことをしてるよなあ。
普通こういった旅をしている人は「ここ行きたい!」とか言って目をキラキラ輝かせながら旅に出かける、もしくはしていると思うのだが、わたしはちょっと違う。いや、ちょっとどころじゃないかも。
普段の口癖が「面倒くさい」「やったって何の意味があるの?」といったわたし。なるべく北海道を一周すること以外、余計なことはしたくないのです。たしかにここまでいろいろな観光地には行っている。でも、それはあくまでも一周線上にあった、もしくはその近くだけ。せっかく通ったんだから寄っておこうか。その程度のもの。一周線上を何十キロも外れてわざわざ行く、そういった思いは一切ないのである。あっ、でも一つだけあったか。そういえば、余市からキツイ思いして倶知安まで行ったなあ。でも、あれは例外。海外線を雨の中走りたくなかったから、ちょっと時間をやり過ごすために行っただけなのである。
えーっと、何の話だっけ?
そうそう、ジャッケトを探してたんだよね。
やっぱり、この体勢で探すのは無理があるか。
しゃーない。起きるか。
寝袋から這い出す。うー、寒っ。やっぱり寒いっす。
スポーツバックのジッパーを全開にして頭を入れる。おー、あったあった。一番下に。まさかこんなに早く使うとは思っていなかったので、一番下に入れておいたのです。
早速、ジャケットを羽織る。これ、ムーンストーンの冬用ジャケット。赤黒のツートンカラー。十年以上前にセールで一万四千八百円で買ったもの。この値段で防水透湿素材を使用しているという、今考えてもお買い得。
昨日は暑くなかったためほとんど目を覚ますことなく眠ることができた。あまりによく眠れたせいか正直、まだ寝ていた気分。
今、何時だろうと思い、ケータイを見る。すると液晶画面には「4:22」の文字が。
わーお。いつも四時起きなので、いわゆる寝坊というヤツ。もう起きなくては、とは思うのだが、たまにはゆっくり寝ていてもいいかな。ふたたび寝袋の中に入ってモゾモゾ。しかし、五分で飽きる。というより、遅く起きればそれだけ自転車に乗る時間が少なくなる。ということは、自ずと距離を稼げなくなる。ゆえに自分が困る。そのことに気づいたのです。とことん自分が損することが嫌なんですね、わたしという人間は。
いつものように、ひげを剃り、歯を磨いていると一人の男性がわたしの方に歩いてきた。
あっ、昨日見かけた外国人だ。うわ、どうしよう。話しかけられたら嫌だなあ。いや、まだ起きたばっかりで頭がボーっとしているんですよ。正直、今は人と話す気分じゃない。ましてや外国人でしょ。日本語が話せればいいけど、英語しか通じなかったら朝っぱらから頭使わなあかん。そんなの嫌。わたしだって、カタコトしかしゃべれないんですから。
「オハヨウゴザイマス」
あちゃー、ご丁寧に挨拶してきちゃったよー。どうしましょ。どうしましょ。心の中でおろおろ。
かといって、さすがにそれを無視するほど礼儀知らずじゃない。とはいえ、今はこれ以上関わりたくない。よってここは、いかにも「おれは、愛想の悪い、人とコミュニケーション取るのは嫌いなんだよー」という人間だと思ってもらえるようにする。というわけで、聞こえるか聞こえない声でボソボソと挨拶することに。そして、すかさず話しかけてこないように下を向く。多分、これで話しかけてこないはず。大丈夫なはず。
案の定というか幸いなことに、彼はそれ以上言葉を発することなくそのまま通り過ぎていった。
よっしゃー。作戦成功。ほっと胸を撫で下ろす。
と思ったら、なんと振り返ってこっちに向かってきた。おいおい、マジかよ。あわわあわわ。途端にパニック。
「ええい。こっちに来るんじゃない。こっちは英語ができないんだぞ。話しかけても相手できないんだぞ」必死に心の中で叫ぶ。
話しかけられないよう、「いやー、朝の海もなかなかなもんだね」てな感じで海を見ながら佇んでみる。向こうは外国人だし、さすがにここまですれば大丈夫でしょう。
大丈夫じゃありませんでした。「コレ、アナタノ自転車デスカ?」わたしの自転車を指差して、腕で自転車を漕ぐ真似をしてきたのである。
あらー、どう見てもあなた、おれに話しかけているよね?
あちゃー。とうとう恐れていたことが起こっちゃいましたか。さすがにここまで話しかけられれば、知らんぷりもできないよなあ。
・・・・・・ん?というかあなた、もしかして日本語OKなの?なに、日本語しゃべれるの?そうなんだ。なんだよー、まったく。それを早く言ってよ、それを。だったらいいよ。話しましょ。われながら恥ずかしくなるほどの変わり身の早さ。ある意味スゴイです。
細面の顔。茶色の髪に同じく茶色の無精髭のアメリカ人。話してみると、完璧に日本語を使えるわけではないが、おおよそ話は通じる。なんでも、今は広島のインターナショナルスクールで体育の教師をしているそうです。趣味はトライアスロン。
なるほど。インターナショナルスクールか。だから、こんな時期に北海道にいられるんですね。あそこは夏休みが長いもんなあ。ちなみに、今日はわたしと同様、海岸線を北上していくそうです。
しばらくそのまま話す。その後、出発の準備をするから、と言ってアメリカさんは立ち去っていった。「じゃ、また」という言葉を残して。
え?「じゃ、また」って……それ、どういうこと?もしかして準備が終わったらまた会おうということ?ということはなに、わたしと自転車で一緒に走ろうということなの?
困った。もしそうだとしたら困った。当然、一緒に走るとなると、相手のペースに合わせなきゃならん。いや、待てよ。トライアスロンやっているくらいだから、きっとむこうがわたしに合わせることになるだろう。そうなるとわたしの性格上、合わせてもらっているということをえらく気にするだろう。恐縮するだろう。うー、考えただけで気疲れが・・・・・。そう、わたしは人に合わせるのも、合わせられるのも、ものすごーく苦手な人間なのである。あーあ、もしそうなったらどうしよう。考えるだけで気が重くなってきた。
・・・・・・まあ、あれですな。アメリカさんには悪いが、何事もないような顔をしてスーッと前を通り過ぎていこう。そうすれば彼も声をかけるタイミングを逸する、もしくは、わたしの存在すら気づかないかもしれない。よし、そうしよう。っていうかそれしかないでしょう。
リアキャリアに荷物をくくりつけ、いざ出発。走り出してすぐに、テントの前に座っているアメリカさんの姿が見えてきた。なにやらタイヤにチューブを入れているよう。心臓が早鐘を打つ。こえー。さあ、どうなる?さすがに何も言わないので通り過ぎるのもあれなので、呼び止めるよなー、と念じながら一言「ハーイ」と声をかけて通過を試みた。すると拍子抜け。なんと彼も「ハーイ」と笑顔で応えてくれたではないか。へっ?ウソ?てっきり「一緒ニイキマショウ」とでも言われるかと思っていたのに。というか半ば覚悟していましたよ。
あはは。どうやら、これ、わたしの勘違いのよう。いやー、どうもわたし、必要以上に考える癖があってですね。いやはやお恥ずかしい。それにしても、走る前からからどっと疲れてしまった。

留萌は初めて聞く名前だったので、そんなに大きくないと思っていた。でも、街中を走っているとそれなりにたくさんのお店、ありましたね。
道はなぜか一旦、山の方へ向かい、また海岸に戻ってくるという意味不明な動き。なんなんでしょう、これ。
なんてことを思いながら走っていると、突如、右手に風力発電の風車が現れた。数えてみると四基。行儀よく並んですくっと立っている。わーお。すげーな、これ。ただ眺めているだけなのにテンションが上がってくる。もう、たまらんね、この非日常感。てっちゃん、大興奮。
道はフラットな直線コース。しかもフォローウィンド。漕ぐ足が軽い軽い。何もしなくてもスピードがぐんぐん上がっていく。時速は常時三十キロオーバー。いやー、実に気持ちいい。足を回さなくても勝手に進んでいく、そんな感じ。
午前七時半、苫前に入る。さてここで、「風W苫前」という面白い名前の道の駅を見つけた。なるほど。なかなか凝っているというか、実にヒネリを効かせている。
突然ですが、ここでクイズコーナー!
「風W」とはいったいなんて読むんでしょーか?
制限時間は三分。
さあ、わかりますか?
ヒント、副詞です。
どうでしょう。
え?わからない?
それじゃあ、ヒントその二、「W」は電気に関係のある読み方をします。
さあ、どうでしょうか。
はい、時間が迫ってきてますよー。急いでくださーい。
チッチッチッチッ・・・チーン!
はーい、終了!
答えは・・・・・・「ふわっと苫前」でした。どうでしたみなさん、わかりましたかー?
そんなクイズで遊んでいるうちにいつしか道の駅に到着。
わーお。いやー、驚いた。実に広々とした場所で、設備が充実しているのである。ホテルはあるわ、温泉はあるわ。道の駅の中には二十四時間使用できるトイレもある。外を見れば広いキャンプ場に寝袋を敷けそうな東屋まで。
泊まりてー。まだ朝の八時半だけど。
でもさすがにそれは早すぎ。わたしの今日の寝床はまだまだ先なのです。
しばらく走り、羽幌に入る。すると、ここにも道の駅の表示が。一応寄っておきますか。さっきのところから十キロも走っていませんけど。
道の駅を探す。しかし、なぜか見当たらない。表示された場所には、大きなホテルがでーんと一軒建っているだけ。
おかしい。どこにあるのだろうと思い、ホテルの中に入りフロントで訊いてみる。
「あっ、そこですよ」
目の前を指差された。
そこはフロントの前。そのちょっとしたスペースが道の駅になっていたのだ。なに、これ。わかりにくすぎ。
ところで、ここでも驚いた。なんと先ほどに引き続き、この道の駅にも入浴施設があるのだ。しかも、今日は二十六(ふろ)の日でいつもより安く三百円で入れるという。
入りてー。まだ朝の九時半だけど。
うーん、残念。わたしが入るお風呂でもそういうサービスがあればいいんですけど。
二十キロほど走り、初山別に入る。驚いた。またしてもここにも道の駅があるのだ。なにここ、なんでこんなに道の駅あんの?不思議。ここらへんは道の駅の宝庫なのか。
国道から脇道に入り、道の駅へと向かう。ここの道の駅も苫前の道の駅と同様設備が充実していた。温泉はあるわ、トイレはあるわ、東屋あるわ。もう言うことなし。これ、泊まれって言っているようなもんでしょう。いや、泊まらないんですが。
ここから見える景色がまた素晴らしかった。
道の駅の隣には広大な敷地をようしたキャンプ場があるのだが、そこがまるで緑の絨毯を敷き詰めたよう。
つづいて高台から遠くを眺めてみる。すると、海岸線がゆったりとした大きなカーブを描いていた。
おお、すごい。なんかこういう場所、アメリカやオースラリアにあるよね。そう、まるで日本じゃないみたいなのです。
しばらくそこから動けなかった。瞼に焼き付けるつもりで、じっと広がる景色を見つめていた。
気分が高揚したので、ちょっと散策してみることに。下に降りていくと、一人のおばさんが色のハゲた木造の階段を塗装していた。見ると目一杯脚立を伸ばしてその上に立っている。こりゃ、一歩間違えれば大怪我するぞ、と思うくらい実に危ない体勢。退屈しのぎにちょっと話しかけてみることに。
「なんかえらい大変そうですね」
「そうなのよ。男の人がやるような仕事をやらされているのよ。まったく嫌になっちゃうわ」
「落ちないように気をつけてくださいね」
「ありがとね。でも、大丈夫。若いから。あははは」
・・・・・・若い、ですか。それにしちゃあ、顔にたくさん皺があるんですけど。気のせい?あっ、きっとそこは触れちゃいけないんですよね。了解。ちゃんと空気読んでおきますので。
空には一面、灰色の雲が広がっていた。
初山別の道の駅を後にし、再び北上。アップダウンが出てきたが、追い風なのでいつもより楽。
坂を上っていると一台の自転車が目に飛び込んできた。見るとフロントキャリアに荷物をつけている。どうやら同業者のよう。それにしてもえらいゆっくり上っているなあ。
無言で追い抜くのは失礼なので、まずは挨拶。これ、旅の基本です。中にはなにも言わずに追い越していく輩もいますけど。
「こんちは」と声をかけると、間髪入れず「こんにちは!」と返ってきた。
おお。実に元気がいい。好印象。チラッと顔を見るとまだ若い。夏休みを利用して来ている大学生か。
「今日はどこまで行くの?」と訊くと、「できるだけ北の方まで!」というとってもアバウトな答えが返ってきた。
北の方って・・・・・おい、これじゃあ話、広がらないじゃん。
作戦変更。質問を変えてみることに。
「今日はどこから来たの?」
「苫前のキャンプ場です!」
あー、あれね。さっきわたしが寄ってきた道の駅のすぐ横にあるキャンプ場ね。ふーん、あそこに泊まったわけね。ということは、今日はまだそんなに走ってないわけだ。それにしても元気がいいなあ。よっぽど親の躾がいいのだろうか。
まあ、それはともかく。ところで君、ビーチサンダルっていうのはどうなんだろう・・・・・・。漕ぎにくくないのかい。そんなんで足とか怪我しないのかい。などと聞きたいことはたくさんあったが、先を急ぎたいので追い抜く。さようならー。
しばらく走ると、道は再び平坦な直線コースに。しかも相変わらずの追い風。ここぞとばかり必死にペダルを漕ぐ。
だってこんな長い直線&追い風という好条件、めったにないですよ。いや、もう二度と経験できないかも。そう思ったら堪能しなきゃ損でしょ。全身のエネルギーを足に集中させ、ペダルを踏み込む。
ひょえー。速い速い。チラッとサイコンを見ると時速は四十キロオーバー。すげー。
しかし、しばらくすると疲労感が。案の定、徐々にスピードが落ちてくる。ハァハァ。さすがに息切れ。ちょっと張り切りすぎたようです。

午後〇時半、天塩に到着。ちなみにここまで走った距離は百十キロ。途中寄り道したのにも関わらず、わずか七時間で走り切った。わたしにしては驚異的なスピード。いかに自転車という乗り物が風に影響されやすいか、それを身を持って体験することができた。ほんと、後半なんか飛ぶように走ってたもんなー。
さて、問題はここから。
時刻はまだお昼を過ぎたばっかり。当然、まだまだ走れる時間はたっぷりある。
しかし、ここからはお店はおろか人家もなにもない(当然野宿できそうな場所もないと思われる)、そう、かの有名な道道百六号線、別名日本海オロロンラインを走るのです。その距離およそ七十キロ。これから走るとなると最低でもその距離は走らないといけない。
七十キロかー。でもなぁ。さすがに七十キロはどうだろう。いくら追い風だったとはいえ、すでにここまで百十キロを走ってきている。当然、それ相応の体力を消耗してきているはず。そんな中、さらに七十キロも走るのはキツイのではないか。
それにもまして気になるのが時間。
たとえば、仮にここから時速十五キロペース(休憩込み)で走ったとする。そうすると五時間弱はかかる。ということは、着くのは午後五時半。でも、そこで終わりじゃない。今度はそこから寝る場所、お風呂を探さなければならない。おそらくまた何キロか移動しなきゃならんだろう。仮に一時間かかったとしても六時半か。それもすんなり見つかればいいけど、今までのわたしの経験上、そう簡単に見つかるとは思えない。うーん、正直微妙。
・・・・・・やめておきますか。
なにも無理して走ることもなかろう。日没になってウロウロするのも嫌だし。それに今日行かなくたって、別に稚内の街が逃げていくわけじゃない。
昨日の切り上げがたしか午後二時過ぎ。今日は十二時半か。なんだか日に日に自転車を降りる時間が早くなっている。
それにしても十二時半。これから何してりゃいいんだよー、おれは。もー、まったく。なんも思いつかん。
うーん、とりあえずわたしのすることといえば、やっぱり寝床とお風呂を探すことですかね。
なに?おまえはそれしかすることないのか?まだ昼だろ。昼。そんな寝るところとか、お風呂なんて後で探しても大丈夫だろう。どこか観光するとか、のんびり町を散策するとか、他にすることないのかよ、おまえには。
そうなんです。わたしもそう思うんです。
でもね、先ほども書いたように、わたしはできるだけ必要なこと以外したくないという実にものぐさな人間なのですよ。この場合の必要なことというのは、北海道一周すること。つまり、それに関係すること以外はできるだけしたくないのです。だって、すごい観光スポットでもあれば別だけど、そんなもの、ここにはなさそうだし。それなら明日に備えて体力を温存しておいた方がよっぽどいいでしょ。わたしは、そういう効率を求める人間なんです。
なんて書きながら思った。実に寂しいなあ、わたしの考え方って。うーん、いつからこういう考え方をするようになったのだろう。小さい頃はまだそういう考えではなかったように思いますが。
それにしても不思議なもんですね。そうは思っていても、足は勝手に温泉へと向かっているのだから。そう、今晩入るお風呂をチェックしておこうというのです。まだ昼なのにね。
実に悲しい。いや、人間の習慣というのはここまで根深いものなのか。そう感心すべきところなのかもしれない。
わたしが向かったのは「てしお温泉夕映」という温泉施設。外観は大きくとても綺麗。温泉とは思えない立派な建物である。
中に入って驚いた。いやー、実に広々としているのです。二階まで続く吹き抜けが実に気持ちいい。
フロントに行って料金を確認。五百円、だそうです。
あれ?普通の値段じゃん。えーと、たしか今日は「風呂の日」のはずですが。もしかして間違いってことは・・・・・・。
しばらく待ってみる。微動だにしないフロントレディ。
どうやらここは関係ないみたいです。
あーあ、残念。
ついでにここらへんに公園がないか訊いてみる。そう、今日の寝床になるところを探すのです。すると、天塩の街の簡略図をくれた。地図によると天塩川の川っぺりに公園があるらしい。
早速行ってみると、それはすぐ近くにあった。しかし、公園というよりむしろ遊歩道つきの細長い敷地といった感じ。肝心の東屋はというと・・・・・ありました、ありました。近くに行くと思ったより広い。これなら十分寝れそう。しかし、気がかりなのが天気。だって上空にはいまにも雨が降り出しそうな雲が立ち込めているんだもん。あーあ。
公園に泊まる時は必ずといっていいほど屋根のついている場所、つまり東屋に泊まることにしている。それはもちろん雨が降ってきた時、濡れないためである。しかし、それも風が吹けば何の意味もなくなる。壁がないので、思いっきり風雨にさらされることになるからである。
でも、振り返ってみると、北海道に来てからすでに十日ほど経つが、寝ていて一度も雨に降られたことがない。いや、一度だけあったか。余市で寝ていた朝方。でも、あれはパラパラとした小雨。雨のうちに入らない。後は、札幌に行った日。あの時はけっこう降っていたけどネットカフェに泊まったし。そう考えると、天気はパッとしないわりにはツイていると言えるのかもしれない。
まー、テントを持っていたら、そんな神経質になることもないんだけどね。そう、わたしは寝袋だけで泊まっているのである。
そもそも、なぜわたしがテントを持たずに寝袋だけで泊まろうと思ったのか。
正直、最初はわたしも寝袋だけで本当に大丈夫なのか、と思った。ところが、たまたま北海道に発つ二週間ほど前、偶然、地元のスーパーで自転車で日本一周している大学生に会ったのだが、その彼がテントを持たず、寝袋だけで寝ていると聞いたもんだから、なに?そうなのか?日本一周でも寝袋だけで大丈夫なのか。だったら北海道なんか楽勝でしょ。しかも今は夏だし。なんて思ったのがきっかけだった。
で、ここまで走ってみての結論。
「やっぱりテントはあった方がいい」
いや、雨に関してはあまり実感がないんだけど、予想外だったのが、虫の多さ。もう、こんなに刺されるとは思ってもいなかった。場所によってはコイツラ、なんでこんなにいるんだと思うくらいいるんだよね。まー、刺すのはまだいい(いや、よくはないんだけど)、刺すことによって痒くなるでしょ。そうすると眠れなくなるわけ。結果、次の日は寝不足のため、いい走りができなくなる。それが嫌なんですわ。一応、ファンが回る電気式の蚊取り線香を持ってきたんだけど、これが笑っちゃうくらい全然効果なし。あまりにも効き目がないので、途中で使うのを止めました。
まー、それもテントがあればいいんだけどね。中に虫が入ってこないわけだから。つまりテントを張ればそれが自動的に虫除けになるわけです。
だったらテントを買ったら?
もちろんそういう意見もあると思います。実際、ちょっと迷った。途中で買おうかなって。でも、たかが虫除けのために二万も三万円も出せないよなあ(実際、テントの値段を調べたわけではないが、ちゃんとしたヤツだと多分そのくらいかと)と思ってやめた。そんなお金もないしね。それに、場所によってはまったく虫がいないところもあるし(といっても、稀ですが)。まあ、現時点では我慢すればなんとかなるんじゃないかなと。で、どうしてもダメならまたその時考えればいいわけだし。とりあえずそういう結論に至りました。

時刻は午後二時。って、まだそんな時間かよ。することないんだけど。
仕方ない、一応、スーパーの場所でも確認しておくか。どうせ夕方になれば、食料を調達しなければならんのだから。
地図に載っていたため場所はすぐにわかった。自転車を駆る。案の定、あっという間に到着。こんなに早く着かなくてもいいのですが。
さて、やっと二時過ぎ。この頃になるとどうしていいのかわからず、なんだか精神的に疲れてきた。おいおい、これじゃあ走っていた方がよっぽど楽じゃんか。
地図を眺めていたら、道の駅があった。とりあえずそこへ行こうか。なにするってわけじゃないけど。
自転車を走らせる。またしてもすぐに到着。ううっ、天塩って小さい街なんですね。
道の駅の裏手に自転車を停め、入り口へ向かう。すると、壁に一台の旅仕様の自転車が立てかけてあった。おお、仲間かい。思わずテンションが上がる。
ん?でも、これってどこかで見たことあるなあ。えーと、どこで見たっけ・・・・・。
そうだ!そうだ!思い出した!これ、さっき追い抜いていった大学生の自転車だよ。間違いない。いやー、まさかここにいるとは。
うおっし。これは何が何でも探さないと。暇つぶしに話をしようという魂胆なのです。
早速、建物の中に入って捜索開始。が、辺りを見渡してもそれらしき人物は見当たらず。
ん?もしやトイレ?早速トイレへ。案の定、個室の一つに鍵がかかっていた。
ははん、ここにいるな。すぐにドアをノック。と思ったが、出している途中だったら申し訳ない。出てくるのを待つことに。
しばらくすると一人の若者がトイレから出てきた。おお、やっぱりさっきの大学生だ。しかし、彼はわたしには気がついていないよう。とりあえず声をかけてみる。
「こんちは。ねぇねぇ、さっき会ったよね?」
「え?そうですか?」
おいおい、さっき会ったじゃんかよ。あまりに素っ気無い言葉にちょっと憮然とする。もー、覚えてないのかよー。
と思ったが、そんなにあっさり言われるとこっちも自信がなくなってきた。会った。ような気がするのですが・・・・・。不安のせいか自然と視線が落ちる。あっ、やっぱりそうだ。
「だって、このサンダル履いてたもん。間違いないよ」しかし、そう言われてもまだ確信が持てないのか彼はキョトンとしている。「ほらー、さっき追い抜いていったじゃん」
「あー、はいはい、分かりましたよ」
おい、ようやく分かったのかよ。もー遅すぎ。
うーん、それにしてもおれってそんなに存在感ないのか?だとしたらちょっと落ち込むわ。
話してみて驚いた。なんと彼は大学生ではなく高校生だそうです。
うわっ、マジ?てっきり大学生だと思っていたよ。
それにしても高校生が自転車で北海道を周っているなんて、まるっきりわたしの頭の中にはなかった。
いやー、驚いた。驚いたねー。これ、北海道でUFO見るより驚いたかも。
すいません、ウソです。さすがにそれは言い過ぎました。
いや、でも驚いたのは間違いない。まさか高校生が一人で周っているとは。さらに話を聞くとまたもや驚いた。なんと彼、まだ二年生だそうです。
ぎょえー。すごいな、おまえ。さらにさらに話を聞いていくと、昨年も自転車で周ったそうです。
マジ?ウッソー!なに?ということはおれより先輩ってこと?
ちなみにこの少年、幼い頃から何度も家族で北海道に来ている自称北海道フリークだそうです。
いやー、そうでしたか。それは気づきませんで誠に申し訳ござらぬ。というか、お見それいたしました。困ったことがあったらなにとぞご指導ご鞭撻よろしゅうお願いいたします。
相手が北海道慣れしているとわかった途端、急に低姿勢になるわたし。うー、自己嫌悪。
しばらく少年とおしゃべり。すると、こちらに一台の自転車が向かってきた。よく見ると、後ろのキャリアに荷物をつけている。おお!ということは旅行者ですね。またまた同業者現る。颯爽と自転車を降りる彼、サングラスとヘルメットを外した顔を見て驚いた。なんと今朝話したあのアメリカさんだったのだ。
ぎょえー。驚きマンモス。向こうも、わたしのことがわかったらしく、驚きつつも笑っていた。あはは。こんなことってあるんですね。びっくり、くりびつ。
というわけで、一人増えて三人で話す。しばらくすると、今度は一人の女性ツーリストがわれわれの視界に入ってきた。
またまた旅行者か、と思いつつ、こちらの方ともお話をする。すると、やはり自転車で旅しているそう。が、単に北海道を周っているわけではなく、なんとまあ、日本一周しているそうなのです。
ぎょえー!もう一つぎょえー!さらにダメ押しでぎょえー!
すいません、うるさくて。いやだって、女性で日本一周ですよ。こりゃ驚くでしょ。
まあ、いてもおかしくないとは思っていたが、実際、目の前にするとかなり驚くね、これ。しかもこの彼女、見かけはごく普通の二十代(推定。さすがに初対面で歳までは訊けません)の女性。見た目だけではとてもそんなことをしているとは思えない。むしろ華奢で可愛らしい感じ。
いやー、驚いた。世の中って広いわ。
しばらく四人で話をする。次第に話題は今日の泊まる場所に移っていた。なんでもわたし以外の三人は近くのキャンプ場に泊まるらしい。ということで話がまとまっていた。いつのまにやら。
え?っていうことはなにかい?わたしだけのけもんかい?ちょっとひがむわたし。
しかし、ここで少年からグッドな情報が
なんでも、ここのキャンプ場にはライダーハウスが併設されているそうなのです。
へ?ライダーハウス?なんですか、それ?
というわけで、ここでちょっとご説明を。
ライダーハウスというのは、主に北海道にある安宿のこと。オートバイで旅行している人が多く利用していることからそう呼ばれている。料金は一泊百円台から千円台といろいろ(中にはなんと無料というほんまかいな?というものもあるらしい)。建物はプレハブや古い木造の家屋が中心で、場所によってはユースホステルのようなちゃんとした建物のようなところもある。なんてことを後で知った。
ふーん、そんなのがあるんだぁ。
じゃあ、わたしも一緒に行こうかなあ。さっきキャンプ場の傍を通ったら、泊まれそうな東屋(かなり汚かったが)があったし。いや、本当は三人と別れたくないのです。だっていきなり一人ぼっちというのも寂しいし。
キャンプ場に行き、ライダーハウスの値段を訊く。すると、なんと一泊二百円。わーお。安っ。それくらいならお金出してもいいかな。というわけで、わたし、ここに泊まります。
しかも、なぜかキャンプ場の利用料よりライダーハウスの方が安かった。というわけで他の三人も一緒にライダーハウスに泊まることに。
それにしても、高校生に外国人に女性…そしてわたし。意外にもこの中でわたしが一番まともに見えるという。世の中にはいろいろな人がいるんだね。もしかして自分で思っているほど、わたしって変じゃないのかも。

四人で温泉に行き、そのままライダーハウスの前で食事。すると、途中から留萌から来たという自転車旅行者が混ざってきた。二十代らしき二人組。なんだかアクの強い雰囲気がプンプン漂ってきます。あまりお近づきになりたくない感じ。
ところで、留萌といったら、今朝、わたしが出発したところじゃん。なんでも彼らはライダーハウスに泊まっていたそう。しかも、そこは無料。
うわっ、マジかよ。なんだよー。それを早く言ってくれよー。おれも泊まりたかったぜ。
でも、泊まらなくて正解。
そこはあまりの居心地の良さに長期滞在者がいることで有名なライダーハウス。毎日、気が合った同士、酒なんか飲んじゃって、しかも周りにカラオケボックスやパークゴルフ場など遊ぶ場所にはこと欠かない。つまり長居できる条件が整っているところなのである。
うーん、わたしなんかそこに泊まったら、走る気失くすかもなあ。案の定、彼らもあまりの居心地のよさに十日以上いたそうで、中には半年もいるツワモノもいるそうです。
半年、という言葉に目が点になる。というかそれ、泊まってるんじゃなくて、住んでるんじゃん。
この二人もそうだけど、そういった人たちはいったい何しに北海道に来ているのだろう。おたくら、走りに来たんじゃないの。
うー、わからん。なんだか彼らが異星人に見えてきた。それとも人種が違うのか。まったく理解に苦しむ。
まあ、そうやって遊んでいれば楽しいは楽しいんだろうけどね。でも、わたしなんかあまりの楽しさにそこから抜け出せないようで怖い。
いや、わたしは走りますよ。だって、北海道には走りに来ているんだから。
話が落ち着いたところで寝ることに。しかし、ライダーハウスといっても、簡単に言ってしまえばプレハブ小屋。でも、これで二百円なんだから安いわな。
外ではビュービュー、風が吹いている。雨、降らなきゃいいけどね。温泉の休憩所でテレビを見たら、明日の天気、あまりよくなかったのです。
あーあ、晴れねぇかなあ。こんなところで足止め食らってもすることないし。
まあ、考えても仕方ない。雨降らないことを願うしかない。寝袋に入り、じっと目を瞑る。明日走っている自分の姿を想像。疲れのせいかとろけるように意識が消えていった。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://ultrakamui.blog135.fc2.com/tb.php/13-772704d3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。